|
 |
「常連さん」たちの排他主義が陰湿ないやがらせにつながることも
 |
| |
もちろんチャットで継続的な人間関係をきずいている人もたくさんいる。その典型がいわゆる「常連さん」たちだ。それぞれのチャット部屋にはたいていいつも同じ顔ぶれの人たちがそろい、和気あいあいとやっている。だがこの一見平和な「常連さん」たちのコミュニケーションにも、落とし穴はある。それはややもすると排他主義におちいりやすいことだ。
常連さん同士が共通の話題で盛り上がっているところに、おハツの人(初対面の人)が入って来たとしよう。で、おハツの人が「こんにちは。初めまして」などとあいさつしても、だれひとりあいさつを返さない。完全なる無視。そんな光景もよく目にする。まあ常連さんにしてみれば「せっかく仲間内で盛り上ってるところなのに」てな感じなのだろうが、ちょっと悲しくなってしまう風景ではある。
とまあ、あいさつ程度ならたいした問題でもないのだが、このテの排他主義が高じるととんでもない事件も起こる。常連さんたちにとって、いきつけの部屋はかけがえのない居場所である。自分たちとはノリの違う人に、その「聖域」の空気を変えられたくない、てな強い思いを持つ人たちもいる。
で、あるとき、あるチャット部屋でこんなことがあった。「はじめまして」と入ってくるおハツの人たちに対する、いやがらせが続発したのだ。「おまえはもう二度と来るな」ってわけである。
被害にあった人たちは、別に部屋を荒そうとしたわけでもなんでもない。詳しいことはよく知らないが、どうやら単にその部屋の常連さんたちとはノリが違うから、ってことらしい。つまり彼らは自分たちにとって居心地のいい部屋のカラーを守りたかったのだろう。ただそれにしてはいやがらせの手口や言葉が陰湿で、その話を聞いたときにはどうにもいたたまれない気分になった。
お次は私自身の体験だ。あるチャットでこんな笑える目にあった。うろおぼえだが、そのチャットには部屋にいる人数の過半数(?)の同意が得られれば、任意の人を強制退室させることができる、という機能があった。つまり部屋にユーザが10人いたとしたら、そのうち6人が「Aさんを強制退室させよう」てなぐあいに合意すればそれが可能になる、って機能だ。
で、私は「初めまして」と言いながらある部屋に入ったのだが、あいさつがまったく返ってこないし、部屋の空気がどうもヘンだ。わずかな沈黙のあと、「え? 落とすの?」なんていう意味不明なログがあがってくる。と、次の瞬間、突然、ポーンと私はその部屋から落とされてしまった。いったい何が起こったのか、サッパリわけがわからない。「なんじゃこりゃ?」てなあんばいである。
もちろん私は何か悪さを働いたわけじゃない。これは想像だが、たぶん私が部屋に入ったとき、常連さん同士で、人には言えない何か深刻でこみいった話をしていたのだろう。そこにおハツの私がノーテンキに入ってきた。これでは彼らはそれまでしていた話を続けられない。で、私が入室した瞬間に、部屋にいた常連さん同士が個人的にメッセージをやり取りし、私を強制退室させる相談をしたのだろう。
ただまあどんな事情があるにせよ、ひとことも会話をかわさないうちに、いきなり強制退室させられた日にはたまったもんじゃない。愉快なはずがないだろう。私あたりはニンゲンができているからそれでも笑ってすませたわけだが(笑)、恨みに思ってその部屋を荒らそうとする人が出てこないとも限らない。そもそも彼らは、あんなふうに追い出される「相手の気持ち」を考えないのだろうか?
たぶんこの強制退室の機能は、いわゆる「荒し行為」をする人物を追い出すために考えられたものなのだろう。だがこんな使い方をされることもあるのだから、まさになんとかとハサミは使いようってやつだ。
|