Slash Games
★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
     
トップ
読み物
カレンダー
Other languages
★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
ゲーム産業国際分業への道、シンガポールとの連携で進むアジア国際分業ネットワーク
9月9日
 ゲーム開発費の高騰が問題にされて久しい。その打開策として国際分業が話題となっているが、これまでは、インド、中国といった国々が注目されてきた。その反面、それぞれの地域で体制を築く上での課題も指摘されつつある。特に密なコミュニケーションによる確かな情報伝達が困難であるという現状は、日本企業にとってなかなか克服できない壁になっているようだ。

 このような中で注目すべき場所が存在する。それがシンガポールだ。ここ数年の間にコーエー、エレクトロニックアーツ(以下、EA)、ルーカスアーツ(親会社Lucas Filmによる)そして、元気(子会社G-Gadget Ltdによる)など複数のゲーム企業がシンガポールに開発拠点を設立した。

 このようにアジアの開発拠点として複数のゲーム企業がシンガポールに着目したわけだが、シンガポールは以前から外資系企業にとってアジア進出を進める際、非常に魅力的な地域であった。

 1965年に国家として独立して以来、自国の資源の欠如を克服するため、人材育成と貿易、そして外資系企業の誘致を重視しそれらを達成すべく様々な施策を試みてきた。そのような政策が実を結び、1990年代には自国を東南アジア地域のナレッジセンターと位置づけ、高度な知識が必要とされるQAやテクニカルサポート、並びに海外本社との窓口をシンガポールに、労働集約的な工程が必要とされるプロセスについては周辺諸国に設立されているインダストリアルパークとの連携で事業を達成する、といったモデルが確立された。同時にR&D機関の設立にも重点をおき、それらに必要な高度な人材の需要に対応するべく、日本、ドイツ、フランスに協力を依頼し、科学研究機関を設立している。またサイエンスパークをシンガポール国立大学の近くに設置し、一般企業のR&Dを促進した。

 都市国家であるという限界を利点として活かす産業振興政策を経済成長の段階にあわせ実施してきた結果、シンガポールは世界でも高い評価をえられる国家となった。まず、オランダ、ドイツ、米国、日本などを含む9つの産業先進国の中で最もコスト的に競争力のある地域として選ばれている。また、世界でのランキングにおいては、ビジネス環境の良さでは世界第9位に、最もネットワークに対応した国としてはアメリカに次いで第2位に選ばれている。経営者として気になるのは現地の人材や、地域の魅力だが、それらのランキングもそれぞれ高い評価を得ているようだ。最も優れた労働力という項目ではアメリカをしのいでトップを、優れた能力を持つ外国人にとって魅力的な環境という枠では米国についで第2位の座についている。総合的な競争力では第3位だ。

■シンガポールのナレッジハブ構想と国際分業における位置づけ

 このような背景の中に生まれてきたのがナレッジハブ構想だ。これからはナレッジとイノベーションが経済を牽引という信念の元、シンガポールで、知的財産を創造、管理、商業化していくためのハブ(中心地)にしようという目標を掲げている。

 デジタルコンテンツも知的財産の一部として重視され、それにあわせ様々な産業振興政策が実施されている。シンガポール経済開発庁(EDB)は以前製造セクターで自国の優秀な人材を様々な多国籍企業に派遣した経緯があるが、それと同様に、将来戦略的に重要となる産業セクターに必要な人材を海外で研修させる、Training & Attachment Program(以下、TAP)を1998年より実施している。そのTAPにおいて、ゲーム産業への人材を派遣することが決まり、日本ではコーエー、元気、カプコン、セガといった企業に1期18か月という期間で人材が派遣された。現在コーエーが開発拠点を設立したのも同社がインターンを受け入れていたことがきっかのひとつであることは間違いないだろう。
この他にゲーム産業を支援する機構としてメディア開発庁(以下、MDA)と情報通信開発庁(以下、IDA)がある。MDAのDigital Content Development Schemeではデジタルコンテンツ開発ベンチャーに対し、1件、上限が15万シンガポールドルの支援を行っており、以前、ゲーム開発でこの支援を受けた企業も存在する。またEDBとの協力のもとWCG2005を開催。2006年はWCGアジアチャンピオンシップの開催を決定している。

 一方IDAはオンラインゲームやモバイルコンテンツのホスティングを安価に抑える、The Game Bazaar プログラムの推進している。また、IDAが中心となり、オンラインゲームにおける産業バリューチェーンに関わる12企業の連携を進めているGame eXchange Allianceや、オンラインゲームサービスを展開するためのワンストップサービスであるGame Market Access Programなど、産業構造の重要なインフラストラクチャでのサービスを展開している。

 このような行政側からの支援以外にも今後の国際分業を考えて行く上でのシンガポールの利点は複数存在する。既述のように、長年にわたる産業化とそれに合わせた教育制度の改革は優れた人材を輩出し、その経済力は、高い生活水準とメトロポリタンとしてのシンガポールの位置づけを確立した。また、中国人76.2%、マレーシア人13.8% インド人8.3%、その他1.7%で構成されている事実と、外国人を受け入れやすい体制は、今後重要な市場ならびに開発拠点として成長するだろうインド、中国ともネットワークを強化しやすい。日本人出向者は現地のスタッフと英語でコミュニケーションをはたし、中国圏担当者は北京語を、インド圏担当者はインドの公用語のひとつであるタミル語を駆使するスタッフを集めるといったことも困難ではないだろう。各国の経済水準や開発能力が発達するにつれ、一国で開発体制を整えるというよりは、開発ニーズとブロードバンドネットワーク環境を利用し、各企業独自の分業ネットワークを複数の国々に形成する必要が出てくる可能性もある。そのような観点からシンガポールという国を見つめるとき、新たな可能性が見えてくるかもしれない。

 こうしたシンガポールでのコンテンツ産業の現状について、9月19日にオンラインゲーム専門部会(SIG-OG)の第10回研究会「アジアにおけるグローバルコンテンツ開発。シンガポール共和国における現地法人設立の利点−海外展開により拓かれるデジタルゲーム産業の発展と、その可能性−」(http://www.bba.or.jp/bba/archives/2006/08/_10.html)が開催される。スピーカーにシンガポール共和国政府 経済開発庁 情報通信メディア局 局長Quek Swee Kuan 氏と、コーエー執行役員 松原健二氏が登壇する。
(中村彰憲@RBB)
関連リンク|Link
SIG-OG 第10回研究会「アジアにおけるグローバルコンテンツ開発。シンガポール共和国における現地法人設立の利点」概要
シンガポール“Singapore Infomap”(英語)
シンガポール経済開発庁(英語)
その他のゲーム情報はSlash Gamesへ
PAGE TOP
新着ニュース
記事一覧へ
リリースRSSによる配信についてバナー広告問い合わせ会社概要プライバシーポリシーリンクについて
RBB TODAY RESONSE e-nenpi.com cbook24.com DOKOYO MONO ONLINE
本サイトの内容は、著作権による保護を受けています。 Copyright (c) 1998-2006 IRI Commerce and Technology, Inc. All Rights Reserved.
IRI Commerce and Technology, Inc.