★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
ユーザがつくったデータが「ゲーム」を盛り上げる― IGDA新清士氏
12月25日
ゲーム開発者の団体「IGDA日本」代表であり、ゲームジャーナリスト・立命館大学大学院講師の新清士氏がこのほど、「次世代ゲーム機の『ユーザークリエイトコンテンツ』が生むデジタルコンテンツ産業へのインパクト」と題して国際大学GLOCOMで講演をおこなった。
「ウェブ2.0」というキーワードに代表されるような、ユーザ自身が生み出すコンテンツという考え方は、近年コンピュータゲームの世界にも急速に広まってきている。冒頭で新氏は、MOD(モッド、Modificationの略)と呼ばれる、パソコンゲームの基本システムを使って、ユーザが好みのゲームを作り出していることを紹介。海外では、既発売のパソコンゲームソフトのエンジンを使って、「スターウォーズ」「スタートレック」などのゲームがMODによって作られているという。こうした活動については、著作者側も、俳優の顔や音楽を使わないなどといったことをクリアしていれば黙認している状態とのこと。また、PCゲーム「ハーフライフ」のMODとして生まれた「カウンターストライク」がヒットし、VALVe社が権利を買い上げた例も紹介。こういった動きはこれからも増えるだろうという見方を示した。
新氏は、ゲームソフトの本当の価値は、容量の大きさにあるのではなく、ユーザ自身が作り出したセーブデータに生まれると指摘。その最初の成功例が「ポケモン」だったという。CD-ROMやDVD-ROMで販売されるゲームではセーブデータだけ残して中古屋に売ってしまうことができたが、「ポケモン」は、ユーザが手塩にかけて育てたセーブデータを手放す気になれず、しかも平行してプレイをしたければ2本目のソフトを買わないといけないというところが巧みだった。これと似たモデルが、最近オンラインゲームで一般化している「アイテム課金」の制度と、その裏返しとしてのリアルマネートレーディング(RMT、オンラインゲームのアイテムなどを現実の金銭で取引する行為)だという。
さらに新氏は、Windows PC/Xbox360向けゲーム開発ツール「XNA Game Studio Express」がユーザに無償で提供されていることを紹介。作ったゲームはWindowsとXbox360間で容易に移植でき、Xbox360上での商用流通まで見越した画期的なものだ。パソコン黎明期や、初代プレイステーションでの開発ツールの安価販売などで、数々の個性的なゲームが生まれていったのと同じことが、Xbox360で起こる可能性を示唆した。
また、任天堂のWii本体に搭載されている、ユーザが好みのアバターを作り、さまざまなゲームに登場させたり、インターネット経由でユーザ同士が交換できる「Mii」(ミー)というサービスも、ユーザクリエイトコンテンツの一例だとした。
新氏は、これからのゲーム産業で生き残るためのヒントとして、地域による特性を活かすことを挙げる。たとえば日本人はパッケージソフトを好む。その好例が、パソコンであれば無料でダウンロードできるようなソフトであっても、ニンテンドーDSで飛ぶように売れていることだという。これは、パッケージソフトが日本の消費者にとって慣れている購買パターンなので、こうしたことが可能となるのだ。
一方、アメリカンフットボールゲーム「マッデンNFL」シリーズは、アメリカで毎年各機種合計500万本のヒットとなるもっとも売れているソフトだが、アメフトファンが少ない欧州や日本では売れない。逆に「FIFA ワールドカップ」はアメリカではワールドカップの年ですらほとんど売れないが、欧州では大ヒット。ただし、日本ではさほど売れないという。この理由を新氏は、日本人選手の顔が日本人好みになっている「ウイニングイレブン」シリーズが人気のためと分析。ゲームのキャラクターの顔の体格など、販売地域によって調整する必要があることを示した。
さらに新氏は、これまではゲーム開発といえば日・米・西欧が中心だったが、韓国のPCゲームに代表されるように、それ以外の地域の開発も増えていることを指摘。中国、東南アジア、インドでも開発が盛んになり、米大手パブリッシャは人件費の安いこれらの地域に開発を委託することが増えてきた。ウクライナでは、軍需産業が崩壊した影響で、数学のできるエリートがゲーム産業に流入するという現象がおこっているという。
このようにゲーム開発に対するハードルが下がることによって、今後は一般ユーザが開発したゲームや、これまでゲーム開発が行なわれてこなかった地域からのゲームが市場に出てくることが増えそうだ。新氏は、「これまでのように日・米・欧の大手パブリッシャ・開発会社だけ見ていればゲーム産業の状態がわかる、という時代は終わった」と結論づけた。
(茂内克彦@RBB)
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