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 ルールとは何か?
 

 ジマーマン氏は、ゲームを構成する環境を包括する三つの要素に分ける。カルチャーの中のゲーム、ビジネスの中のゲーム、そして、ゲームデザインを含む開発されるゲーム。

 そして、ゲームデザインを行うためにはかならずしも、コンピュータが必要ではないと語る。プログラミングや、ビジュアルデザイン、プロジェクトマネジメント、ストーリーライティング、プロジェクトリーダーシップも不要なのである。

 ゲームデザイナの役割として、ルールを作ることでプレーヤの経験を構成することができるという。

 そのためにジマーマン氏は、「ルールとは何か」とまず問いかける。

 三目並べ(○×)のルールを例に挙げる。ルールは以下の要素で厳密に構成されていなければならない。

1.3X3の9つの四角で構成されるグリッドの上でプレイされる。
2.二人のプレーヤが交互に空いた四角に○か×を交互に書き込んでいく。
3.3つ並ぶと勝ち
4.もし勝利者がなく、書き込む場所がなかった場合、ゲームは引き分けでおわる。

 このルールに従えば、世界中どこにいようと、誰とでもあろうと、三目並べを遊ぶことができる。

 そして、ジマーマン氏は、今度はルールの変更によって、プレイに、どう影響を与えるのかを具体的に示すために簡単なワークショップのために、8名の参加者を会場から募った。

 8人のボランティアは、「KILLER!」というゲームをプレイすることを求められる。これは、「GO!」のかけ声と同時に、各プレーヤがそれぞれ誰かを指さし、2人以上の人間が差された場合、その人は死んだものとしてゲームからはずれるというゲームである。何度も繰り返し、最後に1人か2人が残るまで、ゲームは繰り返される。

 次に、このルールをちょっと変更したバージョンの「DIPLOMACY(外交)」をプレイさせる。基本的に同じルールであるが、今度は、ターンベースである。左側の人から順番に誰かを差していく。そのため、「KILLER!」のときのような偶発性が消え、あとから指差す人のことを考えて指すように、ゲームに戦略性が発生してくる。

 ジマーマン氏は、さらに「KILLER」の変形ルールのバリエーション例を示した。

 「THE WILD WSET(荒野の西部)」では、プレーヤは2人から指を差されると保安官になる。それ以外の人間はお尋ね者になる。そのうえで、「KILLER」のルールで指を差し合い、保安官がやられるとそれを指してたお尋ね者も一緒に死んでしまう。保安官が1人しかいなくなるまで争う。

 「SPY」では、誰を指さしたのかを隠すことができる。判定役が1人いて、それぞれの参加者より指さした人の結果を聞いた上で全体の結果を示す。誰が自分を狙っているのかがわからないため、指した結果から他のプレーヤの動きを読まなければならない。

 「WORLD PEACE」では、誰かが死んだ時点で全体の負けで、誰も死なないような状態を何度繰り返すことができるかを競う。これも、同時に指すか、ターンにするかで、ゲームの展開はまるで変わってしまう。

 「KILLER」という指差しを元にした単純なルールをちょっと修正していくだけで、プレーヤのプレイのあり方に大きな変化が生まれることがわかる。

 ルールはプレイをどう変化させるか?
 

 一つのルールは様々な幅のプレイを生み出していく。競争的、物語的、社会的、戦略的なプレイと、重層化し、様々な意味が生まれてくる。これはどんなゲームでも同じで、シンプルなルールにもかかわらず多様性が生まれる囲碁や、もっとドラマティックなプレイの幅が生まれてくるサッカーといったように。ルールが固まっているにもかかわらず、プレイのあり方は大きく変化してくるのだ。ルールの構造そのものがプレイを作り出すともいえる。

ジマーマン氏は、プレイとルールの関係を以下のようにも語る。
「プレイ」は「ルールの構造」の中に起きる。
「プレイ」は「ルールの構造」の中で遊ばれる。
「プレイ」は「ルールの構造」を変えていくことができる。

 プレイがルールの構造の変化させていくものの例として、自身が開発した女学生の口げんかをテーマにしたゲーム「SiSSYFIGHT2000」を元にした、ファンが作った同人画ともいうべきものを示して、ゲームがそれだけで完結するものでなく、カルチャーの領域へと広がり、大局的な視点ではルールの構造を変化させていく一端を示した。

 また、もう一つの事例としてShockwave.comにリリースしたマウスで描く線で蝶を囲うGameLabのゲーム「LOOP」の開発プロセスを示した。最初の段階では、マウスを動かして、それを線で描画するだけの機能をつけたものだった。線を太くしたり、線が残っている時間を長くしたりとその機能の実験を繰り返した。どういうゲームを作るということを先に考えるのではなく、まずマウスで囲うおもしろさに焦点を当て、そこからどういったゲームにしていけばいいのかに注意を払っていったという。

 そして、円で囲んで、登場するキャラクタを消去していくという形へと発展させていった。最終的には、ひらひらと舞う蝶を囲んで捕まえるといった雰囲気へと仕上がっていく。

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