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コラム −みずほコーポレート銀行産業調査部−



 3.トリプルプレイの担い手としてのCATV事業者の強みと課題
 

早期の顧客囲い込みに向けて

 以上のような環境変化を踏まえたCATV事業の課題を一言で言えば、限られた時間の中で、安価な代替サービスとの差別化を如何にして実現し、現在の顧客基盤を維持・拡大していくのかという点に尽きる。究極的には月額2,000円程度の潜在的な価格差を打ち返すに十分な付加価値を顧客に提供出来る体制を今後3〜4年程度の間に創り出せるか否かという問題である。


強みは多面的なアクセスを有していること

 CATV事業者が有する最大の強みは、言うまでもなく、地域に密着した多面的な顧客へのアクセスを保有している点である。物質的なアクセスという観点で言えば、顧客宅へ直接繋がるアクセス網を既に保有しているプレイヤーは、NTT地域会社、電力系通信事業者を除けば、CATV事業者のみである。光ファイバと同軸ケーブルという素材の違いはあるものの、本来、同軸ケーブル(HFC)でも技術的には100Mbps超の高速化も実現可能であり*3、光ファイバでなければならないアプリケーションが未だ見えてこない中、少なくとも当分の間、光ファイバと戦うに十分足りるケイパビリティを有していると言えよう。また、現時点で我が国の全世帯の約4割が実際に使用しており、1割強が多チャンネル放送サービスを導入している点は、通信事業者との比較においては、大きなアドバンテージであるといえよう*4。

*3:技術的な潜在性という観点ではFTTHには及ばないものの(FTTHは末端の装置構成次第で相当程度の容量拡大が可能)、現状環境でも遜色ない速度のインターネット接続サービスの提供が可能と思われる(但し、CATV事業者の網・設備構成、キャパシティの制約次第)。これらの新技術については、技術標準、機器コストが米国CATV業界の動向に依存することが主な問題になるものと思われる。

*4:比率については、自主放送を行う施設ベースにて算出(総務省「ケーブルテレビの現状」)。

 今ひとつは、地域密着の販売・顧客サポートといった人的なアクセスである。『個別性の高いエンターテイメント商品としての放送サービスを顧客ニーズを踏まえながら販売出来る』営業・サポート体制は、マス広告、家電量販店等代理店経由のセールスプロモーションに依存する全国規模の通信・放送事業者との大きな差別化要因として、CATV事業者の方々が必ず自らの強みとされる点である。


アクセスを保有する強みを現実のものとする必要

 しかしながらこうした強み−特に後者の点−は十分活用され、大手通信事業者との差別化要因となっているか、将来的に差別化要因とすることが出来るかは個別事業者毎に検証を要する問題であると考える。サービス浸透率(有料多チャンネル加入者/ホームパス数)の事業者間格差は相応に大きいことがこうした問題の存在を示唆している*5。具体的にマーケティングの4Pに沿って見てみると、(1)訴求すべきことをきちんと訴求出来ているのか(Promotion:例えば、一般にCATVインターネットの特性、技術的な可能性は正しく理解されているとは言い難い)、(2)顧客ニーズをきちんと吸い上げそれを商品に反映出来ているか(Product & Price:そもそも顧客ニーズを把握する仕組みがあり、それを踏まえたパッケージ・価格設定となっているか)、(3)能動的な営業が出来ているのか(Placement:今後はサービス上乗せ等、能動的な営業が重要となりが、現実には受身であるケースが多いのではないか)といった点について、改善の余地が多いものと思われる。端的には、エリア浸透度の高いJ:COMに倣い、営業・サポート人員体制の強化・充実による対応が想定されるが、地方公共団体や株主である地元有力企業との連携強化を志向する事例も存在する。従来の地域独占下において合理的であった施策も、将来予想される環境に合わせ、単体自力での実現可能性も含めて、再度、検討されるべきであると言えよう。

*5:例えば、J:COMの多チャンネル加入者/ホームパス比率約24%(最も高いエリアでは3割超)に対し、都市型CATVの大宗は10%台前半に留まっている(サテマガ・ビーアイ「ケーブル年鑑2005」より算出)。地域特性による差異は存在するにしても、この格差の全てを説明するとは言い難い。




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