Slash Games
★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
     
トップ
読み物
カレンダー
Other languages
★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
【AOGC2007】「S!タウン」に見るモバイルゲームならではの工夫
2月23日
ソフトバンクモバイル コミュニケーション・サービス部 中谷友一氏
 オンラインゲームといえばPCのMMORPGというイメージが強いが、コンテンツをプラットフォーム別に見ると、PC、家庭用ゲーム機、携帯ゲーム機、そして携帯電話向けに分けられる。このうち最もユーザー数が多く、裾野が広いのが携帯電話向けに配信されているゲーム、いわゆるモバイルゲームである。

 2月22日・23日と開催中のアジアオンラインゲームカンファレンス東京2007(AOGC2007)で、ソフトバンクモバイルの中谷友一氏が講演した「S!タウン」もまた、携帯電話向けのオンラインゲームである。中谷氏は「モバイルの仮想空間コミュニケーション・サービス」と題して、「S!タウン」の企画趣旨と携帯電話ならではの開発の苦労、そして将来の展望について解説を行った。

 「S!タウン」は3D空間でMMORPG的に行動しながら、他のキャラクターとチャットなどが楽しめる、いわゆるアバタースタイルのチャットソフトである。スタート開始は昨年10月で、現在の対応機種は8種類。JAVAアプリとして端末にプリインストールされており、パケット料金のみで楽しめる。ユーザーはチャット以外に、ミニゲームで対戦したり、バーチャルペットを育成できる。

 中谷氏は「S!タウン」の開発動機について、もともとソフトバンクモバイルが前進のボーダフォンやJ-フォンの時代から、新しいコミュニケーションツールの提供に積極的に取り組んできた経緯を紹介した。スカイメールや写メールなど、今では多くの携帯電話に採り入れられている機能も、先鞭をつけたのはJ-フォンである。「S!タウン」もチャットという、メール以上に「繋がっている」感の高いサービスを携帯電話で提供し、新たなコミュニケーションシーンを生み出したいという意図で開発が始まった。

 ただしPCのアバターチャットなどと異なり、携帯電話では電車の待ち時間などの時間つぶしに使える点が重要だ。そのため通常のチャットでは時間がかかりすぎてしまう。逆に知り合いが一人もいない世界では、他人に声をかけにくい。そのため会話不要で対戦できるミニゲームも用意された。代表例が「ホイマッチ」、いわゆる「あっち向いてホイ!」ゲームである。このようにして「ケータイの街で自由気ままにチャットやミニゲームを楽しむ」というコンセプトが確立していった。

 開発において特に気が配られたのが、チャット用のインターフェースとセキュリティ対策。携帯電話の画面はQVGAと小さいため、文字入力ウィンドウを画面全体に表示してしまいがちだが、これではメッセージを入力している最中にログが流れてしまい、会話が噛み合わなくなる。そのため画面上部にログ画面を常に表示し、適切な会話が行えるように配慮された。

 また企画当初から懸念されたのが「出逢い系サイト」として利用されるのでは、という点。そのためペアレンタルロックやブロックリスト、不適切な内容のチャットやメールを事務局に申告できる「チャット申告」などが盛り込まれた。特に「チャット申告」についてはメニューの目立つ位置に配置。ユーザーとの接点となることが重要視された。これには悪質な行為などを取るユーザーに対して、心理的な障壁となることも想定されている。

 続いて中谷氏は携帯電話ならではの長所と短所を説明し、制限の中でどのような工夫がこらされたかを解説した。

 モバイルゲームの最大のメリットは、いつでも、どこでも、簡単に楽しめる点にある。しかしパケット量や通信速度、処理速度、アプリサイズ、電池の持ち時間、画面サイズの制限、操作性など、さまざまな制約が存在する。中でもアプリの起動中に着信割り込みが発生したり、電波が圏外になってしまうなど、携帯電話特有の問題が避けられない。常にサーバにアクセスする必要のあるオンラインゲームでは鬼門となる。

 このうちパケット量と通信速度については、キャッシュデータの活用とマップ構成の工夫で、最小限度に抑える工夫が紹介された。

 「S!タウン」ではアバターのデータなど、全ユーザーが共通して使用する可能性があるものと、マップデータなどのようにユーザーの操作に応じて更新が必要な内容に、全データが分かれている。前者をあらかじめメモリに常駐しておき、変更のあった部分だけサーバからダウンロードすることで、効率の良いアクセスを可能にした。マップも中央広場、テーマタウン、ストリートの3種類に分かれており、それぞれ変化の自由度を分けることで対応している。

 また「S!タウン」ではマップに「セル」という概念が採用されている。キャラクターが移動しても同一セル内であればアクセスは発生せず、サーバ上では同じ地点として処理される仕組みだ。さらに他のキャラクターにおいても、画面内にすべて表示するのではなく、幾つかのキャラクターを抽出して表示するに留めている。このように画面サイズの小ささを逆手にとり、あえてユーザー間で非同期のゲーム世界を作ることで、携帯電話でMMO的な世界が実現された。

 着信時割り込みや圏外についても、発生するタイミングがまったく予期できない問題がある。一方で一時停止状態からの確実な再開を確保しなければならない。そのためサーバ側でクライアントの状態をセーブしておき、サーバと携帯電話の接続を維持する工夫が行われている。技術的にかなりの障壁となったが、細かい調整を続けることで対応したという。

 最後に中谷氏は「S!タウン」の現状とビジョンについて説明した。

 「S!タウン」はゼロからの立ち上げだったにも関わらず、会員数は右肩上がりで推移しており、現在は10万人を超える会員数を獲得している。アクティブユーザー数も昨年末の時点で、登録会員の半数以上が月に1回以上アクセスしているなど、好調とのことだ。今後は街の進化や機能の追加、理用端末の増加などで会員数を増やし、コミュニケーションサービスとしての価値を高めていくという。

 このうち街の進化については、ストリートエリアの増設によるマップ拡大が予定されている。機能の増加については、1MBというJAVAアプリの容量限界があるが、アプリからアプリを呼び出す「子アプリ」化で対応。端末数については従来機種への対応も検討されている。

 またゲーム内広告が積極的に導入されているのも「S!タウン」の大きな特徴だ。現在は看板広告が20個用意されているが、今後はNPCやイベントと連動した広告の設置や、ビルの窓テクスチャに広告を張り付ける「街ジャック」などが検討されている。特に昨年末に行われたNPCによるアンケートサイトへの誘導実験では、3日間で4割近いユーザーが回答するなど、高い反応を獲得。新たなゲーム内広告の手法として積極的に考えていきたいとした。

(左)「S!タウン」のプレイ画面。中央のアバターを操作してチャットやミニゲームなどを楽しむ、(右)街は大きく3エリアに分かれており、変化の自由度を変えることで、パケット量や通信速度を抑えている

(左)マップ上の看板に近づくと、クライアントのサイトを開くか否かのダイアログが表示される。「はい」を押すとブラウザが起動して広告サイトが表示される、(右)会員数の推移。横軸は5万人、10万人となっている

(小野憲史@RBB)
関連リンク|Link
AOGC
その他のゲーム情報はSlash Gamesへ
PAGE TOP
新着ニュース
記事一覧へ
リリースRSSによる配信についてバナー広告問い合わせ会社概要プライバシーポリシーリンクについて
RBB TODAY RESONSE e-nenpi.com cbook24.com DOKOYO MONO ONLINE
本サイトの内容は、著作権による保護を受けています。 Copyright (c) 1998-2006 IRI Commerce and Technology, Inc. All Rights Reserved.
IRI Commerce and Technology, Inc.