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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
ナマの企画書・仕様書へのアクセスができない「ゲーム研究」の難しさ― DiGRA JAPAN月例会
7月3日
東京大学 伊藤憲二氏
日本デジタルゲーム学会(DiGRA JAPAN)は、第1回の月例会を6月30日に東京大学で開催した。第1回の今回は、東京大学の伊藤憲二氏による「ゲーム研究の方法と意義についての序説」と題した発表。
この中で伊藤氏は、ゲーム研究に必要な「共通の語彙」の必要性、ゲーム研究者にとって隣接分野の研究に関する理解の必要性や、ゲーム開発者を対象とした各種アーカイブの構築、ゲーム研究者のポスト問題(ゲーム研究では職がない!)など、現在のゲーム研究とゲーム研究者にかかわるさまざまな問題点をあげ、それぞれに対応していくことが必要だと述べた。
共通の語彙については、一般にゲームを表現するときに使われている「ゲーム性」「クソゲー」などの言葉は、研究の共通基盤としての語彙としては不正確であるとして、ある程度抽象化された言語が求められると指摘。ゲームについてのデザインパターンのようなものを作ろうという書籍「Patterns in Game Design」(Bjork & Holopainen 2004、Charles River Media)などが語彙集として使えるのではないか、と述べた。
また、ゲームに関するアーカイブについても現在、立命館大学の細井研究室が中心となって進めている「Game Archive Project」によるゲームそのものの集積に加え、作品以外の部分、ゲーム開発における文書やメモの保存、開発者自身に対するオーラル・ヒストリー・インタビューを記憶が鮮明なうちに実行する、といった制作過程についての記録も必要だと述べた。
この点について東京大学の馬場章教授から、政府の知的財産戦略本部が発表した「知的財産推進計画2006」の中でコンテンツアーカイブの必要性が政策として掲げられていることも紹介。ただし、実際にアーカイブを作ることの難しさとして、「次の作品制作に結びつける」もしくは「研究に結びつける」という2つの目的の両立が難しいことも馬場教授から指摘された。さらに、インデクス付けが難しく、先行するパリやスタンフォード、国立国会図書館・関西館などの取り組みでも、インデクス(メタデータ)をどう付けるかで悩んでいるという。場所や予算、人の問題はまったく白紙で、どこが所管の官庁となるか、といった政治的な部分も未定だという。また、こうした開発資料がアーカイブ化されるとしても、「非現用」のものだけで、仕様書も公式にメーカーから公開されるというよりは、開発者自身が語るものに限られているのが現状だという。
こうしたアーカイブについて、現役のオンラインゲームプロデューサであるコーエーの松原健二氏からは、「開発資料がメーカから出てくることはあり得ない。特に、2〜3年以内に発売されたような皆さんが見たがるようなゲームについて、出ることはない」と断言した。これはメーカにとっては当然の見解であろう。
ゲーム開発資料のアーカイブについてIGDA日本の新氏からは、それぞれの資料が今のところは個人に残っている、という現状が紹介され、たとえば「ファミリーコンピュータ」については開発者である上村雅之氏が、「ゼビウス」については遠藤雅伸氏が、それぞれ資料をまとめて保管していたという。もっとも、こうした資料が出てくるのは、それが「非現用」のものだからだということは言えそうだ。いつかニンテンドーDSやWiiなどの資料がファミコンの資料と同様に扱われるとしても、それにはもしかすると20年近い時間が必要なのかもしれない。
もっとも海外では、詳細な資料でなくても、リリースされたタイトルについてのかなり踏み込んだ紹介がGDCなどの場でおこなわれている(Halo2のネットワーク担当者のセッションなど、いわゆるPost Mortem系セッション以外にもこうした紹介は多い)。こうした習慣が日本でも定着してくれば、国内開発者の切磋琢磨のスピードがより高まると考えるのは楽天的にすぎるだろうか。
(伊藤雅俊@RBB)
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