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「Mod」ってなに? アビッドテクノロジーのセミナー「XSI Modラウンドテーブル」(前編)
10月14日
 アビッドテクノロジーは「XSI Modラウンドテーブル」と題したセミナーを開催し、「Half-Lefe2」のMod環境の紹介と、教育への応用に関する提案を行った。またデジタルエンタテインメントアカデミーにおける、XSI Modを使用した教育カリキュラムの実践例についても、あわせて報告が行われた。

 アビッドテクノロジーはHalf-Lefe2の開発元であるバルブ社と協力関係を結んでおり、「SOFTIMAGE|XSI」をベースにしたXSI Mod Toolを開発し、本年1月からネット上で無償配布している。今回のセミナーではXSI Mod Toolのさまざまな機能の紹介や、XSI Mod Toolを用いた教育プログラムの実例などが披露された。

 XSI Mod Toolに関するプレゼンテーションを行ったのは、東京大学博士課程/IGDA日本の星野瑠美子さん。彼女は今秋にアビッドテクノロジーでインターンシップを行い、XSI Mod Toolに関する英語ドキュメントの翻訳を担当した。今回のセミナーは彼女の企画提案をアビッドテクノロジーがサポートする形で行われた。

(左)東京大学博士課程/IGDA日本の星野瑠美子さん(右)会場の様子

 星野さんはまずModの定義や歴史について紹介した上で、Modを巡るさまざまな現状について解説した。

 「Mod」とは、ゲーム開発会社が公式にリリースしたツールを用いて、ユーザーによって作成されたコンテンツのこと。Mod文化が成長するきっかけになったのが、1993年にid SoftwareがDoomのソースコードを公開したことで、これによってユーザーがマップやキャラクターなどを自作し、オンライン上で配布したり、コミュニティを作る動きが加速した。1999年にはバルブ社がリリースしたHalf-Life1のModとして、Counter-Strikeがユーザーコミュニティの手で制作され、本家をしのぐほどの爆発的な人気を博した。その後Counter-Strikeの権利はバルブ社に買い取られ、商業ベースに移行している。日本でもナムコが改良版のCounter-Strike NEOを開発し、業務用向けにサービスを行っている。

 また、昨今ではゲーム以外のModの応用も進んでいる。その一つが「Machinima」(マシニマ)と呼ばれるもので、これはゲームエンジンを使用して制作された3Dアニメーションムービーのこと。他に消防士訓練シミュレーション「ハズマット:ホットゾーン」など、シリアスゲームへの応用も行われている。これは9.11以降、テロ対策などの訓練用にUnreal2エンジンのModとして開発されたもので、ニューヨーク市消防署の授業に導入が進められている。

 欧米ではPCゲームの多くで開発ツールがユーザーに公開されており、こうしたMod文化が盛んである。企業が積極的にMod文化を支援する背景には、Modによってユーザーコミュニティが形成され、ゲームの商品寿命が延びたり、ゲーム開発の技術向上が図られることがある。またModが開発者育成の土壌になっており、優秀なModコミュニティが企業の人材プールになっている現状もあるという。こうした現状から、星野さんはMod文化と、日本のアニメや漫画の同人誌コミュニティとの類似性を指摘した。

 次に星野さんはHalf-Life2のMod作成環境について紹介した。

 Half-Life2の製品版を購入したユーザーは、Half-Life2の開発環境である「Source SDK」が無償でダウンロードできる。これには“開発ツール”(マップエディタ、モデルビューワー、FacePoser=表情エディタ)、“プログラムソース”(サーバー、クライアントdll)、“サンプル”(ゲームで使用されたモデルやマテリアルなど)が含まれている。ツールのユーザーインターフェースは日本語化されており、豊富な日本語ドキュメントも用意されている。日本語ドキュメントの作成には、アビッドテクノロジーだけでなく、ユーザーも協力している。

 さらにXSI Mod Toolを使えば、Source SDKに用意された、モデルやテクスチャーなどを読み込んでカスタマイズしたり、自分でオリジナルの素材を作成できる。XSI Mod ToolはSOFTIMAGE|XSIをベースに開発されており、保存形式が限定されていたり、出力機能やレンダリング機能などが一部制限されているほかは、XISの機能をそのまま使用できる。XSI Mod Toolはアビッドテクノロジーのサイトから無償でダウンロードできる。

Modツールの画面

 このようにユーザーはHalf-Life2を購入すれば、Source SDK、日本語ドキュメント、XSI Mod Toolを無償でダウンロードして、Modを作成できる。このほかに「Microsoft Visual C++」(有償)と、「Microsoft DirectX SDK」(無償)を揃えれば、素材を作るだけでなく、プログラム面から変更を行い、まったく異なる雰囲気のゲームを作成することも可能だ(カメラを天上に固定して2D風のゲームを作ることもできる)。これにより物理エンジン、シェーダー、表情アニメーション、法線マップなどの最新技術を活用した、ネット対戦ゲームが低コストで開発できる。

 星野さんはModを使用するメリットとして、「動くゲームという見本がある」「好きなところだけ変更すればいい」「モデルやテクスチャを直接、開発ツール上で表示できる」「コンテンツ作成やゲーム内容の調整に時間を多く使える」などをあげ、特に教育機関での活用メリットが高いと指摘した。またModにより学べるゲーム開発スキルとして、具体的にゲームデザイン、プログラミング、ビジュアルデザイン、サウンドデザイン、ゲームプロダクションをあげ、各テーマにおける教育要素を紹介した。

 Half-Life2Modの大学教育による活用例として、アメリカ・南メソジスト大学の学生が作成した「Eclipse」という3Dアクションゲームが紹介された。このゲームはHalf-Life2と異なり、三人称視点でのアクションゲームで、銃ではなくテレキネシスによってマップ上の仕掛けを解き、冒険を進める仕組み。3ステージから構成されており、20人の学生が5か月間で制作したという。

(小野憲史)

「Eclipse」

(RBB TODAY)
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