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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
ゲーム開発者にも野球のような“才能選抜システム”が必要。「ゲームやろうぜ!」発表会
10月27日
 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)は、デジタルハリウッド大学秋葉原キャンパスで、「PlayStationが求める才能」と題した特別講義を行い、ゲーム開発者の発掘オーディション「ゲームやろうぜ!2006」の概要を発表した。

 本イベントは「秋葉原エンタまつり」の一環として、デジタルハリウッド大学と電撃PlayStationの主催により「PlayStationのプレゼンテーション@デジハリ」第壱夜として開催されたもの。特別講師としてSCEシニアバイスプレジデント・桐田富和氏、SCE第1制作部・山本正美氏、デジタルハリウッド大学学長・杉山知之氏が登壇し、電撃PlayStation編集長・倉西誠一氏の司会で行われた。

左が電撃PlayStation編集長・倉西誠一氏、右がSCE第1制作部・山本正美氏 左がSCEシニアバイスプレジデント・桐田富和氏、右がデジタルハリウッド大学学長・杉山知之氏
(左)左が電撃PlayStation編集長・倉西誠一氏、右がSCE第1制作部・山本正美氏 (右)左がSCEシニアバイスプレジデント・桐田富和氏、右がデジタルハリウッド大学学長・杉山知之氏

 会場ではまず山本氏が「ゲームやろうぜ!」の紹介を兼ねて、過去の実績やタイトルについて紹介した。

 「ゲームやろうぜ!」は1995年から6年間続けられた新人ゲーム開発者の発掘オーディションで、ここから「どこでもいっしょ」「XI[sai]」などを筆頭に、全30本のゲームが商品化された。特に両タイトルについてはシリーズでミリオンセラーを記録するなど、SCEの看板タイトルにまで成長している。合格者は全190名で、これを契機に設立された法人は7社。うち4社は現在もSCEとゲーム開発を継続しており、ほかの3社も独立系ディベロッパーとして活動している。山本氏は「ほかのゲームコンテストとは異なり、法人の設立まで念頭においてバックアップする」と、「ゲームやろうぜ!」の特徴を説明した。

 次に桐田氏が「ゲームやろうぜ!」を復活する意図について説明した。桐田氏は過去の「ゲームやろうぜ!」でもプロデューサーとして開発全般に携わり、現在はSCEJのソフト開発のトップとして辣腕をふるっている。

 桐田氏は1995年に「ゲームやろうぜ!」がスタートした背景として、当時はプレイステーション、セガサターン、Nintendo64の3機種が市場を競い、ゲーム業界の社会的な注目度が高かったこと。またソニー・ミュージックエンタテインメントによる「バンドやろうぜ!」など、音楽業界における新人発掘オーディションの文化が、SCEに受け継がれたことをあげた。

 その上で今回オーディションを復活する理由として、プレイステーション3、Xbox360、Revolutionの発表でゲームに対する社会的な関心度が再び高まっていること。一方この数年間で国内パブリッシャーがビジネス的に安定路線をとるようになり、続編やキャラクターゲームなどの比重が高まったことが、消費者のゲーム離れにも繋がっていること。以上の理由から、プレイステーション・フォーマットのファーストパーティとして、新しいニーズを掘り起こし、新規市場を獲得するため、本企画を復活したと説明した。

 「学生のゲーム業界へのルートとして、大手ゲーム会社への就職は間違った方法論ではないが、現在は開発規模が大型化しているため、新人クリエイターが自分のアイディアでゲームを作りにくくなっている。我々は若い才能により多くの道を提供し、形にとらわれないゲーム制作をめざしたい。ゲームなら音楽やアニメ、漫画などと違い、最初から世界市場を対象に作品制作ができる」(桐田氏)。桐田氏は「XI[sai]」を開発したシフト社http://www.shift.gr.jp/の例もあげ、学生による応募を奨励した。同社は慶応大学の学生チームが在学中「ゲームやろうぜ!」に応募し、ゲームを制作したことがきっかけで設立された開発会社。学生が作ったゲームが商品化され、全世界でヒットした好例だ。

 これに対して杉山氏は、ゲームは表現形式が非常に洗練された結果、クリエイター志望者には敷居が高くなりすぎていると指摘。野球が少年野球、高校野球、プロ野球、大リーグといった才能選抜システムを持っているように、ゲーム業界もこうした「勝ち上がりシステム」が必要で、「ゲームやろうぜ!」はその意味で意義があると述べた。「こうしたシステムがない以上、業界的にアイディアが枯渇するのは仕方がない。一方でゲームは日本のコンテンツ産業で唯一、輸出超過となっている分野。こうしたシステムで業界を支えていくことが必要だ」(杉山氏)。

 また杉山氏は、プレイステーションを初めとした3D描画のできるコンソール機の開発が、デジハリ開講の契機になったというエピソードを披露した。一方で設立準備中に教育関係者から「3DCGを教える学校を作っても就職先がない」と非難されたこと。またプレイステーション発売後もしばらく「3Dだからゲームがおもしろくなるわけではない」と、ゲーム業界のプロデューサーから言われたことなどをあげ、若い才能による柔軟な発想の重要性を指摘した。一方で桐田氏も「プレイステーションがスタートした時はベテランのゲーム開発者ほど戸惑いがあった。それに比べて若手の開発者ほど2Dから3Dへの切り替えが早かった」と振り返った。

 一方で倉西氏はゲーム雑誌編集者の立場から、以前はゲームの開発者の氏名を誌面で掲載することはタブーといわれていたが、プレイステーションの登場でこの慣習が大きく変わり、クリエイターが個人として扱われる時代になったと指摘した。これに対して杉山氏は、名前が出ないとクリエイターの地位向上にはつながらず、新人クリエイターの憧れの対象にもならないと述べ、学生には作品に必ずクレジットを載せるように指導していると述べた。また山本氏は今年でゲーム業界に入って16年になるが、新人の頃からリスペクトしているゲームクリエイターに変化がないことを述べ、「ゲームやろうぜ!」などを通して、20代のゲーム開発者のヒーローを世に送り出していく重要性について語った。

 最後に山本氏は「ゲームやろうぜ!2006」の応募要項について説明した。応募はインターネット上でのみ行われ、専用サイトにアクセスして、作品をサーバにアップロードする形で行われる。18歳以上で日本在住者なら性別、国籍は問わず、グループでも個人でも応募可能。アマチュアだけでなく法人による参加もできる。プレイステーション・フォーマット向けのソフトウェア制作を対象としており、応募作品はサーバにアップロードできるデジタルデータなら形式は問わない。審査基準は「パラダイム崩壊」としており、「面白さ」という条件を満たしているなら「ゲーム」であるか否かは問わない。応募期間は2005年11月15日から2006年2月28日までで、詳細は11月1日にオープンする専用サイトを参照してほしいとのこと。http://www.playstation.jp/scej/yarouze/

 杉山氏は「非常にフレキシブルなオーディションだ」と評価した一方で、審査ポイントをどこに見いだすかが重要だとコメントした。「僕らもいろんなコンテストの審査をしているのでわかるけど、コンテストは審査する側が審査されるようなもの。職人を抽出するのなら簡単だけど、これはそういった趣旨の物ではない」と述べ、審査する側の心情を思いやった。一方で「法人による応募も可能ということは、デジハリで「ゲームやろうぜ!」の授業を行い、優秀な企画を応募させようかな」などとユニークなツッコミも。デジハリ発のエンタテインメントには、一世を風靡した映像作品「スキージャンプ・ペア」がある。もし合格すれば、おもしろい産学協同のモデルになるだろう。

 オーディション合格者には、事務所の開設からはじまり、制作費、生活費、必要経費などの資金、開発機材、スタッフの人的支援にいたるまで、SCEJが全面的にバックアップを行う。さらに売上に応じた印税の払い戻しが行われるとのこと。次世代コンソールへのシフトで開発負荷がさらに高まることが予想される昨今、プラットフォームホルダーによるこのような環境作りの重要性は言うまでもない。実際にゲームが発売されるのは1〜2年後になるが、この取り組みからどのような若い才能が飛び出してくるか、要注目だ。

(小野憲史)
(RBB TODAY)
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