Slash Games編「ゲームと学問 〜開発・研究・教育〜」
「ルールズ・オブ・プレイ」、ワークショップからエッセンスを読みとる―
エリック・ジマーマン来日記念講演より
2005年10月6日
エリック・ジマーマン氏が東京ゲームショウの前日、東京大学でおこなった講演会は、まさに『ルールズ・オブ・プレイ』の基本エッセンスを凝縮して解説する講演内容になり、会場はジマーマン氏のジェスチャを織り込んだパフォーマンスに終始盛り上がった。
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| エリック・ジマーマン氏 |
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■『ルールズ・オブ・プレイ』の衝撃
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2004年MIT Pressからリリースされた『ルールズ・オブ・プレイ〜ゲームデザインの本質』は、ゲーム開発者やゲーム研究者に対して大きなインパクトを与える書籍となった。
「遊び」に関する研究は、20世紀初頭の思想家ホイジンガによる1938年に書かれた書籍『ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)』を起源としている。ホイジンガは「文化こそ遊びから生まれる」と考え、遊びの本質を「おもしろさ」に置いたところに大きな思想的なポイントがある。
それを引き継ぐ形で行われた研究が、ロジェ・カイヨワの1958年に出版された『遊びと人間』だ。この本では、日本でも「ポケモン」の田尻智氏が、ゲームデザインを進めていく上で、応用したことでよく知られている「遊びの四分類」(「競争(アゴン)」「偶然(アレア)」「模擬(ミミクリ)」「眩暈(イリンクス)」)が論じられており、日本でのゲームデザインやその批評をしていく上でも、現在でも一つの指標となっている。しかし、カイヨワの研究の当時には、まだビデオゲームは登場しておらず、ゲームそのものを焦点とした学術研究は、断片的な形でしか行われてきていなかった。
そのため、過去の「遊び」の議論は一定の範囲に置いては参考にはなるものの、そのまま「ゲーム」の議論に応用していくには限界を抱えていた。北米でも、ゲームデザイナー立場から、物語論的なアプローチを取るクリス・クロフォード氏や、ゲームの性質を分析しようとするグレッグ・コスティキャン氏によって議論は行われていたものの、ゲーム全体を包括的に理解していくためには問題を抱えていた。ゲームは他のメディアと比べて何が違っているのかが明快ではなかったのだ。
その限界点を打ち壊すような形で登場したのが『ルールズ・オブ・プレイ』である。
この本は、ニューヨークのベンチャ企業GameLabのCEOであるエリック・ジマーマン氏と同じく開発者でもあり、教育者であもるケイティ・サレン氏による共著として書かれている。この書籍には大きな特徴がある。過去の議論への検討を行い、個々の言葉の定義にページを割き、学術的正当性を打ち立てると共に、ジマーマン氏によって現実のゲームデザイナとしての立場から現実的にゲーム開発の現場に応用可能な形で、ゲームデザインの議論が展開されているところだ。
多くのプレーヤや開発者にとっても謎である、なぜおもしろいゲームとそうでないゲームが登場するのかというゲームデザインの本質に焦点を当て、極めて用意周到に書籍は展開されている。そのため、625ページにも及ぶ大著な書籍だが、『遊びと人間』が遊びの四分類のコンセプトを除いては比較的退屈な書籍であるように、エッセンスを絞り込むと、その書籍の持つコンセプトの理解を進めることはたやすい部分がある。
エリック・ジマーマン氏は、東京ゲームショウの前日、東京大学で行われた「ゲーム・知の冒険 特別講演会 『ルールズ・オブ・プレイ』を読み解く」の講演のために来日した。その講演会は、まさに『ルールズ・オブ・プレイ』の基本エッセンスを凝縮して解説する講演内容になった。満席となった会場では、ジマーマン氏のジェスチャを織り込んだパフォーマンスに終始盛り上がった。
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| 講演を行うジマーマン氏 |