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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
東大、コーエー、詫間電波工業高専が「オンラインゲームの教育目的利用のための研究」を共同発表
8月30日
 東京大学大学院情報学環 馬場章研究室は8月29日、オンラインゲームを利用した教育手法の研究について、その手法と経過を公表した。世界史の授業にコーエーの大航海時代オンラインを活用した実例を紹介し、生徒の関心を高める目的に対して一定の成果があったことが明らかになった。

■「役に立つ遊び方」で「楽しい教育」を実現

 本研究は、科学技術振興機構が実施する戦略的創造研究推進事業(CREST)による支援により、香川県の詫間電波工業高等専門学校をモデル校に選定し、コーエーの協力を得て実施された。

 ゲームはエンターテイメントとして広く親しまれている。その一方で、ネット中毒やゲーム脳など、科学的根拠が明確ではない負の影響が取りざたされてきた。しかし、ゲームによって知識を得る。人格形成面で良い影響を受けることも多くのゲームプレイヤーが体験している。こうした「ゲームの良いところ」はアピールされる機会が少なく、ゲームの効用が解明されていない。この研究は、市販のゲームを教材として使う場合の手法と効果について経験を重ね、遊び道具以外のゲームの活用法を探っていく。

■作業に時間を割かれる「現場」

 教材として選ばれたオンラインゲームはコーエーの「大航海時代オンライン」だ。史実に忠実なゲームして知られており、生徒たちは冒険者としてゲームに参加。グループを形成して、大航海時代の生活を体験し、歴史上の人物を訪ねるなどの課題に取り組んだ。

 東大大学院特別研究員の七邊氏は実験の準備と手法について説明した。取り組みの結果、1授業50分という枠組みでは時間が足りないこと、教育現場のPCスペックの問題、ゲームのインストールからアップデート時間が予想外の長時間となること、ゲーム提供会社のサーバメンテナンス時間と授業時間のすりあわせが必要などの問題点が浮き彫りとなった。在来の授業に比べて事前準備の工数が多く、教員の負担が大きくなる傾向がある。実施にはテクニカルサポートのスタッフが必要だ。

■関心を高める、という部分は大成功

 また、授業の手法に関しては、生徒を3つのグループに分けて調査した。ゲームを使わず従来の方法で学ぶグループ、漫然とゲームを遊ぶグループ、ゲームの説明をし、ゲームで達成すべき課題を与え、模造紙に冒険記を作って発表会を行うグループである。

 実際に授業にあたった詫間電波工業高専の内田助教授は、実験授業中の生徒の様子について、ビデオを交えて紹介した。3つのグループそれぞれに対して事後にアンケートを行ったところ、ゲームを併用したグループでは大航海時代への関心がかなり高まったようだ。特に事前に課題を与えてゲームをプレイし、結果発表を行ったグループの反応が良かった。発表会で使われた模造紙が記者発表会に飾られ、生徒たちの生き生きとした様子が伝わってきた。

 高専の生徒は理系が多く、数学や化学などでは100分の授業に耐えられる。しかし文系科目になると50分も持たないという。しかし、今回のゲームの授業では生徒が積極的に学び、成果があっようだ。生徒のアンケートの結果、大半の生徒が単元に関心を寄せたことがわかった。読者の高校時代を振り返り、世界史に関心を持っている生徒がクラスにどの程度いたかを思い返せば、ゲームの教育的活用はかなり成功していると言えるだろう。

■ゲームの選定、カリキュラムに工夫が必要

 今回は商用のゲームが使われたわけだが、教育現場で使う場合、ゲームタイトルの選定に関して厳しい精査が必要になる。特にオンラインゲームということで、生徒たちが他のゲームプレイヤーと接触する機会が多い。このようなハプニングに対してどう対処するのか、東京大学の馬場章教授は「そうしたハプニングに対して、教育的に対処する手法を探る必要がある」とコメント。ゲームの選定については、教育的に相応しくないアイテムや場面がないか、ゲームプレイヤーのコミュニティや攻略本を研究したという。

 今回の研究では工業高専が選ばれた。これは授業に当たって大学受験を考慮する必要が無く、伸び伸びと学べる環境だからである。したがって、カリキュラムを詰め込んだ受験校、公立高校では、ひとつの時代に対して、ゲーム体験を加えた6時間も割く授業は実施しにくい。先に挙げたように、ゲームのインストールなどが必要で、スライドやビデオに比べて手間がかかるなど、さまざまな問題点が浮かび上がった。本研究では、すべての問題点を洗い出し、解決して、教育とゲームの効果的な連携方法を確立していく。

 CRESTによる研究チームは5年間続く。5年後に向かって、教育関係者やゲーム業界の関心がこのチームに注がれる。良い結果が出ることを期待し、今後も見守っていきたい。



(杉山淳一@RBB)
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