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荻窪 圭「デジカメチェック」
2005年10月31日
「COOLPIX S4」にみる回転レンズの楽しさと良さ
わたしは昔から回転レンズデジカメが好きである。どのくらい昔かというと、ちょうど10年前、1995年からだ。
この年、日本におけるデジカメの未来を決定づけたといっても過言ではない名機がカシオ計算機から発売された。世界で初めてデジタルスチールカメラを開発したのは富士写真フイルムだが、真に個人向けの趣味で買えるデジカメを出したのは、カシオだったのだ。
それが1995年に突然現れた「QV-10」である。5万円台という手が届く価格の上(当時のデジカメはみな10万円以上だった)、液晶ディスプレイに回転式レンズというユニークな機構をひっさげて登場したのだ。当時は市場規模も小さくて一部で話題になっただけだが、QV-10があったからこそ液晶ディスプレイ搭載機が当たり前になったといっていいくらいだ。
 | | コンシューマー向けデジカメの歴史を作ったQV-10。ストロボも内蔵してなかった |
それ以前のカメラは、カメラを目の前に持ってきて小さな覗き窓を見ながら撮らなきゃいけなかった。でもQV-10ならレンズを回転させれば別に目の前にカメラを持ってこなくていいのだ。胸のあたりの高さに構えればディスプレイを見たり被写体を直接見たりしながらいいタイミングで撮れるしお腹のあたりに持ってくればしゃがまなくてもローアングルで撮れるし、頭の上に持って行けば脚立がなくてもハイアングルで撮れる。ファインダーを覗きながら撮るというカメラの呪縛から自由になったのである。
QVシリーズはせっかくQV-10で新しい市場を作ったのに、その後の展開がイマイチぱっとしなかったせいで、「EXILIM」で復活するまでトップメーカーになれなかったのだが、1998年、意外なところから回転レンズデジカメの本命が出てきた。
ニコンの「COOLPIX 900」である。これはまだ事務機器のようなデザインだったが、2000年には回転レンズデジカメの最高傑作との誉れ高い「COOLPIX 950」で完成を見る。
 | | 往年の名機COOLPIX 950 |
これは名機だった。まずブラックで微妙に丸みを帯びたデザインがいい。従来のカメラの概念にも収まらない斬新さを持っていたし、機能面でもコマンドダイヤルを装備していてハイエンド機として十分使えるレベルに達していた。未だにファンは多い。
その後、COOLPIX 990、995、4500と後継機は出てきたものの名機950を超えることはできず、他社の回転レンズデジカメも大ヒットとはならず、2004年にはソニーの「Cyber-shot DSC-F88」と「同F828」、コンタックスの「U4R」とペンタックスの「Optio X」のみとなり、コンタックスはデジカメ事業から撤退、Optio Xもまだ後継機は出ず、ソニーもF828の後継として可動式液晶ディスプレイの「Cyber-shot DSC-R1」を出すに至って、市場から回転レンズデジカメが消え去ったのだ。哀しいことである。
その理由を2つあげたい。
1つはデジカメの浸透と拡散によるユーザー層の拡大だ。新たなカメラに対して思い入れがない人々がメインとなり、新しい使い方を提案する回転レンズタイプより、保守的でオーソドックスなクラシックカメラスタイルが受け入れられたのだ。従来のカメラの延長線上の概念で理解できるからである。そうなると、斬新な使い方を提案するモデルはニッチになっていく。
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