IP電話が利用されはじめてからはや4年。徐々に認知度もあがり、ユーザーも増えているものの、その便利さとはうらはらにまだまだ一部のユーザーの間だけの利用にとどまっているのが現状だ。「音質が悪い」「専用の電話機が必要」などIP電話のサービスイン当時の印象をそのままひきずって、興味はありつつもいまだIP電話に乗り換えていないというユーザーも多いだろう。
そんな中、今年に入ってあらたに、03や045ではじまる既存の電話回線の番号である0AB〜J(ゼロエービージェイ)番号が利用できる、FTTHを利用したIP電話サービスが本格化してきた。これまでのさまざまな問題点を解決しつつ、一気に一般加入電話からの乗り換えが進みそうなこのサービスを追ってみたい。

固定電話をとりまく現状を探るために、まずは現在の固定電話にはどのような選択肢があるか見ていきたい。
もっとも一般的な、一般加入電話からみてみよう。ご存じの通り従来からあるこの方式は、すべての回線がNTTを通る。利用するには電話加入権(※1)が必要で、毎月の基本料は1,785円(3級局)。キャッチホンやナンバーディスプレイなど付加サービスにより金額は違うが、通話料別で、約2,000円前後かかっているはずだ。
この一般加入電話には、2001年に「マイライン」サービスが開始された。登録内容に応じてNTTを経由してから選択した他事業者を通るという方式で、他事業者を通る区間分、通話料を割安にできる特長がある。マイラインサービスが開始された時には、CMや広告も集中的に展開され、登録の際にどの電話会社を選ぶか迷った記憶もあるのではないだろうか。ただし、このマイラインの利用も電話加入権は必要なので、一般加入電話のオプションのような感覚で利用している方も多いだろう。
3つ目は、2003年に始まった「直収電話」サービスだ。これは電話局とユーザーの間の回線のうち、空いているアクセス回線を事業者が借り受けて、電話局間の回線も事業者の回線を利用する。ユーザーにとってはNTTとの契約が必要なく、基本的に電話加入権も必要ない(※2)。また、0AB〜J番号も利用できるため、電話番号もかわらない。電話加入権が必要ない分初期投資が安価で、通話料も割安だが、毎月の利用料は同様にかかる。基本料は1,470円(KDDI「メタルプラス」、平成電電「CHOKKA」)、または1,575円(日本テレコム「おとくライン」)。通話料の詳細は下記の表を参考にしてほしい。特に長距離間の通話で割安だが、ナビダイヤルの0570やフリーダイヤルの0120などが、一部利用できないサービスもあるなど、乗り換えには一般加入電話やマイラインではおこらない、制限事項に注意したい。
※1:施設設置負担金。2005年3月に75,600円(税込)から37,800円(税込)に値下げされた
※2:KDDIのメタルプラスや日本テレコムのおとくライン(Bプラン)では工事費として毎月105円×60カ月かかる。CHOKKAは1年間の最低利用期間あり

一般加入電話と直収電話の違いよりも、さらに大きく違うのが、050番ではじまる「IP電話」サービスだ(以下「050
IP電話」)。この050 IP電話は、ADSLなどブロードバンド回線と専用端末を設置することにより、今ご利用の電話機を使って通話を実現する。詳しくは次回、第二回で解説するが、通話料無料など大きな利点はあるものの、0AB〜J番号が使えず、0120のフリーダイヤルをはじめ、110番や119番などかけられない番号も多く存在する。そのため、一般加入電話と併用されているケースも多い。
そして、もうひとつ、今年になって本格化しつつあるのがFTTHを利用した光・IP電話だ。NTT東日本の「ひかり電話」やKDDIの「光プラス電話」、USENの「GATE
CALL」などがそれだ。ADSLなどに比べて高速回線の安定した音声品質が維持できることから、IP電話ながら0AB〜J番号の利用が認められており、一般加入電話の既存の番号を引き継ぐことができる。NTT東日本の「ひかり電話」の例では、050
IP電話でかけられない110番や119番などの番号に加え、直収電話の一部で利用できない0120のフリーダイヤルや104の番号案内などにも対応しており、ほぼ一般加入電話と同等のサービスとして利用できる。「電話番号はそのままで、毎月の基本料を安くしたい」というニーズにぴったり合ったサービスだと言えるだろう。

この光・IP電話サービスの料金について、NTT東日本の 「ひかり電話」の例で詳しくみてみよう。直収電話にくらべて基本料はほぼ1/3、月525円から利用できる。通話料も全国一律で3分8.4円におさえられ、一般加入電話への通話では050
IP電話とほぼ同等の価格だ。
ここで注目したいのが、ADSL(タイプ1)を利用した場合との価格差だ。ADSLは基本的に一般加入電話の回線を使用しているため、電話回線を解約する場合にも、タイプ2への契約変更と毎月の電話回線使用料が発生する。しかし、FTTHであれば電話回線は必要ない。ひかり電話のような光・IP電話を利用して、一般加入電話は「休止」の手続きを取れば、既存の番号を使いながら、毎月の基本料を安くすることができるというわけだ。
下図はフレッツADSL(モアIII)+一般加入電話で利用した場合と、Bフレッツ+ひかり電話を利用した場合の価格差だ。特にマンションタイプではADSLからFTTHに変更するにもかかわらず、大幅に利用料がダウンしている点に注目したい。一戸建ての場合でも、FTTHとの価格差は620円とわずかで、一般加入電話とひかり電話の通話料の格差を考えれば、利用状況によっては逆転する可能性も多々ある。現在FTTHを使用して、かつ一般加入電話を利用している状況なら、一般加入電話からひかり電話に変更することで、2,000円前後の月額料金を525円におさえられることになり、FTTHのお得感をさらに享受できることになる。
※価格はすべて税込表示。プロバイダ料金はOCNの例

現在0AB〜J番号が利用できるサービスである、一般加入電話とマイライン、直収電話、そして光・IP電話について比較してみたが、基本料・通話料の価格面と、緊急電話への対応などの信頼性からは、光・IP電話のバランスのよさが見えてくる。光・IP電話サービスでは、一般加入電話をはじめ、携帯電話、PHS、そして050番号との通話や国際通話も可能で通話料も格安だ。
光・IP電話は通常利用の範囲では一般加入電話からの乗り換えにまったく問題がないように見えるが、まれに0AB〜J番号の引き継ぎができないケースもあるし、光・IP電話にも一部通話が可能な番号と不可能な番号も存在するため、通話ができないサービスを固定電話でひんぱんに利用するような場合には、慎重に検討が必要となる。
以下の表はそれぞれのタイプで利用できない番号の一覧だ。0570のナビダイヤルはチケット販売会社やユーザーサポートで利用されているほか、CS放送などのPPVの支払いに利用されている場合がある。詳細は、契約する光・IP電話サービスの提供会社に問い合わせておくと確実だ。
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