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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
[TGS2005] EAトップが語る次世代のコンテンツ開発戦略(後編)〜オフショア開発と次世代ゲームビジネス戦略の全貌
9月22日
TGSフォーラム・CEDECプレミアム講演より
TGSフォーラム・CEDECプレミアム講演より
■EAはゲームでユーザに感動をあたえることで、株主に対して最大のリターンを約束しなければならないんだ■

― 新規のIPという観点から見た場合、もしEAで『ICO』や『塊魂』と言った企画が出された際、承認プロセスで認められる可能性はありますか?

ニール:ないね。『ICO』の場合、実現性、革新性では確実に承認されるが、ユーザにとってのアピール度というところで、落とされるだろう。だってそうだろう。角がはえた少年が主役というのはゲームの主要対象といえる青少年にとって魅力あるキャラクタとは言えないからね。『塊魂』にしても、実現性、革新性では大丈夫だが、やはりユーザにとってのアピール度という意味では難しいと思う。これはEAとして従っているモデルなんだ。これらの作品がゲーマーに多大な影響を与えたことは知っているし、私自身もこれらの作品は大好きだよ。だが、EAとしては『塊魂』のような作品は絶対つくらない。すくなくとも現行の企業方針ではね。

― 今後そういった方針は変わっていくと思われますか?

ニール:それはありえないね。少なくとも今のEAは、全ての資源を活用して、株主にとって最も高いリターンを保障しなくちゃいけない。 ただ将来的に変わっていく可能性がないとはいえない。ちょうど、ミラマックスがディズニーの傘下に入っているようにね。

― ではここからは、ゲーム開発のこれからについて語っていただきます。まず、コンテンツパイプラインですが、ゲーム素材を出来るだけ共有するといった方法はシリーズモノや一般的なゲームの場合はそのような方法が通用するかもしれないですが、本当の意味で新しいゲームを開発する場合、素材を共有する、といった考え方には限界があるのでは?

ジョン・ブキャナン氏(以下、ジョン):そうでしょうか?テクスチャはテクスチャに変わりはありません。我々のチームには、コンテンツパイプラインを開発する中でテクスチャのパイプラインを専門にやっている人たちがいます。全ての3Dゲームキャラクターには骨組みがあります。そのうえにスキンがのっかっているのです。ゲームによっては、骨の数やポリゴン数が変わることもあるでしょう。ですが、それをMayaのようなグラフィックソフトからコンテンツジェネレイター(ゲームエンジンで利用可能な形式に変換するツール)に移すという作業は、すべてのモデルにおいて行われます。RPGであろうとスポーツであろうと、アクションであろうと、パイプラインそのものは同じものが活用できるわけです。これが我々の意味するパイプラインなのです。つまり様々なコンテンツを作り上げるソフトをゲーム化するために使用する共通のプロセスのようなものですね。

― やはり徹底した効率化をはからないと、200人もの開発人員を動かしていくのは至難の業なのでしょうね。

ニール:念のためはっきりさせておくけど、僕たちが言っている200人という人員は常に一つのプロジェクトの張り付いている、というわけじゃないんだ。初期段階ではチームをできる限り小さくとどめ、どんなゲームを開発したいかはっきりさせる。それが明確となったところで一気に開発人員を膨らまして開発してくのさ。そのようにして開発コストをしっかり管理していくんだ。


■これからのゲーム産業は建築家、ハリウッド、金融サービス業の能力が必要に■


― むかしと比べ本当にゲーム開発とは複雑になってきているのですね。

ジョン:そのような意味からはゲーム産業として他産業から学んでこなければならないビジネスのしくみやコンテンツの開発方法、というのはたくさんある。たとえば、プログラミングにしても、今のゲームは簡単に数十億ものコードをコンパイルしなくてはならない。これは大規模なITシステムを構築するのと同じ分量なんだ。この膨大なデータを管理する能力というのは、我々よりむしろ商用ITシステムを開発する際に使用されるプロジェクトマネジメント方式から学ぶべき事が多いはずだよ。また、3D空間のデザインでも、建築学では3D空間の有効活用について非常に詳細にわたる調査データが既に存在している。ゲーム産業としては、その世界に足を踏み込んだばかりなんだ。

ニール:まさに今、僕たちゲーム産業の人間は、他産業の方式を積極的に導入していく時代に入ったんだ。知財に関してはハリウッドのように著作物を資産としてしっかり管理する能力といったノウハウが必要になってくる。そして当然シリコンバレーで一般的になってきているオフショア開発も重要だ。今後、これは非常に重要になってくるだろう。コストダウンというよりは、各チームがより効果的にプロジェクトを進めていく上でも必要になっていく。80人で構成された4チームと、40人で構成された8チーム、会社としてはどちらのチームがいいだろうか?40人8チームの方だ。80人で4チームを構成するよりは、40人で8チームを編成し、他の作業を海外でしたほうが効率的な場合が多いんだ。現在テストをインド、韓国、ロシア、中国、といったところで既に開始している。『メダル オブ オナー ヨーロッパ強襲』については20%をオフショア開発でおこなった。今後はこれを50%までに引き上げる予定だ。
 現在はほとんどがグラフィック系の仕事だが、これからはスクリプトコーディングについてもオフショア開発ができるのではと様々なテストをおこなっているところさ。これからは、特定の分野に特化した専門チームと、大規模なオフショア開発を達成する組織とでゲーム開発が進められていくことになるだろう。

― 次世代ゲームの開発についてはどう思われますか?

ニール:これからは、僕たちも含めゲーム産業全体が産業規模を拡大するための努力もしなければならない。それは二つの側面からいえることで、ひとつはゲーム産業そのものの規模を拡大すること、もうひとつは、産業内におけるEAのシェアそのものを拡大していくことにある。
 だけど、僕らとしてはあくまでも焦点はコンテンツにあるんだ。例えば『Myst』というゲームがあるだろう。あの商品がユーザーに与えた"感動"が、当時はまだハイエンドと位置づけられたCD-ROMデバイス普及の原動力にもなったのさ。このような"感動"を当社のタイトルがユーザーにあたえることが出来るかどうか。一口に感動といっても、感情的に人の心を揺さぶるものもあれば、体中鳥肌を立たせるよな恐怖を演出する、といったものもあるだろう。このような"感動"体験を感じさせることが次世代機のような最新テクノロジー普及,発展の原動力になると信じている。

― ありがとうございました。


(聞き手 中村彰憲)
(RBB TODAY)
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