Slash Games
JapaneseEnglishKoreanShmplified ChineseTraditional Chinese
     
トップ
読み物
カレンダー
Other languages

 「A new kind of game」― 人はコンピュータゲームで泣けるか
 

 二日目のキーノートでは、ゲーム研究者のJesper Juul氏が「A new kind of game」と題してスピーチを行なった。冒頭、「人はコンピュータゲームで泣けるか」という問いかけから始まり、ゲームとユーザーの関係や最近のゲームの性質の変化について触れながら、この問いかけに戻って考察するという流れで進められた。

 まず、昔のアーケードゲームのように明確なゴールがあるゲームが主流だったのが、新しいゲームのスタイルとして、ゴールのないゲームが出てくるようになった点を指摘した。ゴールが与えられないゲームは、より多くのユーザーにアピールし、ユーザーの期待に応え、ユーザーに創造の自由やプレイの柔軟さを与えるという特徴がある。易し過ぎず難し過ぎず、適切な難易度の環境を与えることで、ユーザーはチクセントミハイの言う「フロー状態」に至り、ゲームに没頭できる。従来のゲームは、明確なルールとゴールで、適度なフィードバックを与えることでフロー状態を生むことねらっていた。しかし、ここ数年の間にシムシティやシムズ(シム・ピープル)、グランドセフトオートのように、ゲーム内で明確なゴールが提供されないゲームや、ゴールに向かってプレイしなくても構わないゲームが出てきて、ユーザーの支持を得ている。ゴールのないゲームをデザインするアプローチとして、「同じことをやるにもいろんな方法で行なえるようにする」「ユーザーがこだわりたくなるような細かい部分を充実させる」「ユーザーのインスピレーションを喚起するような要素を盛り込む」などが挙げられた。

 そして最初の「人はコンピュータゲームで泣けるか」という疑問について、「今もあちこちでユーザーは泣いている。でもゲームにあらかじめ作りこまれたコンテンツのために泣くのではなくて、ゲーム内で自分が作ったコンテンツにまつわる出来事や、ゲーム内での社会的関係の中の出来事で泣いている」とし、まとめとして「従来のゲームモデルは以前ほど機能しなくなっている」「ゴールのないオープンでユーザー表現が豊かなゲームや、手軽なカジュアルゲームが新たなユーザーを獲得している」「言語としてのゲームが形成されている」「アーケードモデルや流れが固定されたアドベンチャーゲームは衰退しつつある」といった点を挙げた。


 ビジネス・研究領域として確立した「シリアスゲーム」
 

 そのほかのセッションでも、充実した議論が交わされた。「ゲーム内学習効果測定」のセッションでは、米陸軍によって開発されたゲーム「America’s Army」を発展させて、戦場でのコミュニケーション訓練ツールとして利用する例が紹介された。「学校教育へのゲーム利用」セッションでは、現職の高校教師や大学の研究者が、学校の授業で「メイキング・ヒストリー」や「シビライゼーションIII」などのシミュレーションゲームを利用した歴史教育の研究・実践例を紹介した。また、「シリアスゲームの問題点」セッションでは、次のような重要な指摘があった。

・ シリアスゲームを従来の箱売りのゲームと同じように考えると失敗する。作って終わりなのではなく、用途に応じたプロモーションや利用促進もプロジェクトの中で位置づけていく必要がある

・ ドットコムバブル崩壊やeラーニングビジネスの停滞が示しているように、クライアントに過大な期待を抱かせて、粗末なコンテンツで安易に儲けようとするやり方は失敗のもとである。ゲームであればなんでもいいのではなく、エンターテインメントゲームであってもできのよしあしの幅が大きいことを考慮すべき

・ 問題点を考える上では、何が成功なのかを明確にすることが先決。シリアスゲーム開発は学習デザイン全体の中で、ゲームにどのような役割を持たせるのかを考えていく必要がある。繰り返し試作して、イノベーションを起こしていく方向で取り組むことが重要

・ シリアスゲームが次のステージに進むには、開発者たちがシリアスゲームのコンセプトを共有して、効果を高めるための重要な要素を理解し、シリアスゲームの有効性、あるいはメディアとしてのゲームの有効性を説明できるようになっていくことが重要である

・ ゲームデザイナーと学習デザイナーのコラボレーションをいかに進めていくかに焦点を当てる必要がある。そのためには、双方がコミュニケーションできる共通言語を身につけていくことが不可欠


 ページの都合で全ては紹介できないが、二日間のさまざまなセッションを通して、シリアスゲームというジャンルが一時的な流行ではなく、ビジネスと研究のひとつの領域としてほぼ確立されたという認識が、主催者側と来場者たちの間で共有されてきた印象があった。来場者たちはそれぞれ、シリアスゲームへの関心と理解をさらに深め、スピーカーや来場者同士のネットワークを広げ、充実した時間を過ごしていた様子がうかがえた。


BACK PAGE TOP NEXT
新着ニュース
記事一覧へ
リリースRSSによる配信についてバナー広告問い合わせ会社概要プライバシーポリシーリンクについて
RBB TODAY RESONSE e-nenpi.com cbook24.com DOKOYO MONO ONLINE
本サイトの内容は、著作権による保護を受けています。 Copyright (c) 1998-2006 IRI Commerce and Technology, Inc. All Rights Reserved.
IRI Commerce and Technology, Inc.