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Slash Games編「ゲームと学問 〜開発・研究・教育〜」

DiGRA 2005 カンファレンス Changing Views:Worlds in Playレポート

2005年7月1日

会場のルネッサンスホテルハーバーサイド



 DiGRA(Digital Games Research Association http://www.digra.org/)は、ゲーム研究の国際非営利団体であり、世界中のゲーム研究者が参加している。

 2005年 6月16日から20日まで、カナダのバンクーバーで、このDiGRAによる第2回国際カンファレンスが行われた。主催はサイモンフレイザー大学で、カナダのゲーム開発者とバンクーバーのEAオフィスなどが協力を行った。このカンファレンスにはChanging Views:Worlds in Playというカンファレンスの副題の通り、様々なバックグラウンドの研究者350人が30カ国から集まった。

 DiGRA 2005 開催概要
 

もうひとつの会場Morris J. Wosk Centre for Dialogue(上)と、受付の様子(下)

 今回のカンファレンスは、ルネッサンスホテルハーバーサイドとMorris J. Wosk Centre for Dialogueの2会場を使い、4日間に渡り開催され、基調講演、論文発表、シンポジウム、ワークショップ、そして展示会、ゲームトーナメントなどのイベントが行われた。

 基調講演は、T.L.テイラー、ジャネット・H・マレー、ジェームズ・ポール・ギーなどによってなされた。T.L.テイラーは、MMOGのオンラインゲーム研究者であり、ジャネット H マレー は『デジタル・ストーリーテリング―電脳空間におけるナラティヴの未来形』の著者であり、 ゲームプレイとナラティブ(物語)についての第一人者である。また、ジェームズ・ポール・ギーは、学習としてのゲームについて教育心理学と学習理論の立場から分析した。ここでも学際的な集まりであるという特徴をみることができる。

 論文発表は、同時間に6つ以上のセッションが行われるなど、内容は非常に充実していた。また、ロングペーパー、ショートペーパー、他に学生の研究論文を指導するラウンドテーブルなどの形式のセッションが用意された。これらの論文については近日中にDiGRAのサイト(http://www.digra.org/)からダウンロードして閲覧できるようになるとのことである。

 トピックとして目立ったものはまずはオンラインゲームである。これは特定ゲームタイトルの分析や比較から、コミュニティといった社会的側面、そしてRMTや知的財産などの法的問題まで多岐にわたっている。オンラインゲームの研究はテキストベースのMUD(マルチユーザーダンジョン)のプレイヤータイプ分類についての古典的論文“PLAYERS WHO SUIT MUDS”(http://www.mud.co.uk/richard/hcds.htm)に基づくものも多く、その論文の著者であるリチャード・バートル氏が自身のblogで「私が見たいのは新しい理論であり、ただの新しい統計ではない」と語っているのも印象的であった。

 他にはゲームの教育利用の話題も目立っていた。娯楽目的ではないシリアスゲームが研究としてもトピックとして注目されていることを感じた。他には、ジェンダー論、物語論、ゲームの歴史とアーカイブ、プレイヤー分析、特定のゲームの詳細な分析などを見ることが出来た。

 参加者を分類すると、1)80年代、90年代に基礎理論の本を執筆した第一人者達、2)現在教授といった役職でゲーム研究のコースを作成しているすでに業績を持つ研究者達、3)ゲームで学位をとろうする学生達、といったクラスタを感じた。実際の開発者がどの程度カンファレンスに参加していたのかは不明だが、業界とのコラボレーションとして、業界・アカデミーパネルディスカッションも開催された。これはIGDAのバンクーバーチャプターの協力で行われ、IGDAのエグゼクティブプロデューサのJason Della Roccaが司会し、EA、Relic、Radical Entertainmentといった地元にオフィスがある開発者がカンファレンス参加者との対話を行った。業界の閉鎖的体質、女性開発者の少なさといった問題も取り上げ、時間を延長して発熱した議論が行われた。

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