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★ Slash Gamesは、2007年6月1日より「インサイド」になりました
日米欧とアジア圏のオンラインゲームへの温度差、キーワードは「経路依存性」と「インフラ」 ―ISAGA2003レポート
8月30日
8月29日まで開催された国際シミュレーション&ゲーミング学会で、オンラインゲームの事業者や研究者を招いたセッションが設けられ、アジアのオンラインゲームの現状や将来についての発表がおこなわれた。
プレナリーでは、韓国中央大の魏晶玄助教授がオンラインゲーム(特にMMO)市場の地域的な温度差を指摘した。日米欧といったゲームの先進国でオンラインゲームがあまり立ち上がらない一方で、中台韓などアジア市場で急速に拡大しているという現象について、「経路依存性」と「オンラインゲームインフラ」という2つのキーワードを使って説明した。
盛大ネットワーク黄哲氏の発表より、IDCによる中国オンラインゲーマー数予想。単位は「万人」で、日本とは数字が1〜2桁違っている
1つめのキーワード「経路依存性」は、古い製品への慣れが新製品に影響を与える、というもの。日米欧には強力なビデオゲーム市場が存在している一方、アジア各国にはビデオゲーム市場が元々存在しない(韓国における日本製家庭用ゲーム機の輸入禁止措置や、中国におけるゲームセンターの禁止などによる)、という違いがある。
ユーザにとっては、家庭用ゲーム機やアーケードゲームで十分満足できる一方、オンラインゲームは操作が面倒でPC操作も必要となるため、敷居が高くなりがち。
また、日本のベンダーにしても、オンラインゲームという新しいビジネスモデルへの理解がないという。オンラインゲームを作成するには、スタンドアロンのゲームを作るのと違い、サーバ技術やユーザコミュニティの運営ノウハウが必要で、ベータテストプロセスも必要となる。こうした部分について魏助教授は、オンラインゲームは単なるゲームではなく、むしろ都市計画や不動産デベロッパー事業に似ていると述べた。
2つめのキーワード「オンラインゲームインフラ」は、ブロードバンド、決済システム、PC房の3つ。このうち「ブロードバンド」は高速が必須というわけではなく、通信コストが低ければ十分だという。
「決済システム」は、特に韓国で小規模課金を成功させている特有のインフラで、携帯電話や固定電話と住民登録番号を組み合わせて決済を行えるというというもの。中国ではプリペイドカード決済が主流だ。日本で主流のクレジットカード決済はカードを保有している必要がある上、手数料がかかるため少額になるほど決済に不向きである。
最後の「PC房」は、特に中韓の特殊要因で、単にプレイヤーが集まる場というだけでなく、PCトレーニングの場として強く機能したという。(魏助教授によれば、この3つの要素はオンラインゲームのために意識的に設計・導入されたものでないということだが、機会に恵まれるときというのはそういうものだろう)
ただ、魏助教授の指摘の一方で、北米にしても日本にしても、決してMMOがダメなわけではない。アメリカはDiabloやUltima Onlineを生んだ国で、現在はEverQuestやStarWars Galaxiesが多くのプレイヤーを集めている。また、日本もファイナルファンタジーXIやラグナロクオンラインを楽しむプレイヤーはかなりの数に上っているし、これらタイトルは事業としても黒字でまわっている。さらに各国ベンダーから新作や新機軸の作品も次々に発表されている。
ただ、極東〜東南アジア地域におけるMMOの爆発的な普及(韓国はリネージュだけで400万人、中国のオンラインプレイヤー人口は1300万〜1500万人といわれる)と比べると、日本のラグナロクの「27万人」や米国のSWGの「2ヶ月で27.5万人」という数字は、韓国や中国の人には驚くほど地味な印象を与えるのだろう。
“パソコンとインターネットはあるけどゲームセンターや家庭用ゲーム機はあまり普及していない”という中・韓〜東南アジア地域にとっては、インターネットブーム・ファミコンブーム・ゲームセンターブームなどがまとめて押し寄せてきた(しかも多くの地域では民主化も同時に進展している)というような側面があり、それらを長いスパンで順番に受け入れてきた日米欧よりも強烈な熱狂をもたらしていると言えそうだ。
(伊藤雅俊@RBB)
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