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COMDEX/Fall2002レポートPart3<ワイヤレス技術総括>
ワイヤレス技術や製品が目白押し 『ワイヤレス・コムデックス』に見るトレンド
−2002年11月17日〜22日(米国時間)−
今年のCOMDEXは「ワイヤレス・コムデックス」と触れ込みがあったように、ワイヤレス技術や製品が目白押しとなった。製品がワイヤレスでないと、がっかりしてブースを去る来場者も少なからず見かけたほどだ。ここ2、3年のこうしたIT展示会において、ワイヤレスはもはや標準装備の基本技術になりつつある。しかしワイヤレス化に熱くなっているのは、まだ一部のトップメーカーと果敢なヘビーユーザだけだと認識しておきたい。次々と登場する新技術や新規格に戸惑い「それでいったい何ができるの?」というのが一般消費者の率直な疑問ではないだろうか。そこで今回のレポートは「COMDEX Fall 2002」での出展傾向を見ながら、現在のワイヤレス技術のトレンドを総括してみたい。
■そもそもワイヤレスって?
ワイヤレス(Wireless)は名のとおり、電源コードや各種ワイヤ類が付属していない状態のことをいい、持ち運び自由でどこでも使えるデバイスであることを示す。しかし昨今「ワイヤレス」といえば無線通信そのものを指し、特にここ1、2年はどこからでもネットワーク接続して通信できるという状態や技術を指す場合が多い。
たとえば従来のテレビのリモコンやコードレス電話などは一般的なワイヤレス・デバイスだが、ネットワーク接続するという意味においては弱い。現在もっともポピュラーでもっとも成功しているワイヤレス・デバイスは携帯電話だろう。「これはワイヤレスである」という意識すらなく誰もがあたりまえのように使っている。しかしこちらは総じてモバイル(移動体)通信として別格扱いになることが多い。今回触れたいのは、それ以外のワイヤレス通信技術、まだ「これはワイヤレスである」と意識せざるを得ないような、成熟しきっていない技術群である。
急速に広がるワイヤレス環境
未成熟とはいえ、ここ2、3年で急速にユーザのワイヤレス環境は広がっている。ワイヤレスLAN市場の急速な成長がそれを物語る。リサーチ会社ガートナーの調べによると、2002年の世界ワイヤレスLAN市場における出荷台数は前年比76%の伸びで1,550万台、2003年は2,650万台が見込まれている。そして、この傾向は2007年まで続くと見られている。2002年は、全ノートPCの約1割がワイヤレス通信機能内蔵で出荷された。2004年には31%、2007年には68%まで高まる見通しで、ワイヤレス環境がデフォルトで入手できるようになる日も近い。
また日本では都市圏を中心に広がる「ホットスポット」と呼ばれる公衆無線LANサービス(ちなみに「ホットスポット」はNTTコミュニケーションズの登録商標、第4539387号)が認知されはじめている。2002年で15万7,000ユーザが見込まれるホットスポット利用者数は、2006年には424万4,000ユーザまで拡大すると予測されており、パブリックでのネット接続に対する関心は高く、普及の兆しを見せている。
特性別に「遠距離」「近距離」「移動体」に分類
ここでは便宜上、ワイヤレス通信技術を特性別に3つに分類したい。それが「遠距離通信」「近距離通信」そして「移動体通信」である。
遠距離通信は、ここでは約100メートル範囲内外での通信に適したワイヤレスLAN技術を指す。「無線LAN」あるいは「Wi-Fi」とも呼ばれるIEEE802.11や、家庭内での使用を前提としたHomeRF(Home Radio Frequency)などがある。
近距離通信は、約10メートル範囲内での通信に適したワイヤレス技術を指す。Bluetoothや赤外線通信のIrDAなどが知られる。また今年商用認可された、最高500Mbpsの通信速度を実現するUWB(Ultra Wide Band)も含まれるだろう。
移動体通信は、先述の携帯電話のことを指す。携帯電話は現在もっとも普及しているワイヤレスデバイスだが、総じてモバイル(移動体)通信として別格扱いになることが多いので、ここでは解説を省く。
次に「遠距離通信」「近距離通信」を代表する主な通信技術について見てみよう。
■IEEE802.11
遠距離通信の代表格としては、ワイヤレスのLAN規格として知られるIEEE802.11がある。1998年7月、電子技術の標準化を行う機関IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:米国電気電子学会)の分会でLAN技術を扱う802委員会が仕様を定めた。802.11は無線免許が不要な2.4GHzの周波数帯を使い、初期の通信速度は2Mbpsだった。その後、周波数帯や通信速度、セキュリティなどを考慮したバージョンが次々と発表された。
ちなみに一連の802.11規格は「Wi-Fi」とも呼ばれるが、元は業界団体のWECAが互換性を保証した802.11製品に付けたブランド名である(Wireless Fidelityの略)。WECA(Wireless Ethernet Compatibility Alliance)は、802.11製品の異機種間の互換性を認定する機関として1999年8月に発足、3COM、Cisco、LucentTechnologies、ソニー等が参加している。
802.11b
現在もっとも普及しているワイヤレス通信規格が802.11bである。2000年始めにAppleが802.11b内蔵のiBookを発表したのを皮切りに、2001年にはWindowsPCでは業界初めて、802.11b内蔵のノートPCが登場(IBM「ThinkPad iSeries s30」)、以降ノートPCに802.11bが標準搭載される動きが本格化するなど、大半のワイヤレス環境を支える技術となっている。今回のCOMDEXで発表されたViewSonic製のスマートディスプレイ「Airpanel」も802.11bを採用している。
802.11bは最初の802.11を高速化したもので、1999年9月にIEEEで採択された。同じ2.4GHzの周波数帯を使い、通信速度は最高11Mbpsである。問題点は2.4GHzという周波数帯にある。電子レンジ、コードレス電話、医療機器、さらに後述するBluetoothも同じ2.4GHz帯を使用するため、コリジョン(電波が相互干渉を起こす)が発生して通信パフォーマンスが低下することがある。
802.11a
802.11aは、次期802.11規格として現在注目を浴びている。通信速度は最大54Mbpsで、802.11bの約4〜5倍と大幅に高速化しており、オーディオやビデオのストリーミングにも適している。また5.2GHzの周波数帯を使うため、コリジョンが発生しにくいという特性もある。
問題点は、現在普及している802.11bとの互換性がないこと、消費電力が大きいといったことが挙げられる。また802.11bと同時期の1999年9月に採択されていながら、最終仕様の策定が遅れたため製品化が遅々として進んでいない。仕様策定の遅れは、使用する周波数を動的に変更してコリジョンを避けるDCS(Dynamic Channel Selection)や消費電力を抑えるTPC(Transmit Power Control)等の追加仕様を規定した「802.11h」を実装するためだといわれている。仕様追加を見越してチップメーカーも製品化を見送ってきたため、互換性のテストも延期されていた。が、ようやく今年11月末に非営利団体「Wi-Fiアライアンス」が802.11a製品の相互運用性テストを開始するに至った。2001年からネットワーキング製品のメーカーを中心に802.11a製品が増えてきているものの、普及には程遠いという状況だ。
802.11g
802.11gは、802.11bと同じ2.4GHz周波数帯を使い、通信速度は変調方式を変えることで4〜5倍高速化した最大54Mbpsを実現する。利点は現在普及している802.11bとの互換性を持つことだが、過密した2.4GHz帯域でのコリジョン問題は依然として残る。そのため5GHz帯の802.11aへ移行するための中継役として注目されている。
2001年11月15日にIEEEが802.11g規格を暫定承認し、正式承認は2003年後半になると見られている。今年のCOMDEXではLinksysが、早々と802.11g対応の無線ネットワーキング製品「Instant Wireless-G」を展示していた。
今年のトレンドは 802.11a/bデュアルバンド対応
今年は802.11aとbのデュアルバンド対応がトレンドとなった。現在の主流は802.11bだが、802.11aへの移行は近いと見ての動向である。もちろんサポート対象の中に802.11gが含まれる場合が多い。
デュアルバンド化に向けた大きな動きとしては、Intelの次世代モバイルPC向けプロセッサ「Banias(開発コード名:バニアス)」がある。今年9月のIDF(Intel Deveropper Forum)で、「Banias」には802.11a/bのデュアルバンド対応ワイヤレスLAN接続技術「Calexico(開発コード名:キャレキシコ)」が盛り込まれることが明らかになった。
また今年のCOMDEXでは、東芝が世界初の802.11a/bデュアルバンド対応チップ内蔵型ノートPC「Satellite Pro 6100」を発表した(関連記事)。2002年の12月末に発売予定となっている。
チップメーカーのReasonextとIntersilはいずれも802.11a/bデュアルバンド対応のチップセットReasonext「RN5220」とIntersil「PRISM Duette」をそれぞれ発表し、プライベートデモを行っていた。
Texas Instrumentsは、デュアルバンド対応に加えてセキュリティ強化を訴求したチップを発表して注目された。リリースによると、「TNETW1130」はセキュリティ強化の仕様を策定した802.11iドラフトスタンダードの用件を満たし、さらに現行のWEP(Wired Equivalent Privacy)、10月にWi-Fiアライアンスが発表したWPA(Wi-Fi Protected Access)、そして次期標準暗号化技術のAES(Advansed Encription Standard)をサポートし、セキュリティ面を大幅に強化しているという。12月にリファレンスデザインを出荷し、2003年4月までに製品版を出荷する予定だ。
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