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【CEDEC2006】「ゲーム産業戦略について」
9月1日
経済産業省 メディアコンテンツ課 サービス政策専門官 樋口 晋一氏
■CEDEC レギュラーセッション
「ゲーム産業戦略について」
経済産業省 メディアコンテンツ課
サービス政策専門官 樋口 晋一氏
カセットテープにプログラムを記録し、マイコンショップの店頭で発売する。そんなささやかな規模で始まったゲーム業界も、いまや1兆円を超える市場規模を形成するに至った。ゲーム業界は独自に技術を積み重ね、販売方法を研究し、ここまでひとりで大きくなってきた。国や自治体の後押しもなく、学術研究機関の支援もなかった。それでもゲームはわが国のコンテンツにおいて最大の輸出分野であり、日本を代表する産業となった。
しかし、欧米企業の躍進や、国家的な規模でゲーム産業の育成を図るアジアの台頭により、国際的な市場競争は激しくなっている。さらに、日本国内市場の伸び悩み、青少年に与える影響について懸念が広まるなど、日本のゲーム産業は重大な局面を迎えているのだ。こうした状況の中、日本のゲーム産業の国際競争力を強化するために、産・学・官による取り組みが始まろうとしている。
■コンテンツ産業とゲーム産業の意義
樋口氏の講演は、8月24日に経済産業省が発表した「ゲーム産業戦略」について、取りまとめにいたるまでのデータや日本市場の背景などを詳しく説明するものであった。ゲーム産業で働く人々にとっては既知の内容も多く含まれているため、情報の新しさは感じない。しかし、ここで重要なことは、ゲーム産業では既知となっている情報について、国が同じレベルまで状況を把握し、理解したということだ。
国は映画、音楽、ゲームなどのコンテンツ産業に対して「情報とイメージの商品化であり、他産業にも高い波及効果がある」と考えている。また、コンテンツ産業は、経済、文化、観光など、多角的な視点から国家ブランド価値の増大に寄与するという。
その中でもゲームはコンテンツ産業の最大の輸出産業である。外貨獲得による経済の発展はもちろんだが、同時に日本文化や日本ブランドを発信するツールとしても役立っている。また、ゲーム産業が開発する技術や手法は、ほかのコンテンツ産業にも応用できるものが多い。さらに、携帯ゲーム機や携帯電話用ゲームなどの普及は、ユビキタス社会の実現を後押しする。ゲーム産業は多方面に波及効果のある産業であり、産・学・官が一体となって振興する意義は大きい。
経済産業省は今年4月から、ゲーム業界や学識経験者を交えて「ゲーム産業戦略研究会」を実施した。その結果、国が上記のようにゲーム産業の意義を認識してくれた。これが大きな成果である。
■ゲーム産業が目指す「ふたつの未来」、「3つの戦略」
「ゲーム産業戦略」では、日本のゲーム産業が目指すべき2つの未来像を定め、その実現のために3つの戦略をまとめた。そして、今後5年間、産学官が一体となって取り組んでいくべきだと結んでいる。
ふたつの未来像とは、日本のゲーム産業が世界をリードしていくという「ビジネス的な成功」と、日本のゲーム産業が社会に貢献し、国民に広く支持を受けるという「文化的な成功」である。世界市場の拡大に向けて、日本のゲーム産業が競争力を維持し、輸出産業として発展し続ける。それと同時に、国内においてはゲームの持つ反社会的、非生産的なイメージを払拭することが大切だ。ゲームを作る人、ゲームを遊ぶ人が、それぞれを誇れる社会を作っていく。
このふたつの成功を実現するために、「ゲーム産業戦略」では「開発戦略」、「ビジネス戦略」、「コミュニケーション戦略」の3つを提言する。
「開発戦略」で特筆すべき項目は“官”における「優秀なゲームクリエーターの表彰制度」や、“産学”におけるインターンシップ制度の推進である。「ビジネス戦略」では東京ゲームショウ、国際コンテンツカーニバルを活用した海外市場への積極展開、中小企業の資金調達環境の整備や、大学や国が持つ施設の貸し出し、利用促進など、具体的な方策が示された。「コミュニケーション戦略」では、ゲーム産業から社会への情報発信を強化し、シリアスゲームによる社会福祉面での貢献、販売店と一体となった年齢別レーティング制度の拡充などがあった。
■東京ゲームショウの活用と国際コンテンツカーニバルの実現
「ゲーム産業戦略」は、「政府としてはここまでゲーム産業を理解しましたよ」という確認の意味合いが強い。日本のゲーム産業はこうあるべき、という目標は定められたが、具体的にどうするかは決まっていない。いつ、何をするのか、経済産業省はどんな事業計画を立てて、財務省に対していくらの予算を要求するのか、たいへん気になるところだが、現在はふたつのイベントの活用が検討されている。
そのひとつは東京ゲームショウだ。アジア最大のゲームショウとして君臨するイベントだが、同種のイベントの北米版としてE3があり、どちらも世界のゲーム市場にとって重要なトレードショーだった。しかし、最近になってE3は規模を縮小していく方針になった。そこで、東京ゲームショウをアジアのショーではなく、世界的規模のトレードショートしてパワーアップさせることが構想に盛り込まれている。
もうひとつは国際コンテンツカーニバルの実現である。これは今年5月に開催された経済財政諮問会議で、二階経済産業大臣が提唱したイベントだ。東京国際映画祭を拡大し、アニメやゲームも含めた日本のコンテンツを世界へ発信しようというもの。東京ゲームショウとどのように関連していくかは未定だが、世界的な規模のコンテンツトレードショウになることは間違いない。
「ゲーム産業戦略」日本のゲーム産業が進むべき道を示し、日本のゲーム業界ははじめの一歩を踏み出している。5年後に目指すべき未来へ近づくために、ゲーム産業にかかわるすべての人々が、考え、行動すべき時が来たようだ。
(杉山淳一@RBB)
関連リンク
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CEDEC
経済産業省の「ゲーム産業戦略」、産官学の新たな連携を形作るか
経済産業省:「ゲーム産業戦略 〜ゲーム産業の発展と未来像〜 」の公表について(ドキュメント配布先)
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