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コラム −荻窪 圭−


●高感度を生かすべき各種撮影モード

 そんなわけで、FinePix F30はちょっと大きめの(といっても十二分にコンパクトだと思うのだが)600万画素3倍ズームデジカメ。

 レンズは36-108mm相当でF2.8-5.0と一般的なスペックだ。最短撮影距離は広角側で5cm。ただマクロモードと通常モードの切替位置が約60cmというのはちょっと遠いかな。マクロにしなくても30cmくらいまで近寄れるとうれしい。

 F10ではマクロモードにすると急にAFが遅くなるという難点があったが、F30でもマクロ時の方がAFに時間がかかるけれどもあまり気にならないレベル。

 AFは基本が中央1点だがマルチエリアフォーカスも選べる。任意の位置にフォーカスポイントをセットできる機能がないのは残念だ。

 で、ISO感度はISO100から3,200と驚異的に幅広い。これだとユーザーも大変なので、プログラムAE時(M撮影モード)は2種類のISOオートが用意されている。ISO400をMaxとするAUTO(400)と、ISO1,600まで上げるAUTO(1,600)だ。ISO感度は比較的早めに上がっていくので、画質優先で使いたいなら画質の劣化が気にならないAUTO(400)にしておくのがお薦め。夜や室内などでシャッタースピードを早めにしたいときはAUTO(1,600)にすればいい。この辺はお気楽に使える。

感度はF-モードメニューから切り替える。100から3,200まで6段分あり、さらにAUTOが2種類ある(M撮影モード時)


 さらにモードダイヤルも個性的。ISO感度絡みでいけば、「ぶれ軽減ポジション」と「SPポジション」に注目。SPポジションはいわゆる「シーンモード」だが、ここにある「ナチュラルフォトモード」と「高感度2枚撮りモード」が高感度系だ。

上部にモードダイヤルがある。このダイヤルで振る舞いがかなりかわる


 「ぶれ軽減ポジション」はよりシャッタースピードが速くなるようなプログラムが働くモード。高速シャッターを維持できるよう、容赦なくISO感度を(最高ISO3,200まで)上げてくれる。だから室内でも1/200秒でISO3,200なんていうセッティングになるわけだ。屋外でも、通常のプログラムAEより1段くらい速くなる感じ。これはF30から設けられたモードだ。ペットや子供、スポーツなど少しでも被写体ブレのない写真を撮りたいときにいい。

 ナチュラルフォトモードはフラッシュが発光禁止になり、ISOオートで最高ISO3,200まで上がる「フラッシュを使わないでナチュラルに撮る」というモード。暗いときはどんどん感度が上がるので、いざとなったら画質が落ちてもOKってときに。

 高感度2枚撮りは「FinePix V10」で搭載して人気の機能。フラッシュなしとありで連写する機能で、両方を見比べてあとでいい方を使えるのでかなり役立つ。「高感度」なのでISO感度は高め。暗いところで撮るとフラッシュオン時でもISO800くらいまであがっちゃうので注意。高感度じゃない2枚撮りモードもほしい(というか、高感度2枚撮り時にMaxISO感度を800にするか3,200にするか選べるといいかも)。

SPポジションにするとシーンを選べる。ナチュラルフォトと高感度2枚撮りがFinePixならではのシーン


 とこのように、ISO感度を手作業でマメにマニュアルでコントロールしなくても、モードを切り替えるだけでいろんな意図の写真を撮れるのはなかなか便利だ。

 ただし、SPポジションや手ぶれ軽減ポジション時は(フルオートポジションも同様だが)、ISO感度もホワイトバランスもオートのみ。露出補正もさせてもらえない完全フルオート状態になる。基本的にフルオート時のヒット率が高いデジカメではあるが、ちょっと残念な仕様だ。せめて露出補正はしたかったかも。ちなみに動画撮影時も完全フルオートになっちゃう。

 逆に、A/Sポジション(絞り優先AEとシャッタースピード優先AEはあるがマニュアル露出はない)やM撮影ポジション時は細かいセッティングが可能だ。露出補正ボタンが独立しているのでさっと切り替えられるのもいい。なお、A/Sポジション時はISO感度はマニュアル設定のみとなる。

 撮影ポジションによって使える機能使えない機能があってちょっとややこしいが、うまく使いこなせば低感度でじっくりから、高感度で高速シャッターまで目的に応じてさっと楽しめるのがいい。


●2.5型で23万画素のディスプレイと超ロングバッテリー

 F30の起動は1秒台と非常に高速。上面に撮影モードダイヤルがあり、背面に円形の十字キーといくつかのボタンがあるというインターフェースだ。

 再生は背面の再生ボタン。電源オフ時に押すと再生モードで起動するのが便利。

 液晶モニタは2.5インチの23万画素と高精細タイプ。なかなか見やすいし、DISPボタンを押すとグリッド表示やアシスト表示(左側に直前に撮った3コマ分が小さく表示されるのでそれを参考に撮れる)機能などがある。

 また十字キーを上に入れるとモニタのバックライトの輝度がぐんとアップするので、屋外で見づらいときに押すといい。

背面には2.5インチの液晶。その右に各種操作系が並ぶ。右下の露出補正ボタンはF30で新設されたもの。押しやすい位置ではないが、独立したのはうれしい


 高感度に加えてもう1つF30が優れているのはバッテリー。

 ボディがちょっと大きい分1,800mAhと大きなバッテリーを搭載していることもあるけれども、CIPA規格で約500枚の撮影ができる。だいたい、あまりに長持ちするので充電し忘れちゃうくらいで、スリム系コンパクトスタイリッシュデジカメとはひと味違う、持ちの良さだ。

 そんなわけで、現行コンパクトデジカメの中では間違いなくダントツの高感度画質を持ち、発色もよくて楽しく撮れるのがFInePix F30。

 しかもバッテリー持続時間も長いので安心して使える。

 その代わり、売れ筋の薄型スタイリッシュデジカメに比べるとちょっと分厚くてデザインもやや保守的。

 悪いデザインではないんだけど、中味がすごい割に見た目が普通すぎてもったいないのだ。

 CCDが他社の同等クラスよりひとまわり大きくて、バッテリーも大きいものを積んでいるのでスリム化が難しいのはわかるのだが、もうちょっとカッコいいデザインにできたんじゃないかと思う。個人的にはあと1万円高くてもいいから、このCCDを使ってかつてのF810のようなハイエンド系広角コンパクトモデルも開発してくれないかと密かに思ってる。

バッテリーは大きめで持ちは非常によい。メディアはxDピクチャーカード


 その辺はぐっとこらえて、それでもFinePix F30は「買い」。デジタル一眼レフのサブ機としてもいいし、普通にフルオートで使っても他のデジカメでは撮れないようなシーンでも撮れるはずだ。リアルで高感度に強い質実剛健デジカメとしてお薦め。





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