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RBB TODAY編「特別企画」
【特集・NGN】〜NGNに向かわざるを得ない産業界の現状〜
野村総合研究所
この特集では、今何故“NGN”が叫ばれているのか?NGN(Next Generation Network)の要はどこにあるのか?などNGNに焦点を当てて、業界のキーマンにインタビューをしていく。第一回目は、野村総合研究所主席コンサルタント 情報・通信コンサルティング二部の桑津浩太郎氏に、マクロ的な視点からNGNを分かりやすく分析し、現状の問題点を指摘してもらった。
――通信基盤の変化をマクロ的に見るとどうなりますか?
第三世代携帯電話が投入されたのが2002〜2003年。当初の予定では第四世代は2010年くらいになるかと思われていましたが、現状では2013年くらいになると予想されています。携帯電話の一般家庭への普及率は8割から9割を超えていますが、我々野村総合研究所は携帯電話の利用者動向調査について、今年は小学校1年生を調べてます。これはどういうことかというと、これ以上携帯電話の利用者の数は増えないということなんですね。昨年の総務省の調査でも家庭での携帯電話の利用料金がとうとう減ってしまいました。数値の減少は誤差の範囲とは思いますが、この15年間、携帯電話という通信事業の一方をひっぱってきたものが上限に達しつつあります。利用者も減り、支払う料金も上限にきているんです。要するにひとつの節目を迎えていると言えます。
――NGNが登場した背景には、そのような事情もあるんですね?
携帯電話が爆発的に普及しはじめたのが95〜96年ごろで、だいたい10年経過したわけです。何でも10年というわけではないんですけど、マーケットのひとつの転換点を迎えていると思います。このなかで登場してきたのがFMC(fixed mobile convergence)。つまり、非常に値段が下がってしまった固定電話の分を、下がったとは言え単価が高い携帯電話で補完しようという動きです。インフラを共通化することで事業者にとっては健全化を図ろう、利用者にとっては番号を2つもつのは面倒くさいでしょ、というような利便性も図ろうとしたんですね。そして次の段階では、もうひとつ攻めるものとして、通信事業者主体のNGNという議論がでてきました。構成はIPベースであること、SIPベースであること。つまり電話などに品質を保つ仕組みを考えましょうということです。ネットワークのQoS、品質を厳密に定義して、ちゃんと接続を守れるようにしようと。そうすることで、大手の通信事業者にとっては必ずしも儲かる仕組みになる保証のないところだったインターネットに対して、よい技術を使って次の世代のネットワークを作ろうという動きがでてきたんです。
――では具体的にNGNの課題とは何なんでしょうか?
家計消費年報を見てみると、携帯電話に対する支出は以前に比べるとものすごく増えました。固定電話の料金が下がっている分を足して考えても、家庭が払っている電話代というのは6000〜1万という具合に増えたんです。これは純増といえます。ただし、これから通信事業者が成長していこうとすると、そこからさらに線を足さなければいけないわけですね。今のまま仮に固定電話と携帯電話が一緒になったとしても、マーケットのサイズは多分大きくならない。事業者は強くなるけれども、だからといって、われわれがお金を余分に払う理屈にはならないわけです。ここでNGNが持っているもうひとつの課題が出てきます。NGNというのは通信によるサービスだけではなくて、他のサービスを取り込んでいかないと通信事業者にとってビジネスモデルとして成立しないんじゃないかという課題です。実は技術的にもそういう時期に来たということなんですね。2つの観点でいうと、ひとつはブロードバンドです。つまり昔はいろんなところにユニバーサルにアクセスするために電波を使いましょうという仕組みで出来上がってきたわけです。多チャンネル化という仕組みのなかでデジタル化はいい線いったんですが、じゃあ上りの信号はどうするんだとか、さらなる高品質は?という議論をした時に、今のままの放送の仕組みではよくない。とすると通信側は、放送をネットワーク上に移そうという動きがでてきたんです。端的にいうと家のなかにおいている動かないテレビをわざわざ電波で流す必要ないじゃないかという、大昔のケーブルテレビ議論が形を変えて戻ってきているんです。もうひとつが、Suicaなどに代表されるICカード、携帯電話なんです。日本の携帯電話は最先端をいっているわけで、定期券の機能も吸収し、金融の機能も吸収しつつあります。実は、IDがすごい増えているんですね。金融であったり、チケットであったり、クレジットであったり、あるいは安全であったり位置情報であったり……いろんなIDを使ったサービスを提供できる構図が出来上がりつつあります。通信事業者はこれをより効率的に、利用者にっとって利便性の高い形で提供していくことが課題になるわけです。
――しかし、NGNについては今ひとつ分かりにくいといった声もあります
NGNというのは既存のインフラをインターネット対抗で打ち出していくという議論であると同時に、そのひとつ上の階層、つまりサービスとか仕組みの部分を、IDとか放送などを取り込む形でビジネスとして成立させようという議論なんです。ICカードみたいな仕組みを含めてネットワーク上にIDなりコンテンツが流れる仕組みを作って、通信事業者にとってはいろんなサービスを使えるようにしましょう、という流れになります。つまり今回のNGNモデルというのは非常にわかりやすくて、ひとつをトランスポートレイヤー、上をサービスレイヤーといって、もとから金融、コンテンツ配信とか多様なサービスができるような形でビジネスネットワークを作っていかないと厳しい議論になっているわけです。そこが今回のNGNのしくみの議論です。通信側の視点、お金を払う側から見たときのNGNの流れになります。
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