鈴木淳也
アットマーク・アイティ 編集局
(取材協力:RBB TODAY)
IPネットワークの分野において、いまもっとも旬なテーマは何だろうか? いろいろ意見はあると思うが、ここで「IP-VPN」をあげることに異論を唱える人はいないだろう。2000年から2001年にかけて各キャリアより商用サービスが登場し始めたが、2002年には大きくブレイクしていくことになるだろう。
今回は、2002年1月31日に開催されたIP Network Technology
& Solution Meeting(主催:インターネット総合研究所/RBB
TODAY/アットマーク・アイティ)のイベント・レポート第2弾として(第1弾はこちら)、ワークショップA-2「高速IPネットワーク『IP-VPNサービス』の技術最前線と今後の展望」(講師:NTTコミュニケーションズ
ビジネスユーザ事業部 統合IPサービス部 池尻雄一氏)で語られた内容について、要点をまとめてお送りしていこう。
■IP-VPNとは何か? 従来のVPNとはどこが違うのか?
講演の冒頭では、まずIP-VPNの定義についての説明が行われた。VPN(Virtual Private Network)自体はインターネットの普及が始まったころより利用されている技術だが、近年ブームとなっているIP-VPNは、従来のVPNとどこに違いがあるのだろうか?
IP-VPN自体のもつ意味は広義では、「通信プロトコルとしてIPを利用するVPN」である。だが、従来までのインターネットを経由して構築するVPNも通信にはTCP/IPを使用しており、IP-VPNの仲間だといっても間違いではない。講演の中でNTTコミュニケーションズの池尻氏は、通信プロトコルにIPを利用するVPNを「IP-VPN(広義)」、従来までのインターネットを利用したVPNを「インターネットVPN」、そして今回のテーマである“IP-VPN”を「IP-VPN(狭義)」とし、以後、狭義の意味でのIP-VPNを「IP-VPN」という言葉で表現していくと前置きした。本文でも、以降は「IP-VPN」といえば狭義の意味でのIP-VPNをさすことにする。
もともとのVPNの役割は、通信インフラとして公衆網を利用しつつ、ユーザにとって安全で閉じたネットワークを提供することにある。インターネットVPNとIP-VPNでは、公衆網に何を利用するかに違いがある。インターネットVPNではインターネットを公衆網として利用するのに対し、IP-VPNではプロバイダが提供する専用のネットワークを使用する。このネットワークは複数のユーザでシェアする形になるのだが、プロバイダ側で閉域網の仕組みを提供することで、いわゆるVPNサービスの提供が可能となる。下記に、インターネットVPNとIP-VPNを実現する各方式を一覧としてまとめてみた。
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VPN分類
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インターネットVPN
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IP-VPN
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VPN方式
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IPSec
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L2TP
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MPLS-VPN
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L2+VR
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方式概要
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IPパケットの暗号化によるトンネリング |
PPPフレームのIPによるトンネリング |
ラベルによるIPパケットのカプセリング |
フレーム・リレー+レイヤ3終端装置 |
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ユーザ側ルータに必要な機能
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IPSec終端機能をもったルータorPC |
通常のPPPが機能するルータorPC |
通常のルータ |
通常のルータ |
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提供形態
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ユーザ自身によるVPN構築(プロバイダ提供型もあり) |
プロバイダとユーザとの組合せによるVPN |
プロバイダ提供VPN |
プロバイダ提供VPN |
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閉域性
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△
(インターネット利用)
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△
(インターネット利用)
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○
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○
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暗号化
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あり
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なし
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なし
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なし
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| 表1 インターネットVPNとIP-VPNを実現する各方式(プレゼンテーションの資料より引用) |
表1に示したように、IP-VPNを実現する方式としては、MPLS(Multi Protocol Label Switching)/BGP(Border
Gateway Protocol)によるものと、VR(Virtual Router)というIPトンネルを構築するものの2種類がある。今回の講演では、現在のIP-VPNの主流となっているBGP/MPLS-VPN方式を中心に取り上げ、その仕組みや特徴が解説された。