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コラム −みずほコーポレート銀行産業調査部−



 2.インターネットによる成長を実現する上での3つの視点
 

 では、既存マスメディア企業がインターネット時代により広告主に対する価値そして企業価値を高めていくために、どういった経営的アプローチを考えていくべきなのだろうか。ここでは地上波テレビ局に対するインプリケーションを主に意識しつつ、下記の3つの論点に触れたい。


(1)広告主ニーズに即した番組制作・編成のあり方再検討

視聴率だけでなくブランディングの質への貢献も求められる

 繰り返しになるが、インターネット時代における企業(広告主)のブランディングは、地上波テレビをはじめとする少数のマスメディアを利用した「露出量」の極大化のみに偏重した目標を置くのではなく、既存マスメディア、インターネットメディア、そして企業Web等を立体的に組み合わせて量と質の両方の側面から認知効果の極大化を追求する方向に変わっていく。広告主が視聴率以外にも目を向けた広告宣伝活動を行う以上、地上波テレビ局に対しても、企業(広告主)の伝えたいブランドメッセージを視聴者に伝える機能、そして購買心理形成の後プロセスへの波及効果がこれまで以上に求められることになるだろう。

番組制作や編成に工夫の余地があるのでは?

 これは単に、CMでインターネットサイトのURLの告知を積極的に行い、テレビからインターネットへの誘導を図るという機械的な取組で解決できるものではない。例えばプロダクトプレイスメント*2の積極採用は、DVRの影響によるCMスキップの影響を回避し実質的な露出量を確保するという点だけでなく、番組内で商品の特徴や使われ方、魅力が伝わることからくるブランディングの質的効果を高める意義があり、(インターネットメディアの活用とは直接的に関係ない部分ではあるが)「AICMAS」時代の有力な広告手法の一つとなろう。また、購買心理形成の後プロセスへの波及効果を高める観点からは、番組をトリガーにインターネットでの関連情報へのニーズ、検索・比較ニーズが見込める情報番組を強化しつつ、インターネット広告媒体とコンテンツ企画・広告営業等で連携し、企業からテレビ広告費とインターネット広告費を両建てで獲得していく考え方もありうるだろう。特にモバイル(携帯電話)インターネットでの広告媒体であればテレビとの同時視聴も容易なことから、高速・定額モバイルデータ通信の普及が予想される将来においては、かなり深いレベルでの連携余地があるのではないか。

 今後地上波テレビ放送のデジタル化に伴い多チャンネル同時放送(最大3チャンネル+携帯端末向け1セグ)が可能になることや、近く解禁される可能性のある1セグ放送の非サイマル化*3などにより番組制作・編成の自由度が格段に上がることが想定される中で、テレビ局が広告主にとっての(露出量だけでなく)質的な意味での広告価値を高めるニーズに応える観点に立ち、番組制作・編成方針のあり方を切り替えていくことが望まれる。

インターネット戦略=視聴者からの収入獲得ではない

 テレビ局のインターネット活用戦略としては、テレビ番組の持つ高い告知力を活かした物販、有料コンテンツ販売など、番組に連動した視聴者からの商品・サービス収入獲得に期待する声が多い。それ自体はメディア価値を活かした収益基盤多角化のための努力として肯定的に評価出来るが、地上波テレビ局の収益基盤を支える第一の柱は今後も企業からのブランディング目的の広告支出なのであり、企業のブランディング価値追求の視点を疎かにしてまで一般個人からの販売収入獲得に血道をあげることは避けるべきだろう。


(2)アライアンス戦略、グループ戦略のあり方

現実味を帯びる新旧メディア間のM&A

 第III章で述べたように、インターネット広告が広告費全体の相当なシェアを占めることが近い将来予想される中で、既存メディア企業は成長市場へのアクセス獲得のため、外部インターネットメディアとのアライアンスのあり方を真剣に検討せざるを得ない。インターネットにおける広告事業基盤を早期に築く手段の一つとして、インターネット企業に対する買収・出資、更にはインターネット企業との経営統合がかつてなく現実味を帯びてきている。逆にアライアンス戦略から背を向け続ければ、強大 化するインターネット企業との企業価値格差がますます開き、インターネット企業からの買収・出資アプローチに抗し切れなくなる可能性が高まるだろう。

*2:番組の中で企業の商品等を視覚的・聴覚的に登場させ、宣伝効果を得る手法。

*3:サイマル(Simultaneous)放送とは、複数のチャネルで同内容の番組を流すこと。1セグ開始段階では免許上通常の固定受信機向けとのサイマル放送が義務付けられている。




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