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ラグナロクオンライン成功の秘訣は「かわいい空白」 ― CEDEC2004 imc GAMES Kim Hakkyu氏講演
9月7日
 MMORPG「ラグナロクオンライン」を開発したKim Hakkyu氏(現 imc GAMES)は、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2004」の講演で、オンラインRPG開発ではプレイヤーが創造的に遊ぶ余地、「Pretty Blank(かわいい空白)」が重要だと述べた。

 Kim氏はオンラインゲームの特徴として、

・オンラインゲームはネットワークの法則によって支配されている
・オンラインゲームは長期的な関係である
・オンラインゲームはエンタープライズコンピューティングに近い

の3点をあげた。ネットワークの法則は、Metcalf’s lawとしても知られる「法則」で、「ネットワークの価値はノード数の2乗に比例する」というもの。電話などの有用性を説明するためによく引き合いに出されるもので、ユーザ同士がゲーム内で相互にインタラクションできるオンラインRPGでも同じ法則が適用できるという。

 オンラインゲームが提供者とユーザの長期的な関係であるということで、一般に開発にかかる時間はユーザがそれを遊ぶ(消費する)時間よりも長いため、オンラインゲームでは開発が追いつかなくなる。そこでKim氏が注目したのがユーザ自身が面白いことを創造できる隙間、「Pretty Blank」。ラグナロクオンラインにおけるPretty Blankは、チャットルーム、露店、ギルドエンブレムのデザイン、モンスターが召喚できるアイテム(古木の枝)であるという。これらは当初からPretty Blankとして意図されたものではなかったが、ユーザ自身がこれらを使っていろいろと遊び始めたことで、開発期間が短い機能が長く遊ばれることになった。

 また、オンラインRPGを長期間サービスを提供していると、ゲーム内の通貨流通量がしだいに増えていき、インフレがおきることが避けられないが、これについては次々に強力なモンスターを出すことで、アイテムの買い替えの動機とし、貯めたお金を使ってもらう、というデザインをおこなっているという。アイテムが使っているうちに壊れることで買い替え・買い直しを促すというゲームシステムについては、ゲーム内アイテムが現金との交換性をもっていることから、ユーザの所有物に直接手を出すことはできない、大金を払って買ったユーザに対してよくない、と述べた。もっとも、このあたりは現金によるアイテム売買が一般的となっている韓国の人らしい考え方かもしれない。

 エンタープライズコンピューティングとオンラインゲームの類似点としてKim氏は、特にトランザクション処理の必要性を指摘。たとえばお金とアイテムを交換する場合に、お金がない、あるいはアイテムを置くスペースがないなどの理由で交換をキャンセルした場合は、確実にお金とアイテムを元の状態に戻せることが必要だ(さもないと複製やロストが発生する可能性が出てくる)。

 Kim氏は現在imc GAMESで開発中のMMORPGについて、XMLを採用することでキャラクタの情報などをフレキシブルな形でサーバ上に置き、XMLスキーマを企画者が作る方法を採用していることを紹介。ゲームエンジンを作るプログラマと、その上でゲームの内容を作る企画者が、それぞれ自分の担当する箇所を作り込んでいくことになる。こうしたデータのフレキシビリティは、デザイナにデバッグ負荷の押しつけではないか?という会場からの問いには、WWWのApacheやIISがゲームエンジン、JSPスクリプトやHTMLがゲームデザインとみなせば、デバッグはデザイナがする方が適切ではないかと述べた。


 CEDEC 2004は、コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の主催するゲーム開発者向けカンファレンスで、9月8日まで開催。

(伊藤雅俊@RBB)
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