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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
トッププロデューサー二人が企画発想法を徹底披露 ―東京コンテンツマーケット2004
10月19日
シンポジウムより。くらた氏(左)と、おち氏(右)
「東京コンテンツマーケット2004」では、出展者のブース展示やプレゼンテーションに加えて、コンテンツ創造の第一線で活躍する著名人らによるシンポジウムが開催され、会場は多くの聴衆者で埋め尽くされた。最初のシンポジウムは「企画の達人に聞く『トッププロデューサーの企画発想法とは』」。シンポジストは、人気バラエティ番組の企画・演出などで著名なプロデューサーのおちまさと氏と、リクルートで「創刊男」の異名を取った、株式会社あそぶとまなぶ代表取締役のくらたまなぶ氏。シンポジウムは終始リラックスした雰囲気で行われ、二人の企画術の秘密が徹底披露された。
おちまさと氏は「学校へ行こう」「『ぷっ』すま」「仕立屋工場」など数多くの人気バラエティ番組の企画・構成・演出・プロデュースなどを手がけ、ドラマ脚本やラジオのパーソナリティ、書籍執筆などマルチクリエイターぶりを遺憾なく発揮しているプロデューサー。おち氏は「企画とは記憶の集合体」であり、ふだん無意識のうちに聞き流している他人の会話や、一見関係のないように思える自分の体験が、ある時にピタッと集合するような物だと説明した。「企画は生理現象。出るときは出るし、出ない時は出ない。24時間考えないで考えることが大切」(おち氏)
一方くらたまなぶ氏は、「とらばーゆ」「フロム・エー」「じゃらん」「ダ・ヴィンチ」「じゅげむ」「ゼクシィ」など14のメディア・新規事業の立ち上げに関わり、今日のリクルートを築き上げた中心人物。くらた氏の企画立案のコツは「とにかく他人に聞きまくること」で、「とらばーゆ」創刊時に若干25歳だったくらた青年は、当時新聞の求人広告や職業安定書などしかなかった求人メディアの現状について、20代の女性に片っ端からヒアリングを行い、企画を練ったという。「おちさんと違って自分だけの脳内力では限界があるから、僕は他人に聞きまくる」(くらた氏)。
アイディアマン・企画マンの両者だけに、同じ発想法を違う面からアプローチしていることが多く、シンポジウムは次第に加速。「僕は企画にはポジティブ・プランニングとネガティブ・シミュレーションの2つの段階がある。その上で考えて考えて、ある日ふっとしたことで解決法が見つかる」(おち氏)。「それは僕の言葉で言うと、ロマンモードとそろばんモードっていうの。ロマンモードで広げたアイディアを、そろばんモードで徹底的に数字ではじく。これがなければ飲み屋のバカ話と同じ」(くらた氏)。
「企画がある程度固まってきたら、自分の大好きな人に相談するといい。いちばん素直な批評が返ってくる。『とらばーゆ』の時は当時つきあっていたガールフレンドに相談した。今の奥さんなんですけど(笑)」(くらた氏)。「奥さんチェックというのは僕も同じ。ここがつまらない、と容赦ないツッコミがきますからね。『仕立屋工場』の試着なし、というアイディアも奥さんが洋服を買いに行くのにつきあってひらめいた。うちの奥さんは一着の服を選ぶのに、すごい数の試着をするんですよ。このとき『もし試着できない洋服屋があったら、すごいだろうな』と思ったんです」(おち氏)
「既成概念を壊すのが好き。もう右向け左、というのが僕の信条。『自分電子台』という番組は、言ってみれば『司会者のいないテレビ番組』だったわけで、バラエティとしては禁じ手。でも『編集時間が不要』『スタッフロールが短くてすむ』『テレビ嫌いの大物タレントでも出てくれる』『予算が少なくてすむ』と一石四鳥で成立した。こういうのが好きなんですよ」(おち氏)。「『フロム・エー』の創刊時、先行の『日刊アルバイトニュース』の影響もあって、アルバイト情報誌といえばB5版と決まっていたが、『誌面の明るさ・楽しさ』を表現したくて大判の版型にした。今では情報誌といえばこのサイズが普通になっている」(くらた氏)。
またマーケティング論についても二人の考えは「数字は重要だが、感覚的な部分も大切」と一致。「市場調査とマーケティングの違いについて。市場調査というのは、消費者がある製品を過去にどれだけ買ったかということ。これは計算で出すことができる。マーケティングというのは、明日、あなたはその製品を買いますか、ということ。これは計算では出すことができない」(くらた氏)。「石橋貴明と工藤静のデュエットが話題になった時、『電波少年』の番組内で、政治家の亀井静に「静つながり」でアポなしデュエットを放映したところ、渋谷の女子高生にウケた。これはマーケティングでは予測できない」(おち氏)
二人の話は1時間半のシンポジウム中、話題を変えながら止めどもなく続き、気がつけば終了時間。「僕らの仕事は数字で評価されることが多いし、二人とも数字は大好きだけど、でもその前に二人とも「国語」の時間がいっぱい必要だということがわかった」(くらた氏)。「最終的にワンワードでまとめられれば、その企画は勝ちだと思う。昔、古館伊知郎さんがプロレスラーのアンドレ・ザ・ジャイアントが歩く様を見て『一人民族大移動』と言ったことがあった。ああいうすべてを一つに集約できることばが使えることをとても尊敬している」(おち氏)。
最後に二人は会場の若いクリエイターに対して「日本経済、価格破壊の次は年齢破壊の時代が来る。若い人は早いうちに自分の好きなことを見つけてチャレンジしていってほしい」(おち氏)「年齢は関係ない、なんて甘い。年齢が年下の方が未来人という意味で凄いと思っている」(くらた氏)とコメント。シンポジウムというより「対談」といった方が適切な、非常に楽しい1時間半だった。
(ライター 小野憲史)
(RBB TODAY)
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