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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
「次世代」の物量とどう戦うか― AVID「Post SIGGRAPH 2005」イベントレポート
9月10日
アビッドテクノロジーは「Post SIGGRAPH 2005」と題したイベントを開催し、今年のSIGGRAPH2005で発表されたSOFTIMAGE XSI|5.0の新機能紹介を中心に、次世代ゲーム開発への対応などを紹介した。また、あわせてインテル、AGEIA、マイクロソフト、NVIDIA、ダイキン、ボーンデジタル社がゲストスピーカーとして登壇し、それぞれの立場から自社技術を紹介し、それらがXSI|5.0とどのように連携するのか、デモンストレーションを行った。会場にはゲーム開発者や映像関係者をはじめ千人を超えるクリエイターが集まり、次世代コンテンツ開発における対応策について聞き入っていた。

 映像分野においてはハイビジョン対応。ゲーム関連ではHD出力対応と、次世代コンテンツ開発においては今まで以上に物量への対策が重要になる。そして物量の増大はプロジェクト全体を加速度的に困難なものにする。単にバージョンアップのアピールではなく、業界全体が抱える問題をどのように解決するソリューションを提供していくか。この点が強く印象づけられたイベントとなった。

 イベントは三部構成となり、第一部では初心者向けにXSIの機能を解説する、XSI Foundationデモが行われた。第二部ではゲストスピーカーが登壇し、XSIと自社ソリューションによる次世代ゲーム開発への対応策が述べられた。第三部ではXSI|5.0の新機能が紹介され、SIGGRAPH 2005で発表されたばかりの新機能についてプレゼンが行われた。

 第二部で最初に登壇したのはインテルの平野浩介氏。平野氏はインテルにおけるワークステーションの64ビット対応について解説した。CPUの64ビット化でもっとも恩恵を受けるのはメモリ環境で、32ビット環境ではアドレス領域に4GBの壁があったのが、64ビット環境では一気に16EB(エクサ=10の18乗)に拡大する。ハイエンドのXeonモデルに続いて、エントリモデルのPentium4でも今年2月から64ビット製品の発売が始まり、今年は「64ビット」がキーワードとのこと。来年はこれが「デュアルコア」「マルチコア」へと移行する予定だ。

 XSI|5.0では業界として初の64ビット環境にネイティブに対応しており、32ビット版と平行して発売される。これにより10億ポリゴン程度のデータまでビューポートで扱える環境を実現しているが、アビッドによれば次世代ゲームにおける背景データのレンダリングなどでは、これはオーバースペックではないという。デモでは600万ポリゴンの背景用モデルデータをXSI|5.0で読み込む様も紹介されたが、32ビット版ではメモリが足らず、ファイルを読み込むことができなかった。これが64ビット版では問題なく読み込め、実力をアピールした。

インテル 平野浩介氏 32ビット版のXSI|5.0では開けなかったデータ 64ビット版のXSI|5.0では問題なく開け、ビューポートで確認できた
インテル平野浩介氏(左)。32ビット版のXSI|5.0では開けなかったデータ(中)が、64ビット版のXSI|5.0では問題なく開け、ビューポートで確認できた(右)

次に登壇したのはAGEIAのRichard Tonge氏。AGEIAはPhysXという物理シミュレーションエンジンと、専用のハードウェアアクセラレータを開発している企業だ。PhysXソフトウェアエンジンはEpic-Gamesの開発する「Unreal Engine 3.0」に採用されているほか、セガやUBIといった大手企業もライセンス契約を結んでおり、プレイステーション3の開発ミドルウェアとしてもライセンスされている。

 Tonge氏は物理シミュレーションを実装したゲームとして「ハーフライフ2」をあげたが、平面的な水面や衣服の表現など、多くの限界があったことを指摘した。その上でPhysXを使用すれば、これらの問題の多くが解決でき、新しい表現が可能になると説明した。実際にPhsyXでは6000個までの剛体オブジェクトや、16000個ものパーティクルをもった流体が物理シミュレーションできるという。PhsyXミドルウェアAPIはプレイステーション3、Xbox360、PCゲーム向けに開発されており、XSI|5.0の物理シミュレーションエンジンとしても実装されている。シミュレーションの結果はそのままmental rayでレンダリングできるほか、実機上で同様の挙動を再現できる。

 その後Tonge氏は自動車に周囲から水が吹き付けられるデモや、工場の機械が将棋倒しに倒れるデモ、3Dシューティングのようなデモ、流体が工場の床の上で広がるデモなどを次々に披露した。またアビッドからは、SIGGRAPH 2005で公開された、サイコロやボウリングのデモ、自動車がレンガに衝突するデモ、大小さまざまな椅子が上から降ってくるデモなどが披露された。物理エンジンは次世代ゲーム開発においてキーテクノロジの一つとして注目されており、これが3Dツールに実装されることで、どのような効果がもたらされるか、開発現場での実際の取り組みが注目される。

AGEIAのRichard Tonge氏 自動車がレンガに衝突するデモ イスが落ちてくるデモ
AGEIAのRichard Tonge氏(左)。自動車がレンガに衝突するデモ(中)と、イスが落ちてくるデモ(右)

 マイクロソフトの川西裕幸氏と、NVIDIAのBryan Dudash氏は、シェーダ技術の観点から自社のソリューションに関する講演を行った。その後、両者の講演を総括する形で、アビッドからXSI|5.0によるリアルタイムシェーダへの対応状況が紹介された。

 川西氏はプログラマブルシェーダにまつわる現状や、リアルタイムシェーダを用いるメリットを簡単に整理したうえで、DXSAS(DirectX Standard Annotations and Semantics)と、それを用いたデモを披露した。DXSASとはFXファイル内の標準化されたコンポーネントのことで、FXファイルをシェーダ処理用の中継ファイルにして、ゲームやオーサリングツール間でデータや操作、処理を共有できる。デモではXSIで作成したモデルを外部のビューワプログラムで表示する際に、DXSASを用いてパラメータを調整し、ユーザインターフェースやパラメーターが共有される様子を紹介した。

 Dudash氏はNVIDIAのシェーダ言語であるCGや、HLSLに対応した開発環境「FX Composer 2.0」のデモを披露した。FX Composer2.0ではユーザインターフェースやエンジンが改良され、複数のデバイスやシェーダがサポートされた。シェーダについてはCgFX、HLSL、GLSLを最優先でサポート。またプロジェクト書式としてCOLLADAもサポートされた。FX Composer1.XではXMLによる独自の書式が採用されていたが、ユーザから不評だったため、2.0では業界標準的な書式であるCOLLADAに切り替えられたという。その後FX Composer2によるCOLLADAファイルの表示がデモされた。

マイクロソフト テクニカルエバンジェリスト 川西裕幸氏 DXSASを経由したデモ カスタムディスプレイホスト
マイクロソフト テクニカルエバンジェリスト 川西裕幸氏(左)。中央はDXSASを経由したデモで、バックはXSI、青いビュワーが外部アプリケーションで、両者でユーザインターフェースが共有されている。右はカスタムディスプレイホスト機能

 これらを受けたアビッドの講演では、カスタムディスプレイホスト機能についてスピーチ。これはXSI内にゲームエンジンやグラフィックツールといった別のアプリケーションを取り込み、実行させられる仕組みのこと。XSI上で行った操作をツール側で、リアルタイムに反映させることもできる。XSI|5.0にはSDKサンプルとして「XSI Game」が付属しており、会場ではこちらのデモを披露。XSI|5.0のペイン内でゲームがリアルタイムに動作している様子や、XSI|5.0上で地形データを変更すると、即座にゲーム画面で地形が変更される様子が示された。

 このほか今後の技術動向の参考デモとして、FX Composer2やCOLLADAとデータを連携するためのFX-XSI COLLADAプラグインのデモや、PhysXでシミュレーションされた結果をXSIからXSI Viwerに出力する、Physics-COLLADAプラグインのデモなどが披露された。これらのデモではXSI|5.0を特別に調整したバージョンが用いられた。

 また次世代コンテンツ開発ではコンテンツの制作に加えて、膨大なファイルや作業データーをなどを管理するための、アセット管理技術が重要になる。この点についてダイキン工業から、アセット管理ツールのAlienbrainとXSI|5.0によるファイル管理のデモが披露された。また法線マップの生成などには、いったんハイクオリティなポリゴンモデルを作成する必要がある。そのための効果的なツールとしては、第3部でボーンデジタルから3DペイントツールのZBrushが紹介された。デモではXSI|5.0で作成されたローポリゴンのデータを、ZBrushに読み込み、ハイポリゴンのデータとしてディティールアップするなどの作業工程が示された。

 今まで以上に重要となる「物量への対応」を、コンテンツパイプラインを意識したツール統合、3Dモデリングと物理エンジンの連携、アセット管理の強化によっておこなおうという同社のメッセージが伝わるイベントであった。

(ライター 小野憲史)
(RBB TODAY)
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