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みずほコーポレート銀行産業調査部「みずほ産業調査」
インターネット時代のメディアビジネス
〜変わる消費者・広告主、そしてメディア企業はどう変わるのか〜(5/5)
「みずほ産業調査 Vol.19 2005年12月」より
※本レポートは2005年12月に執筆されました
V.おわりに
やや古い話題になってしまうが、昨年来インターネット上で話題を集めた一本のネットムービーがある。これは“EPIC2014”と呼ばれる、インターネット技術の急激な発展により2014年までにメディア業界が激変してしまう「未来の歴史」を描いた作品である*1。
そのストーリーを簡単に紹介すると、2008年にGoogleとAmazon.comの合併企業「Googlezon」が登場、サーチエンジン技術と個人の嗜好の解析・推定技術の融合、そして圧倒的な資本力により様々なサービスの統合化を進め、2014年に “EPIC(進化型パーソナライズ情報構築網)”を完成させる。これは無数の情報源から発信されるネット上の情報を自動的に収拾・選別し、パーソナライズされた情報として個々のユーザーに届ける、マスメディア企業を不要とする仕組みであり、Googlezonは情報のマッチング量に連動した広告収入を積み上げ、莫大な収益をあげるビジネスモデルを築く。その過程で20世紀のIT企業の代表・Microsoftは主役の座を追われ、既存マスメディアの代表・New York Timesはインターネットの世界から退出し、ニッチな紙媒体として細々と生き長らえることになる。
メディア企業にはもはや「立ち止まる」ビジネスモデルは許されない
現実性はさておき、このストーリーの面白さそして怖さは、インターネット技術の発展により情報流通構造が急激に変化し、場合によっては既存のマスメディアの存在意義、広告機能のあり方を揺るがすほどのインパクトをもつことを一つの仮説的な設定によって鮮やかに示した点にある。既存マスメディア企業は現在のインターネットメディアの状況ではなく数年先の状況を先取りし次代のビジネスモデルを立案しなくてはならないし、またインターネット企業の勝ち組でさえ、現在の競争優位性自体まで変わりかねない急激な環境変化に対応し、自らをスピーディーに変えていかなくてはならないのだろう。
これから到来するインターネット時代のメディアビジネスは、一つのビジネスモデルに長く安住することは許されない非常にダイナミックな競争環境に変わっていく。既存メディア企業もまた勝ち組のインターネットメディア企業も、現在の優位な地位に甘んじることなく、技術トレンド、そして消費者や広告主あるいはコンテンツホルダーの潜在的なニーズに耳を澄まし、更には国際的にも通用するビジネスモデルを作り上げる気概を持ち、メディア変革時代の荒波に漕ぎ出していって欲しい。
(情報通信チーム 梶村 徹)
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*1:原版はhttp://www.robinsloan.com/epic/に、 日本語字幕版はhttp://www.probe.jp/EPIC2014/ に掲載。
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<参考文献>
電通「日本の広告費」各年版
電通総研「情報メディア白書」各年版
宣伝会議「宣伝会議」各号
財団法人インターネット協会監修「インターネット白書2005」
インプレス「インターネットマガジン」各号
モバイル・コンテンツ・フォーラム監修「ケータイ白書2005」
社団法人日本広告主協会Web広告研究会編「Webマーケティング年鑑2003」
横山隆治「インターネット広告革命」
太駄健司「図解 インターネット広告」
宣伝会議編「実践!! モバイル・マーケティング」
和田亜希子「アフィリエイトマーケティング実践マニュアル」
ソロモン・ダトカ「目標による広告管理」
水野由多加「統合広告論 実践秩序へのアプローチ」
松下芳生編 Team MaRIVE著「マーケティング戦略ハンドブック」
原田保・三浦俊彦編「eマーケティングの戦略原理」
グロービス・マネジメント・インスティチュート「MBA経営戦略」
総務省「ブログ・SNSの現状分析及び将来予測」
Interactive Advertising Bureau「Internet Advertising Revenue Report」
Digital Media Strategies, LLC 「Ad Innovator ブログ」(http://www.adinnovator.com)
CNET Japan各種記事、ブログ(http://japan.cnet.com/)
正田MARCOM(マーコム)コンサルティング発行メルマガ「マーケティング・インサイト」
【インターネット時代のメディアビジネス】
梶村 徹 [かじむら とおる] ポラリス・プリンシパル・ファイナンス アソシエイト(執筆当時はみずほコーポレート銀行産業調査部情報通信チームインダストリーアナリスト)
東京大学工学部卒業。東京大学大学院工学系研究科修了。
日本興業銀行、みずほコーポレート銀行産業調査部(情報通信分野を担当、テレコム・メディア・ネットの融合分野を中心に調査、M&A案件発掘等の業務に従事)を経て、2006年より現職。著作に[インターネット時代のメディアビジネス](みずほ産業調査No.19 2005年12月)等、多数。
【通信事業者・CATV事業者によるトリプルプレイの展望と課題】
浦辺 紀行 [うらべ のりゆき] みずほコーポレート銀行産業調査部情報通信チーム調査役
慶応大学経済学部卒業。ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院修士(MBA with Distinction)。
日本興業銀行、日本銀行(出向)を経て2003年より現職、通信・メディア分野のリサーチ及びアドバイザリー業務を担当。主な著作に「通信事業者・CATV事業者によるトリプルプレイの展望と課題」(みずほ産業調査No.19 2005年12月)、「成長するモバイル市場とメディア価値」(宣伝会議 2006年4月1日号)。
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