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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
「ドラクエ」「FF」シリーズ、回想シーン多用の脚本は改善の余地あり? RGN#4レポート
12月18日
「コンピュータ・ゲームのデザインと物語についての研究会」(RGN)は10日、「シナリオライターの眼から見たテレビゲームの特異性」と題した発表会を行った。RGNは若手のゲーム研究者による、ゲームデザインと物語性について論じる試み。
この日は、映画「007は二度死ぬ」の助監督など約60本の映画にかかわり、RPG「玉繭物語」のシナリオ原作など、ゲームシナリオも手掛ける川邊一外氏。「グランディア」などのゲームシナリオを担当したゲームデザイナー・シナリオライターの前田圭士氏。ゲームシナリオライターで演劇ユニット「Afro13」を立ち上げた、演出家の佐々木智広氏が講演した。
過去3回の発表会では、ゲームと物語性の関係について、アカデミズムの立場から発表が行われた。しかし今回は映画、ゲームデザイン、演出と立場は異なるものの、いずれも「ゲームシナリオライター」の経歴を持つ、現場の人間からの講演ということで、ユニークかつバラエティに富む内容となった。モデレータはゲーム研究家の茂内克彦氏。
参加者に挙手を求めながら講演に「巻き込んで」いく前田圭士氏
まず登壇したのは前田圭士氏。前田氏はゲームシナリオの特異性として、「報酬効果」「参加意識」「選択制」「集団作業」の4点を上げた。「報酬効果」とは経験値や謎解きなどの「ご褒美」要素。「参加意識」はプレイヤーを物語に巻き込むための仕掛け。「選択制」とは分岐・並列・反復といった要素。そして「集団作業」とは、ゲーム開発においてシナリオが発注書や設計書の役割を果たすという意味だ。
その上で前田氏は、自分がシナリオを書く上で最も重視するのが「参加意識」だと述べた。ゲームは映画やドラマと異なり、プレイヤーが能動的に参加するメディアなので、プレイヤーと主人公の行動原理を一致させるための仕掛けが必要になる。そのため主人公を対象ユーザーから嫌悪感を抱かれないキャラクターにする、ユーザーが共感しやすい台詞や行動をとらせる、などを意識するという。
また、ゲームシナリオにはプレイヤーに対するチュートリアルの要素もあると指摘。「カードヒーロー」などの例を挙げつつ、ゲームを進めるうちに、主人公と共にプレイヤーのスキルも向上するようなシナリオ構造を取ることで、「モニターの外」でプレイヤーと主人公が一体化するような錯覚を体験させられるとした。
「生き残る」ことがゲームの本質的な面白さに繋がると述べる川邊一外氏
続いて川邊氏が登壇。「ゲームとは古代の生存のための戦い(Survival)を模擬(Simulate)し、プレイヤーが演戯(Play)するもの」と定義。人間にとって最も基本的な「善」とは「生き延びる」(Survival)ことだとした。その上でドラマには「勧善懲悪」などの「テーマ」が不可欠だが、ゲームには物語性の強いジャンルを除けば、明確なテーマが見られないこと。ただしゲームには、「生きろ!」「勝ち残れ」といった根本的なテーマが存在しており、これがゲームの「おもしろさ」の本質になっていると指摘した。
その上で川邊氏は、ゲームの発想法として「戦いの架空環境を設定し、世界のルールを規定する」「主人公と目的を設定し、世界に投げ込む」「敵(悪玉)の性格と数を規定する」「勝負の決着がどのようにつくかを考える」というプロセスを紹介。これは映画やドラマの脚本にも通じる要素だとした。環境による抑圧と、主人公による解放という対立構造が、ゲームを発想するポイントになると述べた。
また、ドラマには正義や権力の確立などをテーマとする「男性型」と、恋愛や家庭の確立などをテーマとする「女性型」があり、ゲームジャンルにおいても、この区分法は当てはまるとした。世界を救うRPGや、敵を倒すアクションゲームは男性型。ビジュアルノベルなどは女性型というわけだ。また、いわゆる選択肢システムには一種の「文体」があり、選択肢の構造を解析することで、選択肢学が確立する可能性があるとした。
「どちらが本物?」と問いかける能登まり子さん(左)と佐々木智広氏(右)
最後に佐々木氏は、講演中に演劇の手法を採り入れた「劇中劇」ならぬ「講演中劇」スタイルで講演。はじめにサンタクロース姿で女優の能登まり子さんが登壇し、次に佐々木さん本人が登壇。「どちらが本物の佐々木さんでしょう?」と自己紹介したり、「どちらの佐々木さんに話してもらいたいですか?」と挙手をとるなどしながら、「演劇的なるものとゲーム的なるもの」について話した。
佐々木氏もゲームと演劇の違いが「参加性」の有無にあると指摘。公演中に役者と観客が入れ替わるなどの「メタ演劇」を試みたが、いま一歩に留まったエピソードなどを披露した。一方で国立演芸場で講談を聞いた際に、泥酔客の言動が面白く、聞きながら両者が混然となった「超物語」が発生したこと。これをモチーフに「泥酔客」に扮した能登さんが、途中から佐々木さんに激しいツッコミを入れ始め、両者の関係が揺らぐ様子を実演。そのイメージを伝えるなど、ユニークな講演となった。
発表会の最後にはパネルディスカッションが行われ、「ファイナルファンタジー」「ドラゴンクエスト」「逆転裁判」シリーズなどを題材に、ゲームと物語性の関係についてさまざまな議論が行われた。
川邊氏は「FF」シリーズの「VII」から「X」について、死のイメージが前面に出てきたことに対して、「生きている人間が敵や運命と闘うのがドラマだ」とコメント。佐々木氏は「ゲームは演劇と異なり、世界がCGで表現されているので、キャラクターが透き通る演出などで違和感が生じないのが羨ましい」と述べた。また前田氏は「FF」シリーズで主人公が記憶喪失だったり、異世界からの来訪者などの設定が増えたことに対して、プレイヤーに効果的に世界設定を知らしめる効果があるのでは、との考えを示した。
他に前田氏は「逆転裁判」シリーズで、「突きつける」というアクションが閉塞化していたアドベンチャーゲームのジャンルに風穴を開けたと指摘。「1」では前半の捜査部分では「突きつけ」られなかったが、「2」ではサイコロックシステムによって捜査部分でも「突きつけられる」ようになったと評価した。川邊氏は「ドラクエ」「FF」シリーズで回想シーンが多用される傾向にあるのに対して、「映画では、下手な演出家ほど回想シーンを多用したがる」とコメント。映画とゲームではプレイ時間などが異なるので、一概には言えないが、ゲームの構成にも改善の余地が見られるのではないかと述べた。
RGNは、国際大学GLOCOMが主催する研究会。
(小野憲史@RBB)
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