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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
【TGS2006】和田洋一氏による基調講演「ゲーム産業の可能性と課題」
9月25日
社団法人コンピュータエンターテインメント協会 会長 和田洋一氏
世界規模で右上がりの市場、最新ハードの導入とオンラインゲームの急進により、コンピュータゲームの成長はさらに続くと思われる。しかし、拡大する市場に応えるために、ゲームは新しい価値観を求められている。和田洋一氏の講演は、先日開催されたCEDECの基調講演とほぼ同じ趣旨だ。しかし、CEDECではゲーム開発者向けで、やや技術寄りな見地に立っていた。東京ゲームショウでは消費者、流通業者までも対象としたため、イラストを追加してわかりやすく俯瞰的に市場を予測した。
■成長する市場。しかし、このままではいけない。
和田氏はまず、日本のゲーム市場を把握するために、コンテンツ市場の市場規模を比較した。2004年のゲーム市場は約3.1兆円。比較対象として、映像ソフト市場の約3.6兆円、映画興行収入の約1.8兆円、音楽CD売上高の約2.8兆円という数字を並べた。すでにゲームは重要なコンテンツ産業という位置づけにある。また、日本の市場規模の成長は落ち着いているが、世界的規模では年平均9.3パーセントの成長を堅持しており、ゲーム市場はまだまだ成長の過程であると説いた。とくにオンラインゲームの成長は大きく、オンラインゲームを含めた売上高では年平均11.8パーセントの成長となっている。
こうした数字はゲーム産業にとって心強い。日本のゲーム会社もグローバルな視点に立つことで、さらなる好業績が期待できることになるからだ。しかし、世界市場であるから、もちろん世界各国のゲームメーカーにもチャンスがあるわけで、けして安心できるものではない。
■潜在需要層が見えた。次の手を打つべき時だ
CECAの統計で見ると、オンラインゲーム以外の分野では日本市場は停滞気味という感がある。しかし「成長する要素はたくさんある」と和田氏は観測する。その根拠が、CESA家庭用ゲーム白書の2006版にあるゲーム参加状況とゲーム参加意向の統計だ。
“ゲーム参加状況”は、年齢ごとにゲームで遊ぶ人の割合を示している。いわば、現在の市場を構成する年齢層の割合を示したものだ。これによると、現在のゲーム市場の主役は20台の男性で、半数以上が日常的にゲームで遊んでいる。この割合は年齢層が進むにつれて低くなっていく。興味の対象が分散したり、可処分時間が減っていくことが理由だが、20代のゲームプレイヤーが30代へ、40代へと移行していくため、各世代にゲームと親しみのある人の割合は増えていく。50年後には現在の20代が70代になるから、70代の半数以上がゲームで遊んだ経験のある世代になるわけだ。
“ゲーム参加意向”は、“ゲーム参加状況”の数字に、“現在はゲームで遊んでいないが、ゲームで遊びたいと思っている人”の割合を加算したものだ。つまり、潜在的なゲームの市場規模といえる。これによると、20代男性の8割がゲームで遊びたいと考えており、30代男性、40代男性の数字を見ると、すでにゲームで遊んでいる人とほぼ同数がゲームで遊びたいと考えている。この傾向は特に女性に顕著で、すでにゲームで遊んでいる人と同数以上の数値が現れた。つまり、こうした潜在的ユーザーを含めると、日本のゲーム市場の規模は現在の2倍以上に成長できる。
しかし、この数字を楽観視してはいけない。問題は「いままでに潜在的な市場を形成する人々が、ゲームに参加しなかった理由」である。これだけの需要があるにもかかわらず、そこに対応できるゲームがない。つまり、このような隠れたニーズに応えるゲームを作っていなかった。
■ゲームの進化が多様化する。
ここで和田氏は「ゲーム業界は量的な進化のみを追求していたからだ」と分析する。高性能なハードウェアが登場するたびに、グラフィック性能やサウンド性能が進化した。これを和田氏は「リッチコンテンツへの単一進化」と呼んだ。これはもちろんゲームにとって大切なもので、この分野の進化を止めてはいけない。しかし、これからはさまざまな角度から新しいゲーム作りをはじめる必要がある。
例えば、昨年から今年にかけて、潜在的なユーザーを獲得したゲームとして、PSPやニンテンドーDSなどの携帯ゲーム端末が挙げられる。とくに、いわゆる“頭の体操”的なゲームが幅広い世代にヒットした。このゲームはグラフィックやサウンドの進化とは縁のない、新しいアイデアに基づいて市場にリリースされたゲームだ。
これから日本のゲーム市場を拡大するためには、潜在需要を開拓すべき、新しいタイプのゲームが求められる。和田氏はこの状況を整理し、今後のゲーム市場のチャンスと、ゲーム業界が取り組むべきチャレンジを整理した。
チャンスとは、国際的な市場の広がりと先にあげたような潜在需要、そして、新しいテレビゲーム機だけではなく、PC、携帯電話、携帯音楽プレーヤなどへ広がっていく端末の広がりである。また、パッケージ販売だけではなく、ダウンロード、月額課金、ゲーム内のアイテム課金など、多様化するビジネスモデルも新しいゲームビジネスを創出する。
このチャンスをモノにするためのチャレンジは、量的な進化に頼らなずにコンテンツを多様化すること、潜在的需要にアプローチするためのサービスマインド、新しいビジネスモデルの創出である。
■家電店のほぼすべての商品がゲーム機になる?
では、潜在的な需要にアプローチする新しいゲームの姿とは何か。和田氏はそのアイデアのいくつかを示した。それは、20代男性に依存したゲーム企画から、老若男女すべての世代へのアプローチする企画、ゲーム端末にとらわれない新しい分野へゲームソフトを供給すること、テレビ画面以外の出力装置、コントロールパッド以外の入力装置、ゲーム機対ひとりではなく、ゲーム機を介在した多人数プレイなど多岐にわたった。
とくに新しいゲーム端末では、家電販売店で売られているすべての商品にゲームを載せたい、と語った。この部分、数年前では冗談として笑いを取るところのはずだが、携帯電話やiPodにゲームが搭載されるようになった現在、冷蔵庫や電子レンジ、エアコンにゲームが搭載されることが本当にありそうな気がする。少なくともリモコンにカラー液晶とゲームを載せるのは簡単なことだ。そんな印象からか、会場内からも笑い声はなく、言った和田氏本人が「電子レンジはどうかと思いますが……」慌ててフォローする場面もあった。
和田氏は、いま、ゲーム業界は量的発展から質的発展への新しいステージを迎えていると語った。これを第2ステージと呼ぶならば、10年後に第3のステージを迎えるために、ゲーム産業は市場に応えていかなくてはいけない。市場規模の危機感はないが、新しい市場への対応力という面で、ゲーム産業は常にチャレンジしていく必要があると締めくくった。
第三のステージとは、すべての世代の8割がゲームに親しむ状況になったとき、と言えるだろう。夢のステージのようだが、それは市場の飽和であり、ゲームメーカーにとってはサバイバルの時代とも言える。そこに勝つためにも、多様化とサービスマインドが必要である。
家電のすべてがゲームを搭載する?
(杉山淳一@RBB)
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