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コラム −みずほコーポレート銀行産業調査部−


 2.メディア業界において存在感を増す新興インターネット企業
 

インターネット企業がメディア・コンテンツ事業へ積極的に進出

 インターネット広告市場のほか、Eコマース市場やデジタルコンテンツ市場も急速に拡大する状況を受け、ここ数年のインターネット企業各社の株価・時価総額上昇が著しい【図表I-3】。多くのインターネット企業は資本力を背景にM&Aによる積極的な拡大・総合化路線を加速させており、2004年にはライブドアによるニッポン放送株の大量取得、2005年には楽天によるプロ野球参入、東京放送(TBS)株の大量取得等、インターネットビジネス以外の既存のメディア・コンテンツビジネスへの進出の動きが相次いでいる。


資本力で既存メディア企業を凌ぐ新興インターネット企業

 【図表I-4】は横軸に売上高成長率、縦軸に営業利益額を配置した平面上に、インターネット企業および主要な既存メディア企業の企業価値(時価株式価値+純有利子負債価値)を円の面積でプロットしたものである。ここからは、有力インターネット企業がM&Aを積極活用しながら広告メディア、Eコマース、金融など収益源の多角化を進めた結果非常に高い売上高成長率をあげており、営業利益の絶対額でも主要な既存メディア企業を上回るケースが出ていることが読み取れる。こうした実績と更なる成長期待を受け、ヤフー・楽天の2社は大手の既存メディア企業各社を超える1兆円以上の時価評価に達しているほか、続く有力インターネット企業数社が大手の既存メディア企業に並ぶ数千億円レベルの時価評価を受けている。

新旧メディア横断型再編の胎動

 今後現有事業の成長とM&Aの活発化・大型化の効果から、有力インターネット企業の株式価値評価、そして利益創出力がますます拡大する可能性も想定され、インターネット企業の既存メディア企業への買収・出資アプローチは今後も続く可能性が充分考えられる。一方、既存メディア企業側においてもインターネットをドライバーとした成長戦略の具体化が経営課題の柱となっており、今後インターネット企業と既存メディア企業双方の意向から、両者のアライアンスを模索する動きが活発化することは必至である。



 3.具体化が求められる既存メディア企業のインターネット時代の戦略
 

「黒船」視されてきたインターネットメディア

 従来、既存メディア企業の内部では「インターネットによる既存メディアビジネス構造の破壊を防がなくてはならない」という専守防衛論、逆に「インターネット企業は資本市場に踊らされた虚業であり、いずれ資本市場の潮目が変わるのを待てばよい」といった冷笑論など、インターネットを自らの成長のドライバーとして自社のビジネスモデル内に組み込もうとするよりも、自分たちとは一線を引いた存在として位置付けようとする風潮も見受けられた。

既存メディア企業の課題は今や「インターネットに取組むべきか」ではなく「どう取組むか」

 しかし、近年の急速なインターネットの生活への浸透とインターネット企業の急拡大、そしてライブドアや楽天の件にて現れたインターネット企業の既存メディアビジネスへの参入圧力を受けて、既存のメディア企業においてもインターネットビジネスへの関わり方を改めて模索する機運が高まってきた。インターネットメディアの影響力を無視できないことが鮮明になった今、既存メディア企業にとって「インターネットに取り組むべきか否か」のいずれかの選択肢を選ぶ時期は過ぎ、インターネットの活用を前提に具体的な達成目標・時期と手法を考えるべき局面に差し掛かっている。

このレポートの基本的視点

 後述するようにインターネットの世界では引き続きサービスの進化、使われ方の変化が予想され、インターネットメディアビジネスの成長は一層加速する可能性が高いと考えられるが、この現象は既存メディア企業にとって脅威である一方で、やり方によっては様々なビジネスチャンスが生まれることを意味している。このレポートではこうした認識に立ち、まずはメディアビジネスの構造変化を誰(どのステイクホルダー)が、どのような動機により牽引するのかを考えたい。そしてそれを踏まえて、既存メディア企業が環境変化に合わせ収益構造、ビジネスプロセスをどう変えて行けばよいのか、具体的な問題意識に立った議論を展開していきたい。

(続く)



【インターネット時代のメディアビジネス】
梶村 徹 [かじむら とおる] ポラリス・プリンシパル・ファイナンス アソシエイト(執筆当時はみずほコーポレート銀行産業調査部情報通信チームインダストリーアナリスト)
東京大学工学部卒業。東京大学大学院工学系研究科修了。
日本興業銀行、みずほコーポレート銀行産業調査部(情報通信分野を担当、テレコム・メディア・ネットの融合分野を中心に調査、M&A案件発掘等の業務に従事)を経て、2006年より現職。著作に[インターネット時代のメディアビジネス](みずほ産業調査No.19 2005年12月)等、多数。

【通信事業者・CATV事業者によるトリプルプレイの展望と課題】
浦辺 紀行 [うらべ のりゆき] みずほコーポレート銀行産業調査部情報通信チーム調査役
慶応大学経済学部卒業。ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院修士(MBA with Distinction)。
日本興業銀行、日本銀行(出向)を経て2003年より現職、通信・メディア分野のリサーチ及びアドバイザリー業務を担当。主な著作に「通信事業者・CATV事業者によるトリプルプレイの展望と課題」(みずほ産業調査No.19 2005年12月)、「成長するモバイル市場とメディア価値」(宣伝会議 2006年4月1日号)。

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