Slash Games
★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
     
トップ
読み物
カレンダー
Other languages
★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
[GDC 06] 日本的ゲーム開発スタイルへとシフトする北米デベロッパーに対抗するには ―IGDA日本 GDC報告会
4月18日
IGDA日本代表 新清士氏
 4月8日、IGDA日本と東京大学ゲーム研究会によるセミナー「GDC報告会」が東京大学で開かれた。このセミナーは、3月にアメリカで開催されたゲームデベロッパーズカンファレンス(GDC)の報告を通じて、海外の動向などを伝えるもの。

 まず演壇に立ったIGDAの新清士氏は、「GDC2006の概要とIGDAアップデート」と題して、GDCとIGDAについて報告を行った。今回のGDCについては、「あえていうと混沌」と総括。セッション数の増大(05年の380から、06年の420超へ)により、関連するトピックのセッションが同じ時間に重複した部分があったことや、基調講演の時間に他の重要セッションが配置されてしまったこと(ナムコLEDZONE谷波氏の講演がウィル・ライトの基調講演の裏に配置されていた)など、規模が拡大したことによる課題を指摘。一方で、欧米開発者のEast Meets West Reception(GDCによる日本開発者と欧米開発者を招いたパーティ)への関心の高さや、任天堂 岩田氏の基調講演の盛り上がりに見られた日本のゲームのブランド価値の高さも再認識できたという。

 また、新氏は今年のGDCの焦点として「ダイレクトディストリビューション(ネットを利用したゲームの直接販売)」と「プリプロダクションの重要性」を指摘。ダイレクトディストリビューションについては、ValveのSteamやマイクロソフトのXbox Live Arcade、任天堂のレボリューション(仮)、PC用カジュアルゲームの台頭など、ワールドワイドで動きが出始めているという。また、プリプロダクションの重要性については、4人の学生が週に1本ゲームを作る「実験的ゲームプレイプロジェクト」のセッションや、Sporeやネヴァーウィンター・ナイツの講演から使い勝手のよいツール整備の必要性が強調されたこと、Half-Life 2ではテストプレイ重視型の開発スタイルを採用することでプリプロダクション的な作業を繰り返しながら作り込みが進められた、といった講演を紹介した。

 ゲーム開発者コミュニティの国際NPOであるIGDAについては、GDC期間中にメンバーが1万人を突破、北米開発者が大半を占めるものの、地域別では日本は4位のメンバー数になっていることが報告された。さらに、学会に関する動きとして、ゲームの国際学会であるDigital Game Research Association(DiGRA)の国際学会、DiGRA2007を日本に招致することが発表され、招致の受け皿組織として、東大ゲーム研究会が改組するデジタルゲーム学会が設立されることが明らかにされた。

 駒沢大学の山口浩氏は、氏のAOGC2006での講演テーマでもある「ゲーム内経済学」に関するセッションを中心にレポートした。ラウンドテーブルの「Advanced MMO Economics」は、内容的には経済学の基礎(需要・供給曲線といった内容)だったものの、出席者はビジネスモデルと関連づけて理解しようという姿勢だったと述べ、経済のデザインとビジネスモデルについての意識が目立ったようだ。また、アイテム課金に関するセッションでは、こうしたビジネスモデルが北米ではまだ珍しいこと、アメリカ人にとっては売買アイテムとしてイメージされるのが「強くなるアイテム」のみであること、RMTについても完全否定派は少数で、「ビジネスになるなら取り入れよう」という意見が多いこと、アイテム課金でARPUが向上した話に強い興味が示されたことなどが紹介された。また、Xbox Live Market Placeに関連して、ユーザー同士の取引には当面使わないという方針について、権利侵害に配慮したのではないかとの見方を示しながら、「この問題はゲームだけのものではない。メールの内容に関するISPの責任とどこが違うのか?」と述べ、オンライン対応になったゲームは、提供されているのは「コンテンツ」か「メディア」か考えていく必要があると述べた。

 トライゼットの西川善司氏は、Direct3D 10と物理エンジン最新動向」と題して、GDC2006での技術動向を紹介。西川氏がウェブの連載で報告した内容をベースに、DirectX 10やAGEIA PhysXのほか、OpenGLの動向や、GPUを使った効果物理「HAVOK FX」を紹介。物理アクセラレーションについて、「CPUだけでは難しい大局的な物理をアクセラレートするので、デザインによってはおもしろいかもしれない」と述べ、物理演算が高速に行えることを前提としたゲームデザインの可能性を指摘した。

 セガの林洋人氏は「開発の金言」と題した講演をおこない、Project Gotham Racing 3(マイクロソフト)やNeed for Speed: Most Wanted(エレクトロニック・アーツ)、God of War(SCEA)などのセッションを紹介した。グラフィックスを中心にプラットフォームを社内開発環境整備している林氏は、GDCではグラフィックスと開発環境関連セッションを中心に受講。

 PGR3の開発を振り返るセッション「Building Projcect Gotham Racing 3」については、「ハイデフ」の開発負荷の大きさの見通しを誤ったことについての率直な反省など、次世代機ならではの部分もありながら、「多すぎる『最後のお願い』(開発終盤に修正がいつまでも続く)」など、次世代機だからではない問題もあったという講演内容を紹介。林氏はPGR3チームが次世代機らしいタイトルを1本すでに完成させたことを「正直、うらやましい。やった人でないと持てない経験値」と感想を述べた。

 また、同じくXbox360の同発カーレースタイトルの開発を振り返る「Next Generation Challenges for Need for Speed Most Wanted on the XBox 360」については、講演では、やはりハイデフになったことで作業量が非常に多く、特に全ての物体に法線マップを作るのが大変だったことや、現世代機と次世代機の同時開発でもデータは別に作るべきだという経験談、アクションシーンなどの編集をゲームエンジン内でできるようにしたことでデザイナーに3Dツール以上の体験を提供できた、といった事例が語られたという。

 「God of War: How the Left and Right Brain Learned to Love One Another」については、ツールの開発がカギとなっていたことや、チームの構成の仕方について紹介。シニアプログラマ7人のほかに、テクニカルアーティスト(ツール開発を補助したり、トラブルシューティングをおこなうアーティスト[日本で言うデザイナー])を4人配置することで、高性能なゲームエンジンを実現。林氏自身もGod of Warをプレイし、「60FPSを実現。ロード待ちもないし、チームワークを重視してシンプルなワークフローで丁寧な作り込みをしている。非常に驚いたし、焦りを感じた」とコメント、少数の優秀な人がコアを握ることの重要性を指摘、テクニカルアーティストは次世代でますます重要になるだろうと述べた。

 イニスの矢野慶一氏は、「ゲームデザイナーのための次世代キャラクターアニメーション」と題した講演で、GDCで見られたキャラクタアニメーションに関するセッションをレポートした。パネル「Next Generation Animation Panel」では、大学教授、ルーカスアーツの研究員、Perlinノイズの発明者などが一堂に会し、リアルなモーションをゲームの中で生成するための様々な研究や手法が紹介されたという。矢野氏によると、「今年のGDCのもう一つのテーマがキャラクターアニメーションに思えた」ということで、レンダリング技術の向上する次世代機では、表現力の高いキャラクタアニメーションによって中身の充実が課題となっていると指摘した。

パネルの様子
 その後のパネルディスカッションでは、GDCから日本のゲーム開発シーンがくみ取るべきこと、というテーマで議論が交わされた。

 山口氏は、次世代コンソールのビジネスが製品を販売するスタイルから、インターネットサービス的な方向へ変化していると指摘。アイテム課金タイプのオンラインゲームで無料プレイしている人も「フリーライダー(ただ乗りする人)」ではなく世界を豊かにしているとし、ゲームをゲームとだけ考えるのではなく、インターネットサービスをしているという広めの視野で考えることが必要だと述べた。

 新氏は今回のGDCAwardでタイトルを総なめにした日本のゲームについて、「日本のオリジナリティに対する評価は高いが、セールスとは一致してない」と述べ、「棚が抑えられてて、新しいタイトルが出られない。巨大資本をもつパブリッシャーに勝てない。ダイレクトディストリビューションは、商品にならなかったものも商品にできるということで、米国のベンチャーがすごく期待している」という北米市場の現状を指摘した。

 また、今回GDC初参加だった受講者からは、「日本のゲームへのリスペクトがこんなに大きいとは意外だった」「英語が分からなくても、技術用語でスライドもあるから大丈夫」といった感想が寄せられた。

 今回のGDCは「What’s Next」というテーマから分かるように彼ら自身が次の方向性を模索するタイミングだったこともあり、やや混沌とした印象ではあったが、オンラインゲームあるいはダイレクトディストリビューションというかたちで、北米市場でもブロードバンドとゲームの融合が始まっていることがはっきりと示されていたように感じた。

 IGDA日本は、国際NPO「国際ゲーム開発者協会」(IGDA)の日本チャプター。
(伊藤雅俊@RBB)
関連リンク|Link
GDC
その他のゲーム情報はSlash Gamesへ
PAGE TOP
新着ニュース
記事一覧へ
リリースRSSによる配信についてバナー広告問い合わせ会社概要プライバシーポリシーリンクについて
RBB TODAY RESONSE e-nenpi.com cbook24.com DOKOYO MONO ONLINE
本サイトの内容は、著作権による保護を受けています。 Copyright (c) 1998-2006 IRI Commerce and Technology, Inc. All Rights Reserved.
IRI Commerce and Technology, Inc.