ADSLに比べて高速といわれるFTTH。数値だけみればADSLと比較すると倍近い速度を表示している。さらに、最近の50Mbpsタイプと言われるADSLを導入しても、サイトによってはゆっくりと表示されたり、なかなか画像が出てこなかったりと、速度に対する不満は尽きない。
また、以前は大容量データといえば、ソフトウェアのダウンロードばかりであったが、動画を公開するサイトに大容量の動画ファイルを登録したり、コミュニケーションソフトで大容量のデータを相手に渡す機会が多くなった今、ダウンロードだけでなくアップロードの速度も重要。FTTHはこれらの悩みを解決してくれるのだろうか。

FTTHのサービスを導入すると、まず、当たり前のことだが高速で安定したインターネットが楽しめる。店頭では盛んに「ADSLの△倍!」などと宣伝されている。しかし、実際に店頭などでFTTHに接続されたパソコンを使ったことのある人ならわかると思うが、通常のWebサイトを見るだけではADSLと「変わらない」ということが正直な印象だろう。
実際、ある程度良好な環境で接続している実効速度が5Mbps程度のADSLと、実効スループットで7〜80Mbps出ているFTTHで、合計容量が数百Kbytes程度のWebページを表示させても違いは気づきにくい。むしろ、パソコンの性能やそのときの調子による表示速度の違いのほうが目に付くくらいだ。
では、どんな場面でFTTHの良さがわかるのだろう。たとえば、毎週必ず更新データがダウンロードされるセキュリティソフトや、不定期であるが、わりと頻繁なWindows
Updateのダウンロード時に明らかな違いを感じる。大容量のファイルのダウンロードとなれば、回線が10倍早ければ、時間が10分の1になる。
ADSLでも実行速度で上限に近い30Mbpsに近い速度が出ているユーザーにとっては、ダウンロードの速度のメリットは少ないともいえるが、実際に30Mbpsという速度が出ているユーザーはほんのひと握り。50MbpsタイプのADSLでもADSL区間が5Mbps以下の速度で接続している例はたくさんある。中にはどんなタイプのADSLを導入しても1Mbpsを超えたことがないというユーザーもいるだろう。
ADSLは、もともと高速なデータを伝送するつもりのなかった銅の電線に高速データを通しているため、収容局からの銅線の長さ(線路長)による抵抗分によって帯域が決まり、その結果、収容局から遠いユーザーの速度が落ちてしまうのだ。ADSLのサービスの名前は「50Mbps」とされていても、実際には数Mbpsになってしまう可能性があるのがADSLの実態。最先端の技術が詰まっているとはいえ、昔ながらの銅線ゆえに超えられない部分がある。
ADSLの場合、収容局から遠いユーザーの速度が落ちることに対し、速度が落ちることのないのが光ファイバー。この光ファイバーを家に引き込むサービスをFTTH(Fiber
To The Home)と呼ぶ。光ファイバーはもともと高速データを流すためのものであるため、高速なのは当たり前なのである。
たとえば、収容局から離れているとの理由で、ADSLの接続速度が極めて低い家があったとする。接続速度が低いという場合は、概してADSLの通信信号も弱く、なんらかのノイズによってリンクが切れてしまう場合がある。たとえば、回線の調整で直ることも多いが、電話がかかってくるとADSLのリンクが切れてしまうことが挙げられる。また、家庭内の特定の電気製品を動作させるとリンクが切れたり、近所の工場の稼働時間になるとリンクが切れてしまったりなどという事態も発生する。
そうしたことが一切ないのがFTTHだ。金属製のケーブルではなく、光ファイバーの中を光が通るため、ケーブル自体は電気的ノイズの影響を一切受けない。自宅まで引き込まれる光ファイバーの途中に大きな電気的ノイズ源があったとしても、回線が切れたり、データが通らないということはないのだ。
このように、きわめて良好にADSLが接続される一部のユーザーを除いては、自宅で使っていくうちにFTTHのメリットを目に見える形で実感するだろう。店頭ではほんの一瞬しかFTTHの効能はわからないが、安定性などはむしろ使ってみてはじめて実感するものである。
また、上りの速度が早いのもFTTHの特長だ。動画を公開するサイトに大容量の動画ファイルを登録したり、コミュニケーションソフトで大容量のデータを相手とやりとりするユーザーにとっては、その速度の差を大きく感じることだろう。FTTHは下りが100Mbpsなら上りも100Mbpsであることがほとんどで、上り速度が規格上で1〜5Mbpsというユーザーが多いADSLとは雲泥の差。これならその差がわかる場面も多いだろう。
FTTHの強みは、いつでも規格どおりの通信速度が出て、いつでも安定して通信ができることだ。しかし、いくら良い回線だからといっても、月々の支払い額が多くなるのでは無理に導入する必要がないと考える人も多いだろう。
そこで、実はもっと大きなメリットがFTTHにはあることを忘れてはならない。インターネット以外にも色々なサービスが用意されており、それらを上手に利用すれば、さまざまなメリットを得ながらトータルの支払額としては少なくなる、なんてことも実現可能なのだ。
たとえば、TVCMが盛んに流されている光ファイバーを使った電話サービス。NTT東西の「ひかり電話」の場合、月々の支払いは525円(税込)からとされているが、FTTHサービスのBフレッツがすでに導入されている場合は、これだけで通常の電話を置き換えられる。
「ひかり電話」はIP電話なのだが、一昔前に流行った050番号のものと違い、完全に家の電話を置き換えるサービス。しかも、電話番号も家の番号を引き継ぎできる。一般の電話番号と同じ番号体系を使う条件として総務省の定める高い品質を備えていなければならないが、それをクリアしていることからも品質の高さが伺える。
さらに「ひかり電話」を導入すると家の電話を解約してしまってもかまわない。これで月額2000円近くかかっていた電話の基本料金がなくなるため、トータルでみればコストの面でも有利になるというわけだ。
さらに、それだけではない。4th MEDIAなど動画配信サービスのオプションも登場している。これはパソコンでちょっとした動画を見るのではなく、レンタルなどで提供される専用機器をテレビにつないで視聴するため、画質もパソコンで見るものより格段に自然で見やすいものだ。
なによりパソコンを使い、机で映画を見るのではなく、居間のテレビでリラックスして見ることができる。パソコンでの動画視聴に違和感を感じていたユーザーは、ぜひ試してほしい。
このようにメリットの多いFTTHだが、唯一面倒なのが導入にあたっての工事だ。工事費用は無料キャンペーンなどをうまく利用すれば、全くお金をかけずに導入ができるが、導入工事はADSLと違って立ち会わねばならず、一度開通させれば、FTTH事業者を変えるためには、撤去工事と導入工事の2回も行わなければならない。
その点、Bフレッツは有利だ。回線とプロバイダーを別々に申し込むことができるため、ひとたびBフレッツを導入すれば、ルーターや接続ソフトの接続先設定を変えるだけで、プロバイダーの乗り換えが簡単にできる。プロバイダーはどこでも同じと思われがちだが、付加サービスなどを突き詰めていくと違いが大きいこともある。特に動画配信サービスはプロバイダーごとに異なっている。
高速なFTTHを導入するならば、プロバイダーやサービス選択の自由度が大きいBフレッツをすすめたい。