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CES 2003 レポートPart4<コンテンツ関連総括レポート>
〜コンシューマエレクトロニクス企業の取り組み〜
−2003年1月9日〜12日(米国時間)−
CES 2003総括レポートの第2弾として、コンテンツやインフラに対する各企業の取り組みをまとめてみたい。CESの出展は、PC(パーソナルコンピューティング)企業と、CE(コンシューマエレクトロニクス)企業に大別できると思うが、今回はとくにCE企業に着目した。
それというのも、今回のCESでは各CE企業の「コンテンツやサービス提供への取り組み」に関する発表が目立ったからだ。
前回の総括レポートで、大手CE企業によるブロードバンドを前提としたホームネットワーク提唱の動きが目立ったとお伝えした。同時に、そのネットワークを使ってユーザが享受できるコンテンツやサービスが不明瞭なため、具体的なメリットが見えにくいとも述べた。
しかし、無論、CE企業各社がコンテンツやサービス強化を軽視しているわけではない。
ブロードバンドを前提としたネットワークソリューションを提唱する以上、高性能な製品の開発はもちろんのこと、「安全が確保されたネットワークを使い、クオリティの高いコンテンツを確実にユーザの元に届ける」ことが、CE企業の果たすべき義務となるだろう。
たとえば、映画や音楽、ゲームなど多くのコンテンツを抱えるソニーはもちろん、コンテンツそのものを持たないパナソニックやパイオニアなどの企業も、技術支援やコンテンツ配信企業との提携によって、ネットワークに載せるサービスを強化している。さらに、セキュリティや著作権をはじめとする、コンテンツや制作者を保護する仕組みなど、より信頼できるサービス提供の基盤づくりにも取り組んでいる。
また、コンテンツを安全に配信するためのネットワークインフラの整備もCE企業の重要な課題だ。ここでは米国政府の通信政策も考慮しなければならない。とくに現在、FCC(米連邦通信委員会)の強い要請でデジタルテレビ放送への取り組みが最優先されている。また米国市場で重要なインフラであるCATV網については、STB(セットトップボックス)を含む仕様の標準化(オープンケーブル)が重要課題で、NCTA(National
Cable & Telecommunication Association)やCableLabsといった業界団体との協議を進めながらの技術開発が進められている。
このようにCE企業の果たす役割が、AV製品本体の開発だけでなく、ハード、ソフト、コンテンツ、インフラ、セキュリティ、著作権、決済、規格の標準化に至るまで広がってきている。今回のレポートでは、CES2003の発表の中でとくに目立った、米国市場向けのコンテンツ開発やケーブルネットワークへの取り組みへの発表について、「コンテンツ開発への取り組み」と「
ケーブルネットワークの標準化対応」の2つの観点から紹介しよう。
■コンテンツ開発への取り組み
〜持たざる者のコンテンツ提供のあり方〜
まず、今回のCESにおいて、CE企業のコンテンツ開発の取り組みの中で目立ったのは、コンテンツ提供の「スタンス」の模索である。コンテンツ自体の制作から販売までの機能を有するソニーは別格として、一般的なCE企業各社にとって「コンテンツ」とは、製品の付加サービスやプロモーションツールとして必要不可欠なものだ。
CE企業が、コンテンツ開発や提供に関わる場合のスタンスを分類すると、
(a)コンテンツ自体を制作、販売
(b)コンテンツサービス企業との提携
(c)コンテンツを作る体験をユーザーに提供
(d)新人育成、技術協力
の4つになるだろう。
■(a)(b)コンテンツを自作、または提携による提供
上記のうち、(a)(b)は最もシンプルで直接的な動きだ。「(a)コンテンツ自体を制作、販売」のスタンスは、映画、音楽、ゲームなどの作品を擁するソニーが代表格だ。同じグループ会社内で自由自在にコンテンツを融通できるわけではないが、それでもコンテンツの使用権を保有するアドバンテージは計りしれない。
ソニー安藤国威社長によるCESの基調講演でも、ソニーピクチャーズの新作映画「チャーリーエンジェル2(今夏公開予定)」のプロデューサー兼女優ドリュー・バリモアがゲスト出演したり、ソニーミュージック所属のジェニファー・ロペスのプロモーションビデオが上映されるなど、コンテンツ供給会社をグループに持つソニーならではの、効果抜群なプロモーションが展開された。
「(b)コンテンツサービス企業との提携」については、昨年10月にパイオニアがYahoo!からのコンテンツ供給に関する提携を発表した。この提携の内容は、パイオニアが「デジタル・ネットワーク・エンターテインメント」と称する最初の製品「DigitalLibrary」で、ユーザがYahoo!およびYahoo!Moviesの主要な映画や音楽コンテンツにアクセスできるようにするというものだ。
「DigitalLibrary」は、サーバ「DL-1000-S」とクライアント「DL-500AV」から構成されるネットワークメディアサーバで、80GBのHDDを持つサーバ「DL-1000-S」がインターネットから音楽や映像をダウンロード、蓄積、リスト編集を行い、イーサネットもしくはワイヤレスでクライアントを接続し、再生させる仕組みだ。米市場では「DL-1000-S」が1200ドル、「DL-500AV」が900ドル前後で、今年5月に登場するという。
また、パイオニアの米国における子会社の1つ「Pioneer
Entertainment」は、映画や音楽、アニメ、テレビ番組などのビデオおよびDVDを製作・配給している企業で、2001年に米国で行われたチャリティコンサート「A
Concert for America」のビデオ化/DVD化を発表するなど、プレミアコンテンツの製作も行っている。
■(c)コンテンツを作る体験をユーザーに提供
(c)は、インターネットのインタラクティブ性を活かして、CE企業がユーザに対してコンテンツそのものより「コンテンツを作る体験」を提供するもというスタンスだ。
その代表格は、2001年9月にスタートしたソニーの「ScreenBlast(www.screenblast.com)」だ。これは、ソニーピクチャーズデジタルの映像編集ソフト「Screenblast
Movie Studio」「Screenblast Music Studio」(各69ドル)を購入した際の付加サービスとして提供される。これらのソフトで作成したビデオ作品を専用Webサイト上に公開し、ユーザ同士でシェアできるというものだ。しかも登録ユーザは、専用のURLやオンラインストレージが利用できたり、ソニーピクチャーズから提供される音楽・映像のクリップをダウンロードできるなど、ユーザのクリエイティビティをソフトとWebの両サイドからサポートしてもらえる。今回のCESでは、両ソフトウェアのバージョンアップ版と新しいプラグイン・ソフトをプロモーションしていた。
また今年のCESでは、PVR(Personal Video Recording、またはDVR(Digital
Video Recording))機能を搭載したAV機器が注目された。PVRとは、自分の好きなテレビ番組をコンピュータやHDDなどを使って録画、蓄積、再生するための機器やサービスで、米国市場では2000年にTiVoやReplay-TVがサービスを始め、今やデジタル放送時代の基本機能のひとつとみなされている。
今回東芝が発表したDVD-RAM/HDDレコーダー「RD-X2」(米国市場では今年の上半期に登場する予定)にも、TiVoのPVRテクノロジーが組み込まれている。
また、ソニーが「Cocoon」チャンネルサーバーというビデオレコーダーの付加サービスとしてWebベースの「MyCaster」サービスを展開しているが、今回このサービスを「MyCast」という名で全米欧州などでも展開していくことを発表した。また、マイクロソフトのパートナーブースで展示していた「SnapStream」は、TiVoのサービスとほぼ同じだが、こちらは録画した映像をワイヤレスでタブレットPCやPocketPCにストリーミングする機能を持ち、注目されている。
■(d)新人育成、技術協力
そして4つ目の(d)は、新人育成や技術協力を行うというスタンスだ。学生による映像コンテストを主催したり、製作スタジオとの協力で映像圧縮技術などの研究機関を設けるなど、プロモーション目的のほか、コンテンツ制作者側をデジタライズしたいという狙いもある。
というのも、とくにハリウッドの映画製作者の中には、映画のデジタル化によってフィルムの質感が失われたり、簡単に複製される可能性を嫌う人も多いからだ。映画という、ブロードバンドにとって重要なコンテンツを手に入れるためには、制作者や現場を味方に引き込む必要がある。
今回のCESでは、パイオニアとフィリップスがそれぞれ映像コンテストの結果発表を行っていた。パイオニアは「Project
Pioneer 2880」と銘打って、全米9つの大学や専門学校の映画コースを招き、48時間(2880分)以内に10〜12分のDVD作品を制作する(シナリオからキャスティング、撮影、編集まで全て含む)というレース型コンテストを開催した。
機材にデジタルカメラとパイオニア製のDVD書き込みドライブ「DVR-A05」を使用することがルールで、要はDVDドライブの書き込み処理の速さをプロモーションするのが目的だ。フロリダ州立大学のチーム(作品名:Ripples)が優勝し、賞金2万ドルを獲得したという。
一方、フィリップスは、映画監督マーティン・スコセッシ氏が主宰する映画作品保護団体「The
Film Foudation」と共同で、ワイドスクリーンフォーマットの60秒映像作品を競うというコンテストを開催した。こちらもCESで結果発表が行われ、UCLAの映画学科の学生が賞金1万ドルを手にした。こちらは、映画をデジタル・ワイドスクリーン・テレビの上で、オリジナルのアスペクト比で見る利点を認知してもらうのが目的だ。
また、技術協力においては、たとえばパナソニックは1993年からハリウッドのユニバーサル・スタジオ構内に研究開発拠点を設けているが、2001年「パナソニック・ハリウッド研究所」を改めて設立し、製作現場の協力を得ながら、デジタル放送時代に向けた映像圧縮技術や配信、著作権保護技術などの研究を行っている。
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