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[GDC 06] ゲームだけでなくプレイする環境も「ローカライズ」する― ナムコLEDZONE谷波氏講演
4月7日
講演するナムコ谷波晃一郎氏
 ナムコが運営するLANエンターテイメントスポット「LEDZONE」がオープンしてこの春で3年になる。FPSのLAN対戦という、日本では特殊なジャンルに特化したこの店舗を軌道に乗せるために、LEDZONEはどのように運営されてきたのか。Game Developers Conference 2006(GDC 06)での谷波晃一郎氏の講演「The Localization of Counter Strike in Japan」からは、お客一人あたりの売上の極大化よりも、魅力的なプレイや振る舞いによって他のプレイヤーを誘引するお客の存在を重要と考えるLEDZONEの考え方が見えてくる。

 カウンターストライクは、もともとValveのSF FPS「Half-Life」のプライベートなMODとしてスタートしたFPSである。オリジナルバージョンのカウンターストライクは、5人対5人の2チーム(テロリストと対テロチーム)に別れてフィールドの中で撃ち合うゲームで、いわばパソコン上でやるサバイバルゲームである。このゲームを、FPSがマイナーな日本で、しかも専門店を開いて展開するということで、LEDZONEによる「カウンターストライクNEO(CS NEO)」へのローカライズは徹底している。

 まず、キャラクタの設定やビジュアルが全面的に変更された。そもそも「テロリストと対テロチーム」という設定が、2001年9月の同時多発テロのあとということもあり、「CSF」「NEO」の2陣営という設定に変更された。ビジュアルの変更は、キャラクタのみならずゲーム内の様々なオブジェクト(樽など)に及んでいる。さらに、Linux+Open GLでクライアントを一から書き直すこともおこなわれた。

 また、PCベースでマウスとキーボードを使用することによる敷居を引き下げるため、画面上の基本メニューの操作を容易にするとともに、キーボード(キートップ)にオリジナル印刷を追加、操作がわかりやすいようにした。さらに、「対人戦でもいつか飽きられる」と考え、シングル戦、イベントマップ(クリアすると見た目を変えられるごほうびが入手できる)などを実装、プレイヤーが飽きないように工夫を施している。ちなみに、カウンターストライクというゲームそのものについては、「よくバランスされているので、そちらのバランスには手を入れてない」という。

●どうすれば楽しい対戦相手を準備できるか?

 プレイヤースキルが勝敗を分けるタイプのゲームのLAN対戦を店舗で提供するということで、さまざまな検討がおこなわれ、さらに運営中のデータの分析もおこなわれている。

 LEDZONEが何をやっているかを説明するために谷波氏が引き合いに出したのが、囲碁の「碁会所」だ。碁会所には、ルールおよびマナーの伝達をおこなう「初心者教習」、人が集まる(リアルの)「ロビー」、対戦(対局)を楽しむのに十分な細かさをもった「クラス判定」、対戦(対局)相手を選び出す「マッチングシステム」、多数の対戦(対局)を同時に収容できる「サーバー」がある。

 LEDZONEが収集したデータによると、CS NEO初心者が定着して遊び続けてくれるかどうかをもっとも左右するのは、Flag/Death値(F/D:相手を倒した回数と倒された回数の比)だという。レベルマッチングができてない(倒されてばかりの)場合、1回の来店で600円ぐらいしか使わない一方、F/Dが拮抗してくる(1に近づく)と、この10倍使う可能性があるという統計を紹介、楽しい遊び相手の条件は「同じ腕前」にある、と指摘する。

 さらに、プレイヤーの使用金額への影響要素について共分散構造分析を適用し、
・よくGood Jobとほめられる
・サーバ接続から15分後に人が増えているか
・倒した人数
・チームの勝利割合
の4つが売上にもっとも影響するポイントであることを導き出す。上の2つは「よい環境で遊びたい」という意識、下の2つは「自分がよければいい」という意識によるもので、この2つの要素は相反しながらそれぞれがゲームをプレイする動機となっている。

 こうしたことをふまえ、LEDZONEではオンラインゲームでの「ロイヤルカスタマー」を「その人がくると15分後に人が増える人」「初心者に遊び方をちゃんと教える人」「初心者をゲームに連れてくる人」だと定義、逆に「たくさんをお金を使っても、15分後に人が減る人、他の人に“CS NEOがつまらない”と思わせてしまう人」はロイヤルカスタマーではないと指摘する。さらに、プレイヤーに「卑怯な倒され方で死んだからツマラナイ」と思わせないように正面切って戦うことを推奨するルール化・システム化したり、店舗スタッフの初心者対応を改善するために統計を取ったりもしているという。

 GDCでの日本人の講演というと、これまではプラットフォーム系か、もしくは日本的なタイトルのデザイナーのものが多かったが、今回の谷波氏の講演は北米生まれのタイトルをいかに日本に定着させるか、という内容のものだ。日本向けにオンラインタイトルを考えている海外の開発者にとってもヒントになったのではないだろうか。
(伊藤雅俊@RBB)
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