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第2回 “ロケーションフリー”でどこでもテレビを!

 「自宅で録画した番組を外出先で観たい」という願望は、ヘビーなTVユーザーに限らず、多くの人が思ったことがあるに違いない。それを実現する製品がソニーの「ロケフリ」だ。しかし、この製品は同時にアップロードの帯域が広いブロードバンド回線をも必要とする。つまりは光ファイバーが必須といえるサービスなのだ。

●ロケーションフリーに必要なもの
どこでもブロードバンドが楽しめる概念イメージ写真
<写真は、どこでもTV放送や録画した番組の視聴を楽しめるイメージ>
TV放送や録画した番組をどこでも自由な場所で

 「ロケーションフリー」は、もともとソニーのワイヤレステレビ「エアボード」から派生した商品だ。これはベースステーションとワイヤレス液晶テレビのセットで、AV機器の画像をリアルタイムにエンコードし、無線LANで液晶テレビに伝送してくれる。ただ、10万円を超える高価な製品だった。ロケーションフリーは、このベースステーションを単品で販売し(約3万円)、受信にPSP(プレイステーション・ポータブル)や、無線LANを搭載したパソコンを利用できるようにしたシステムだ。さらに、ベースステーションにはLAN端子を備え、インターネットを介することでTV放送や録画した番組を屋内だけでなく、出張先などの遠く離れた場所でも自由に視聴できるようにしたのが「ロケーションフリー」なのだ。

 ベースステーション(製品情報)自体には、VHF(1〜12ch)/UHF(13〜62ch)/CATV(C13〜C63ch)対応チューナーと、2系統の映像入力端子、さらにLAN接続用の100Base-TX端子と、IEEE802.11aまたは、IEEE802.11g/、bに対応した無線LANステーション機能も装備する。つまり、ベースステーションを導入するだけで、ロケーションフリーに加えて通常の無線LANも利用できるようになるわけだ。これを機に自宅に無線LANを導入してみる、というのもいいだろう。ただし、IEEE802.11aとIEEE802.11g/bは同時には利用できないので注意が必要だ。

「赤外線リモコン」機能

 AV機器のコントロールは、ベースステーションに接続された「AVマウス」で行う。「AVマウス」とは赤外線発光部のことで、いわゆる「赤外線リモコン」として機能する。このAVマウスから通常のリモコンと同様に赤外線信号を送り、機器をコントロールするわけだ。一見ローテクのようだが、赤外線リモコンはほとんどのAV機器で使用されており、汎用的に使える操作手段でもある。受信装置であるPSPやPCの画面上には、AV機器からの映像に加えてソフトウェアリモコンを表示し、それを見ながらベースステーション経由でAV機器コントロールできるわけだ。なお、コントロール可能な外部機器の詳細はソニーのホームページで公開されているが、PSPとLFA-PC2(PC用受信ソフト)を使った場合ではコントロールできる機器に違いがある。

 ・PSPを使用した場合のリモコン対応機器
 ・LFA-PC2を使用した場合のリモコン対応機器

快適な光回線速度と安定性

 インターネット経由でロケーションフリーを使う際のポイントは、自宅の回線の上り速度にある。ロケーションフリーでは録画した番組であっても、ファイルの転送(コピー)ではなく、ストリームで配信する。つまり接続したAV機器の映像をリアルタイムでエンコードし、無線LANや有線LANで配信、受信したらすぐに再生するという流れになる。映像形式は高効率の圧縮が可能なMPEG-4形式で、最大3Mbps(可変ビットレート)程度の回線が必要になるという(RBB TODAY編集部調べ)。上り3Mbpsといえば、少し前のADSL理論限界値を超えた値だ。インターネット経由で高画質のまま視聴したいなら、上り側が速い光ファイバー回線が圧倒的に有利になる。ちなみにロケーションフリーの送信ビットレートは、遅い回線では自動的に画質が下げられ、最低で150Kbps程度まで落とされてしまう。150kbpsではもはや動画というより紙芝居のような状態で、ドラマや映画を観る品質とはいい難い。少しでも高い品質でビデオを動画を見るには光ファイバーが必須といえるだろう。

画像:ロケーションフリーの構成

<ロケーションフリーの構成。DVDレコーダーなどの外部機器をリモコンでコントロールし、パソコンなどは不要。回線はADSLでもかまわないが、3Mbps程度が必要なので光ファイバー回線が妥当だろう。>
●外部からの接続には?
遠隔地でも自動接続

 遠隔地で視聴するための受信装置としては、ファームウェアを最新版にアップデートしたPSPか、Windows用ソフト「ロケーションフリープレイヤー」(LFA-PC2)もしくは加賀電子の発売するMac OS X用ソフト「TLF-MAC」をインストールしたパソコンが利用できる。また、株式会社アクセスからはウィルコム「W-ZERO3」でも利用できるPocketPC用ソフトの発売も予定されている。ベースステーションに接続できる端末は、セキュリティのため8台までに制限されている(最新ファームウェアを使用)。また、UPnPにも対応し、ルータ越しの設置もウィザードに沿って進めるだけで終了する。

 インターネットから自宅のベースステーションに接続するのにも、本来なら自宅パソコンのグローバルIPを設定するといった手順が必要になるはずだが、一度自宅で端末になるPSPやPCを設定してしまえば、その後は面倒なIPドメイン名、パスワードの入力などは一切せずに、自宅のベースステーションに自動で接続できる。これらはソニーが提供する「NetAV」という機能で管理されているのだが、その簡略化は驚くほどで、ほとんどネットワークの知識がなくても使えてしまう。

DynamicDNSサービス

 実はこのサービスには、DynamicDNSサービスが利用されている。DynamicDNSとはその名のとおり「動的なDNS(Domain Name Service)」のこと。つまり、本来は固定(Static)IPで利用するDNSを、動的(Dynamic)IPで利用できるようにしたサービスである。サーバーを特定するにはドメインが必要なのだが、ADSLなど通常のインターネット接続では、プロバイダーから提供されるIPは接続のたびに変化する。これではサーバーの特定に具合が悪い。そこでIPが変化しても特定のドメインにつなぎ直し、常に同じサーバーに接続できるようにするサービスがDynamicDNSなのだ。

 DynamicDNSのサービスは複数の会社が提供しており、その多くは無料で利用できる。 通常、このように外出先から自宅にアクセスする場合、 ルータの細かな設定が必要になる。 それに対し、ロケフリの場合、ソニーが提供する「MyNetAV.com」という名のドメインを利用しているため、ルータの細かい設定は必要ない。

 具体的には、クライアントからLF-PK1の設定ページをブラウザで表示し、「かんたん設定」でウィザードを進めるだけ。UPnPを利用してルータ(UPnP対応が必要)に利用するポートを自動的に登録、さらに同社が提供するダイナミックDNSサービス(無料)への登録が行なわれ、自動的に利用可能となる。

  また、DynamicDNSサービスでは1つのグローバルIPに対して複数のドメインを設定できるので、すでにサーバーなどを設置してDynamicDNSを利用していても、問題なくロケーションフリーは利用できる。

●テレビパソコンならリモートデスクトップ
リモートデスクトップ

画像:リモートデスクトップの操作画面
<リモートデスクトップの操作画面。デスクトップが二重になっているのがわかるだろうか。遠方のマシンでビデオを再生したが、ちゃんと音声まで流れてくる。手元のPCにファイルコピーはできないので、その場合はFTPなどを使ったほうがいい。>
 ロケーションフリーは簡単にビデオ機器などをコントロールできる。しかし、テレビ機能を内蔵したパソコン、いわゆるテレビパソコンの画像を外出先で観たいなら、いっそのことテレビパソコンを丸ごとリモートコントロールしたほうができることはぐっと広がるはず。それが、Windows XPで標準搭載された「リモートデスクトップ」だ。

 リモートデスクトップとは、離れたところから自宅のPCを操作する機能で、インターネット越しでも比較的軽快に操作できる。またWindows標準機能として用意されているだけあって、動画もきちんと再生できたり、音声までリモートマシンに伝送されるなど、使い勝手もいい。また、自宅パソコンのモニター解像度に関係なく、リモートパソコンに合わせて解像度を変更する機能など、純正ソフトならではのきめ細かさもある。自宅のパソコンにはWindows XPがインストールされている必要があるが(リモートパソコンはWindows 98/Me/2000が使用可能)、XPを使っているなら便利なのでぜひ一度は試してほしい。

 自宅パソコンへの接続には、前述したDynamicDNSを用いたドメインを指定するか、あるいは直接IPアドレスを指定する。あとは自宅パソコンに設定してあるユーザー名とパスワードを入力するだけで、自宅でパソコンを利用しているのとほぼ同じ環境が外出先から利用できる。

 自宅のパソコンが操作できるということは、録画したムービーファイルをコピーしたくなる。しかしリモートデスクトップではコピーできない。そこでどこかのFTPサーバーやファイル共有サービスなどを利用して、リモートパソコンにファイルをダウンロードしたり、逆に仕事のデータを自宅のパソコンに保存するといったこともできる。自宅にFTPサーバーを設置してあるなら、自宅内のLAN間コピーだけをリモートデスクトップで行い、データそのものはFTPクライアントで取りにいくのも簡単だ。

 ・リモートデスクトップの設定

リモートソフト

画像:RealVNCの操作画面
<RealVNCの操作画面。デスクトップが二重になっているのはリモートデスクトップと同じだが、自宅のマシンのOSにはWindows 98/Me/2000やUnixが使えるほか、クライアントもいろいろなOS用が用意されている。操作はリモートデスクトップに比べるとかなり重くなってしまう。>
 自宅マシンがWindows XPでなかったり、外出先のパソコンがUNIXやMac OSなんてこともあるだろう。そんな場合には「RealVNC」というリモートソフトを使う手もある。RealVNCは、米国のAT&T研究所が作成したVNC(Virtual Network Computing)を元に作られた由緒正しいソフト。現在は、独立したRealVNC Ltd.がソフトを配布しており、無償のパーソナル版から、有償のエンタープライズ版までさまざまなバージョンが用意されている。エンタープライズ版では高度な暗号化なども可能な強力なソフトとなっている。動画を見るほど転送効率は良くないのが残念だが、テレビパソコンの動画データを別のサーバーにアップする程度なら十分利用できる。


 DVDレコーダーの普及で、欲しい番組は欠かさず録画しても、見る時間がなく溜まるばかりという人も少なくないだろう。ロケーションフリーなら、外出先でもあいた時間にこういった番組を楽しめる。これがブロードバンド時代のテレビ番組の楽しみ方なのだ。

フレッツ「ロケーションフリー」利用方法の詳細はhttp://flets.com/spot/s_scene.html


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