|
第11回:議論の呼びかけはトラックバックスパムか?
2005年5月24日
有名ブログの「炎上」事件が続出している。読者コメント欄に匿名の荒らし投稿が殺到し、キレた管理人さんが煽り返す。すると祭だ、ってんで人が人を呼び、そのうちに収拾がつかなくなる。これが典型的なパターンだ。
そこでふと考えた。私は実名でブログ(すちゃらかな日常 松岡美樹)を書いているが、ほかのブロガーさんたちはネット上における匿名と実名についてどんな認識をお持ちなのか? また書く側だけでなく読む側、コメント欄に書き込む人はどう考えているのだろうか?
ちなみに私は勝手に実名でやっているだけで、他人にそれを押し付ける気は毛頭ない。私自身の考えを説明していると長くなるので、ここではふれない。もしご興味がある方は、私のブログのエントリー「匿名の心理、実名の心理〜暴言の抑止力になるものは?」とそのコメント欄あたりをお読みいただければ幸いだ。
てなわけで私は議論を喚起する意味で、匿名・実名問題をテーマに前述のエントリーを立てた。そして何人かの方にトラックバックを送ってみた。いわばトラックバックスパムまがいの行為である。
が、結果は反響を呼び、有意義な議論が巻き起こった。そこで今回はトラックバック(以下、トラバ)の「呼びかけ機能」について考えてみよう。
 |
トラバのセオリーはまだ確立されていない
 |
| |
トラバはどうあるべきか? 実のところはっきりしたセオリーはまだ確立されていない。問題はその特異な機能にある。トラバはいわば、他人の家へ上がりこみ、自分の家につながるリンクを「無理やり作る」ものだからだ。
自分の記事が文中で紹介されていないトラバは削除する、という人もいる。逆に自分のエントリーにはまったく関係なくても、「内容がおもしろければOK」って人もいる。その中間は、自分の記事には触れてなくても「テーマが同じなら認めます」てなパターンだ。
またトラバを送るにあたっても、コメント欄で送った旨をひとこと挨拶してほしい、と考える人もいる。逆にそんなものは必要ない、勝手に送れ、とサバけたブロガーも多い。
ではブログ・サービスを運営する事業者の側はどうか? ブログ「kakoの手文庫」さんでは、各ブログ・サービスのガイドライン一覧をまとめられている。ご覧のとおり、事業者によっても認識はこんなにまちまちだ。
なわけで今回トラバを打つにあたり、ちょっと考え込んでしまった。「この人は知的で洞察力がある。ぜひご意見を伺いたい」と思っても、その人が匿名・実名問題を取り上げていなければトラバが打てないからだ。これでは世の中に広く議論を呼び起こすことができない。
そこで私は非難を承知で「やっちゃう」ことにした。ただしできる限り礼をつくす必要がある。
まず先方の最新エントリーを拝読したうえで、それについての感想をコメント欄に書き込んだ。そして後段で、「このエントリーとは直接関係がなく大変恐縮ですが、みなさんのご意見を伺いたいと考えトラックバックを送らせていただきました。もしご迷惑でしたら、お手数で申し訳ありませんが削除をお願いします」と書き添えた。
ただしいくつかのブログでは、そのサービスのユーザIDがなければコメントを書き込めないしくみになっている。またそもそもコメントは一切受け付けない設定にしているブログもある。なのですべてのトラバ先にコメントを書き込めたわけじゃない。
またふだんの巡回先とはいえ、今回はハナからトラバを打つのが目的で訪問している。だから前段で最新エントリーの感想を書いたところで、見方によってはアリバイ作りにすぎない。もちろん真剣に拝読し、自分なりの読後感を書き込んだが、どう受け取るかは相手しだいだ。
だがブログが荒れる現象はこのところ特に深刻だ。だれもが被害者になる可能性があるし、逆にはずみで加害者と化す場合もありえる。その意味では普遍性があるし、ネット上における社会問題ともいえる。
で、私は公共性のあるこのテーマについて、どうしても「その人」の考えをお聞きしたかった。また「その人」たちが洞察力のある意見をめいめい公開すれば、それをテキストにみんなで考えることができる。
ひとりひとりが思考した結果がやがては大きなうねりになり、何がしかの方向性やコンセンサスが生まれるかもしれない。そのための点火装置、問題提起になればと思った。
|