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【GC2006】鬼才ピーター・モリニューの語る「アクションゲームの未来」
8月25日
ピーター・モリニュー氏
 ドイツ・ライプチヒで開催されたゲーム開発者向けカンファレンス「Game Convention Developers Conference」で、ゲームデザイナのピーター・モリニュー氏が「Inspirations for next generation designs」(次世代ゲームデザインへのインスピレーション)と題した基調講演を行い、アクションゲームにおけるゲームデザインの方向性についてアイディアを披露した。

 ピーター・モリニュー氏は、神視点のシミュレーションゲーム「ポピュラス」や、Xboxで世界的に大ヒットした「フェイブル」シリーズなどで知られる、世界で最も有名なゲームデザイナの一人。独特のゲームデザイン哲学で、日本でもファンの多い人物だ。英ライオンヘッドスタジオを主催しており、現在はXbox360向けに新作アクションゲームを開発している。

 モリニュー氏はまず「アクション(コンバット)はドラマチックなもので、我々をヒロイックな気分にさせてくれる」と述べた上で、にもかかわらずアクションゲームにおける戦闘システムは「ストリートファイターII」以降、それほど進化していないと述べた。「体力点」「緊張感のない武器(=数字の削りあい)」「背景の無意味さ」という3要素は、今でも多くのアクションゲームに見られる要素というわけだ。

 さらにモリニュー氏は、映画「キル・ビル」の壮絶なアクションシーンを例に、「アクションによって生み出されるドラマ性」をゲームでも取り入れるべきだという見解を示した。また、その具体的な手法として、ゲームステージなどの「環境」と、ゲーム内のアクションの関係性を深め、よりドラマ性の高いアクション体験を提供する、というアイディアについて語った。
 
 これを思いっきりかみ砕くと、プレイヤーの操作でアクションが行われ、「勝ち/負け」が発生するのではなく、ステージやシークエンス内にアクションのトリガー要因を仕込んでおき、プレイヤーがタイミング良くアクションボタンを押すことで、ゲームデザイナが想定したアクションが展開される、という意味に近い。「簡単操作で映画的なアクション」と言ったところだろうか。

 具体的には攻撃ボタンと防御ボタンというように、各機能ごとにコントローラのボタンを配置するのではなく、攻撃と防御を共に「アクションボタン」という1つのボタンに集約するアイディアについて語った。方向キーでキャラクタを移動させながら、プレイヤーがアクションボタンを押すと、敵キャラクタやマップ上のオブジェクト、ステージ環境との関係で、自キャラクタが自動的に剣をふるったり、盾で防御したり、ロープに飛びついたり、椅子を投げて攻撃したりと、ゲームデザイナが想定した範囲内で、誰でも簡単にドラマチックなアクションシーンが楽しめるというわけだ。

 このアイディアを実現するための技術的な要素として、モリニュー氏はプロシージャルによるキャラクタの自動モーション生成や、キャラクターAIの進化、物理シミュレーションの実装、レベルデザインを行う上でのツールの進化などが必要だと述べた。またプレイヤーに対して、ステージ(ゲーム内環境)上に用意された「コンテンツ」(=アクション/トリガ要因)の存在をどのように理解させるかも、あわせて重要だとした。

 モリニュー氏のビジョンは、グラフィックやゲームがリアルになる一方で、操作が煩雑になるジレンマをどのように解決するか、という問題意識に立脚している。任天堂はWiiでコントローラのデザイン面から取り組んだが、モリニュー氏はXbox360のコントローラをどのようにシンプルに使うかで、これに挑戦しようというわけだ。ただし、このアイディアを本気で実現するためには、アクションを基盤にすえた、新しいコンセプトのゲームエンジン開発が必要になる。そのため、これまでは似たようなアイディアはあっても、ゲーム内では部分的に表現されるに留まっていた。

 しかし、汎用的なゲームエンジンを構築して多彩なゲーム体験を提供するのは、欧米のゲーム開発の十八番でもある。「フェイブル」で実装された、キャラクタの行動によって姿態がモーフィングする仕組みなどは、その一例だろう。次はインターフェースとアクションの関係性を極めることで、ゲームを次世代のフィールドに導こうというわけだ。余談だが、モリニュー氏が自ら「空パッド」を操作して熱っぽく語るさまは、ゲームに対する「熱さ」が改めて感じられた。次回作とされるXbox360向けタイトル「フェイブル2」(仮題)でどの程度実装されるかは不明だが、非常に楽しみである。

アクションデモ1/タラップの上下で敵キャラクターに挟まれるプレイヤー。まず上の敵を弓矢で射た後、下からあがってきた敵を突き落とす(左) アクションデモ2/酒場で暴漢をカウンター上の瓶や、椅子、テーブルなどで攻撃。シャンデリアに捕まって蹴り倒す(右) 

「空パッド」の仕草でインターフェースデザインについて(右)

(小野憲史@RBB)
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