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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
個人間のコミュニケーションが消費行動に大きく影響を与える -東京コンテンツマーケット
10月21日
昨年の楽天とライブドアによるプロ野球参入競争、そして今年は楽天のTBS買収への動きと、急速にIT業界がコンテンツを求める動きが加速してきた。こうした動きにあわせるかのように、東京コンテンツマーケットの後援にも今年からブロードバンドコンソーシアムジャパン(BBジャパン)が加盟。BBジャパンはFTTHをベースとした、ブロードバンドの普及・促進と市場の拡大を目的として設立された団体で、業態を超えた企業が53社集結している。

 東京コンテンツマーケットの2日目に開催されたシンポジウム「コンテンツビジネスにおけるブロードバンドの役割とは」では、このBBジャパンの加盟企業のうち、BBコンテンツ戦略企画WIGに参加している企業のプロデューサーが登壇し、各々の立場から事例を紹介した。シンポジストはゲームメーカーのインターチャネルでデジタルコンテンツを製作している大場規勝氏、映像制作・配給の東北新社でウェブを中心に製作プロデュースを行っている福島一峻氏、広告代理店のアサツーディ・ケイでデジタル社会に対応したプロモーション戦略を推進する生田目敦氏で、モデレータは監査法人トーマツの小田実氏。講演者の中でも大場氏は、元セガで「サクラ大戦」などの人気ゲームをプロデュースした人物として、ゲーマーにも良く知られた人物だ。

左から、トーマツの小田実氏、インターチャネル大場規勝氏、東北新社の福島一岐氏、アサツーディ・ケイ生田目敦氏

 シンポジウムではまず小田氏が、コンテンツとブロードバンドを巡る現状を総括した。小田氏は「TMT産業」という名称を紹介。TMTとは、「Technology Media Telecomunication」の略語で、ひらたくいえばインターネットとコンテンツの複合領域からなる産業。日本ではなじみが薄いが、フィナンシャルタイムズやフォーチュン誌などで用いられている国際的な産業分類だという。小田氏はこのTMT産業が国際的に大きな成長が期待されていると説明。その背景としてコンテンツの流通チャネルとしてブロードバンドが大きな役割を担うこと。一方で通信業者側が強力なコンテンツを求めていることをあげた。

 次に大場氏、福島氏、生田目氏が、それぞれ「技術」「プロモーション」「コミュニケーション」というキーワードで、自社の事例をもとに実践例を紹介した。

 大場氏はセガ時代の経歴にさかのぼり、オンラインゲームの発展と共にどのような技術変遷が行われてきたか紹介した。セガでは1989年にメガドライブ用の周辺機器として、メガアンサーというホームバンキングシステムを発売したのを皮切りに、メガモデム(1990)、サターンモデム(1996)、ドリームキャスト(1998)、ブロードバンドアダプタ(2000)などの通信アダプタや、通信機能を搭載したハードを発売しており、現在はネットワーク対応のアーケードゲーム機も展開している。大場氏もこうしたハード向けに、これまで数々のタイトル開発に関わってきた。

 その上で大場氏は、インフラの向上による技術タームやコンテンツの変遷について説明。当初は通信エラーの補正が主な技術的課題で、サービスもミニゲームの配信などが中心だったが、サターン時代になってアクションゲームの通信対戦が可能になった。それが現在ではブロードバンドで、MMORPGなどもサービス可能になっている。一方で「たとえ光の速度で通信できても、地球の表と裏で1/60フレームによる対戦環境は実現できない」と説明し、いかにユーザーに遅延を感じさせることなく補正をかけるかが、変わらぬ技術的課題であることを示した。大場氏はインターチャネルに移籍後、ゲームに限らずアニメーションや携帯サイトなど、同社の得意とする美少女系コンテンツを核とした「世界観ビジネス」を展開している。

 福島氏はまず東北新社としてのブロードバンドへの関わりについて説明した。同社は海外ドラマの日本語版制作からスタートし、現在では映像制作・配給、衛星放送、プロモーション、デジタル映像処理、商品販売、教育など多方面での事業領域を展開している。その中でも最近は実写やアニメーションの映像制作に力を入れており、来年1月には少女マンガ原作の実写ドラマ「ハツカレ」の放映が予定されている。この「ハツカレ」は、まずブロードバンド配信からスタートし、その後CSのファミリー劇場、そして地上波での放映と、従来とは逆のスタイルでの展開が予定されている。

 次に福島氏は自身の経歴と現在の業務を紹介した。福島氏は同社でCM制作に携わった後、99年からインターネット関連の制作部署に異動。当時は企業がホームページ作成に乗り出した頃で、ウェブの制作受託を行いながら、映像、デザイン、SPツールなどを含めた、総合的な制作プロデュースまで担うようになった。福島氏は自身が制作にかかわった、三菱自動車のサイト「ハートビートTV」を例に、ストリーミング動画を用いた立体的な情報伝達の重要性を説明。「テレビCMでは長くて30秒程度しか説明できないが、ウェブなら商品の特性をじっくり伝えられる」とし、特に自動車などの情報量の多い商品では、動画配信が有効だという。映画「NANA」では邦画として初のHD(ハイビジョン)コーディングによる予告編トレーラーをアップルのサイトに掲載したが、これもブロードバンド回線の賜物。福島氏は「技術、回線、サイト作成のツールの進化で、きれいな映像を簡単に配信可能になった」と述べ、ウェブによる商品告知の重要性を指摘した。

 生田目氏は広告代理店の立場から、ブロードバンド時代で消費者の消費行動が従来と大きく変化している現状を説明。その上で同社が推進するインタラクティブ・コミュニケーション・センター(ICC)の取り組みについて紹介した。生田目氏によると、これまで消費者の消費行動には「注意・関心・憧れ・記憶・購入」という原則がみられたが、これが現状では「注意・関心・検索・購入・伝達」に変化しつつあること。具体的には商品を見て関心を抱いたら、まずネットで情報を検索して、良いと思ったらeコマースで購入し、さらに実際の使用感などをネットで他の消費者にシェアする、といったモデル行動が見られること。その上で個人間のコミュニケーションが消費行動に大きく影響を与えている現状を示した。

 こうした現状から、今後は“バズ(口コミ)マーケティング”とメディアによる情報伝達を融合した、“ポリスティックアプローチ”による消費者の誘導が重要だと指摘した。具体的にはブログやSNSを活用した、消費者の口コミで循環構造を構築するようなプロモーションが求められるという。続いてナイキジャパン、カルビー(じゃがりこツーリスト)、日清(どん兵衛ゲーム)、NEC(オールラウンドAVでいこう)といった、同社が手がけた企業の商品サイトと、そこでの実例について紹介。中でも「オールラウンドAVでいこう」では、PCのテレビコマーシャルと同じ世界観でサイトが構築されており、ユーザーはCM映像やオリジナルの動画を視聴したり、CMと同じタレントが運営するブログでコミュニケーションがとれるなど、ウェブの双方向性を生かした作りとなっている。

 「広告用にキャラクターやコンテンツを作ったら、同時にインターネット上で世界観を広げ、ユーザーにコミュニケーションしてもらい、商品の理解を深めてもらうことで、口コミ効果を広げて商品の購買へとつなげていきたい。そのためには世界観を広げてくれる、クリエイターの力が不可欠」(生田目氏)。

 最後に小田氏はブロードバンドとコンテンツ産業の融合で、実際のコンテンツを制作するクリエイターが活躍する土壌や、その役割もさらに広がっていると述べ、シンポジウムを締めくくった。

(小野憲史)

[訂正しました] 初出時、記事中および写真について小田氏、生天目氏の記載に誤りがあり、訂正いたしました。ご迷惑をおかけしました読者の皆様並びに関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。(2005/10/26 16:49 RBBTODAY編集部)
(RBB TODAY)
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「東京コンテンツマーケット2005」公式HP
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