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Half-Life2:フェイシャルアニメの導入でドラマ性を向上
『ハーフライフ』では、異次元世界ゼンでのクリエーチャーとの戦い以外はそのほとんどが秘密研究所のブラックメサが舞台だったが、『HL2』ではエイリアン占領下の第17都市で人間側のレジスタンスの一員に加わり、都市からの解放をはかることがストーリー上、重要な位置を占めている。したがって、屋外シーンが必然的に多くなる。このようなシーンを達成するには、同じインタラクティブな仮想空間を作り上げるエンジンでもまったく違う機能を追及している。
まず、最初にあげられるのが、南カリフォルニア大学の精神医学教授で感情と人の表情の研究を続けているポール・エクマン博士との産学連携で達成された顔面アニメーション描写の技術だ。この技術の導入により、リップシンク機能と同様、顔の表情の微調整が手軽に行えるようになった。フェイス・ポーザー(Face Poser)といわれる表情エディタはゲーム内の各キャラクターの感情表現をたくみに演出することができる。これと日本語も含む多言語対応のリップシンクシステムで、WAVファイルで記録された言語にあわせて正確に口の動きをシミュレートすることにより、今までにないドラマチックな演出をリアルタイムレンダリングで表現することが可能だ。ゲームプレイ場面とドラマパートをシームレスでつなげることで、プレイヤーがまさにその場にいるという雰囲気を作り出すことができる。
◆ハイダイナミックレンジ・ライティングによるリアルな屋外シーン
そのほかに圧巻なのは屋外シーンだ。去年に引き続き、今年のシアタープレゼンテーションのクライマックスは第17都市の広大な空間をリアルタイムレンダリングで描画する中で繰り広げられる市街戦だ。特に屋外でのレジスタンス対『ストライダー』の戦いは壮絶だった。『ストライダー』とはエイリアンだけが搭乗可能な三足型歩行機で、全長十数メートルはある巨大な機体は不器用に歩行しながらも圧倒的な迫力でレジスタンスの人間たちを攻撃してくる。
この広い空間をリアルに表現できる背景にはハイダイナミックレンジ・ライティング技術があげられる。光源としての太陽をリアルにシミュレートすることで、現実世界のそれを忠実に再現している。緻密に広範囲を描画できる技術はバギーやホバークラフトなど、様々な搭乗機を操縦する際にもいかされている。レーシングゲームばりの高速で緻密に構築された広大な空間を疾走するのは爽快だろう。
◆マテリアルシステムと物理エンジンが可能にする複雑な物体同士のインタラクション
『HL2』でも他の多くのゲームが採用しているHAVOC物理エンジンが搭載されているが、重要なのは技術をどのように「遊び」へ転化しているかだ。今回発表された映像では様々な場面で物理法則を遊びに取り入れている様子が伺えた。たとえば、反重力デバイス。これを武器として活用することで、本来は移動することのできない物体を簡単に移動させられる、またはそれらを活用して敵を倒すということが可能になっている。
様々なオブジェクトにも、プレイヤーが物理法則を利用してその効果を楽しむことができるような配慮がなされている。たとえば、プレイヤーが敵と遭遇した際、その付近にさりげなく廃車が配置してある。
遠方から敵が攻撃してくるときは、木に吊るされたタイヤを配置したおき、タイヤになんらかの衝撃を与えることで遠心力を利用して敵を倒すことができるといった具合だ。最近話題の、敵が倒されたときに、人体の重心に合わせ崩れるように倒れるとう表現があまりにも過激なため、その技術のゲームへの導入がドイツで禁止されたというラッグドール物理(Ragdoll Physics)も採用されており、リアルな対ヒューマノイド戦を可能にしている。
これだけではなく、ゲーム内に存在するオブジェクトにはリアルな重量が配分してあり、その重みで重力が働くため、様々な複雑な反応を楽しむことができる。鉄ならば鉄らしく紙ならば紙らしく物理法則が働く、またはテクスチャーに現実感をもたせる、という表現はソースエンジンのマテリアルシステムが可能にしている。従来ならば、物体のテクスチャーをグラフィックデザイナーの能力で描きあげ、それをポリゴン上に貼り付けるという方法をとるが、ソースエンジンはプログラムで使用される物質を定義することで、オブジェクトがどのような物質で構成されているかを定義すると、自動的にそのテクスチャー、破壊された際の破損パターン、他の物質の表面への影響と同時に物質の重さと浮力まで引き出すようになっている。また物質同士の接触による摩擦率なども計算され、バーチャル世界に影響を与えるのだ。
もっともこのようにリアルな物質同士のインタラクションを重視したゲームエンジン開発の背景には、巨大なMODコミュニティの存在がある。その代表作ともいえ、最終的にはバルブの商品ラインナップとして加えられた『
カウンターストライク
』(以下、『CS』)がこの新型エンジンをベースに開発が進められている。
E3での発表ではソースエンジンを使用してリメイクされた『CS』のマヤ文明マップが公開されたが、水面上を歩く際のさざ波や、マヤのピラミッド、鉄橋の作りなどを見るだけでもソースエンジンの能力は一目瞭然だ。また、屋外であるこのマップでは太陽を背にして逆光から敵を襲撃する、といった作戦を実行することも可能になり、リアルな戦闘を楽しむことができる。
現在、ディベロッパーのバルブはMODコミュニティとは非常に密に情報交換をしており、『HL2』が発売されるころには、レベルエディタなど各種ツールも公開する。WAVファイルを入れるだけで自動的にリップシンクができるソフトも公開していくので、MOD作成者にとってはよりドラマ性のあるMODを開発できる環境が整うようだ。
『Half-Life2』におけるレジスタンスとストライダーとの戦闘シーン。市街戦に表現された広大で緻密な空間に注目
(C) 2004 Valve Corporation. All rights reserved.
『Half-Life2』シアターで補足質問に対応してくれたナイスガイのDoug Lombardi氏
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