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2006年8月17日
増田和夫のビジュアルフリーク
【東芝HD DVD開発者インタビュー】 世界初のHD DVD搭載レコーダー「RD-A1」の実像に迫る
 | | HD DVD搭載のハードディスクレコーダー「RD-A1」 |
●プロフィール
7月27日に発売された東芝の「RD-A1」は、世界で初めてHD DVDを搭載したハードディスクレコーダーである。1TB(テラバイト)のハードディスクを搭載し、片面1層HD DVD-R(15GB)と、片面2層HD DVD-R(30GB)へのMPEG2ストリーム録画が可能だ。録画はMPEG2のみで、VR録画用にMPEG2エンコーダーを1基搭載しているが、H.264などの次世代エンコーダーは採用していない。このほか、従来のRDシリーズと同じくDVD-R/-RW/RAM記録にも対応している。なお、書き換え型のHD DVD-RWは規格が未策定のため未対応となっている。デジタル3波チューナーと地上アナログチューナーを各1系統備えて、デジタル×アナログのW録が可能だ。アプリケーションソフトは、従来のデジタル機「RD-XD92」とほぼ同等だが、ボディの構造と回路構成はレコーダーの域をはるかに超えている。
アルミ削り出しの支柱を4隅に配したパルテノン型のフルアーマーデュアルシャシーや、アンカー・ベイ・テクノロジーズ製の高性能スケーラーLSI、現在の最高峰といえるアナログ・デバイセズ製の14bit/297MHz映像DAC、4基独立構成の音声DACなど、高級プレーヤー並みの物量が投下されている。
あまりの超高級機であったために、驚きと憶測が交錯するRD-A1だが、その実像とは何か? RD-A1をどう理解すれば良いのか? そしてHD DVDの将来は? ユーザーの質問や要望も交えて、フリークな視点で開発陣にインタビューしてみよう。
●マスダのおすすめポイント
★世界初のHD DVD-R対応
★従来のRDシリーズの資産をすべて継承
★HD DVDプレーヤーとしても最高級
★プロジェクター特に三管ユーザーにおすすめ
★再生ファンならお買い得!!?
まず、RDシリーズのコンセプトリーダーである東芝デジタルメディアネットワーク社 デジタルAV事業部 DAV商品企画部 商品企画担当グループ長の片岡秀夫氏と、ハードウェア設計担当である東芝デジタルメディアエンジニアリングのデジタルAVグループ デジタル機器開発技術担当 DVDシステム第二チームマネジャーの桑原光孝氏に、RD-A1の設計コンセプトなどについて聞いてみよう。
●RD-A1の基本はハードディスクレコーダー
 | | 東芝RD-A1開発のキーパソンである片岡秀夫氏(左)と桑原光孝氏(右) |
増田:6月に行われたRD-A1の発表会で印象的だったのは、RDの基本コンセプトが実によく説明されていたことでした。東芝デジタルメディア ネットワーク社の藤井美英社長自らが「RD-A1は、HD DVD搭載のハードディスクレコーダーです」と明言していたのが印象に残っています。私は当初からRDシリーズを取材してきましたので、RDの本質が“ハードディスクレコーダー”であることはしごく当然に思えます。でも一部では「HD DVDレコーダーではないのか? HD DVDの発表会なのにハードディスクレコーダーと呼ぶのはおかしい」といった意見も聞かれます。見当違いの深読みや誤解も多いようなので、改めてRDシリーズの基本コンセプトについてお聞かせください。
片岡氏:おっしゃるとおり、RDシリーズはハードディスクを中心に置いていて、パソコンのファイルコピー感覚で、録画した番組の必要な部分だけをHDDからDVDに残したり、コピーフリーのVR録画タイトルについては複数のDVDの内容をHDD経由で整理したりできるハードディスクレコーダーです。これはRD初号機の「RD-2000」から変わらない基本コンセプトで、HD DVD対応になっても考え方は同じです。今まで積み上げてきたハードディスクレコーダーとしての資産をそのまま生かしてHD DVDに対応しました。RD-A1は、HD DVD対応という新しさばかり注目されがちですが、私としては、RDの資産をすべて継承している点も強調したいと思います。なぜハードディスクなのか?といえば、PCのデータ作業をフロッピーディスクやCD-Rで行わないのと同じで、RDでもハードディスクで視聴や編集などをするのが基本になるからです。編集GUIなどのアプリケーションもハードディスクで使うことを前提に設計してあります。
増田:HDとHDDという語感が似ているので、ネーミングは難しいですね。
片岡氏:そうなのです。英略で「HD DVD&HDDレコーダー」というと舌を噛みそうですし(笑)、メインになるHDDの部分が強調したいので、敢えて「HD DVD対応のハードディスクレコーダー」と呼んでいます。
増田:データのグランドセントラル(中央駅)にハードディスクを置いて、各メディアとデータを交換する、というアーキテクチャーはPC的ですね。編集後にムーブして残す先はHD DVDなのだから、HD DVDレコーダーなのでは?という意見もありますが、私が思うに、RD設計者である片岡さんは光ディスクの物理的な規格にはこだわっていないように思えます。
片岡氏:私としては、入れ物としてのディスクの物理規格にはこだわっていません。大切なのは録画データとその規格なのです。入れ物は、その時点で最適なメディアを乗り継いでいけば良い、と考えています。現状のデジタル放送録画では、コピーワンスの制限が付きますが、RDは、ハードディスクを中心にして、光ディスクと無劣化でデータ交換ができることを基本にしています。ですので、コピーフリーのコンテンツ、つまりVRモードで録画したアナログ放送やビデオカメラ撮りなどのタイトルは、新しい光ディスクが登場しても、ハードディスクを経由してデータの無劣化引っ越しが可能です。今までは最適な光ディスクはDVDでしたが、RD-A1では、HD DVDが追加されたに過ぎません。これは、PCの記録メディアがフロッピーディスクからMOに、CD-RからDVDに変わってもデータを引き継げることと同じです。
増田:新しいメディアであれば何でもよいというわけではなくて、そうした互換性を備えているRDに最適な新メディアを選んだ、ということですね。
片岡氏:そうです。大前提になるのは記録フォーマットの互換性、ディスクの規格でいえばアプリケーションフォーマット(※1)のコンパチビリティなのです。もしも、PCでハードディスクからフロッピーディスクにテキストファイルをコピーしたら、それが不本意に文書の画像ファイルに変わってしまったら困りますよね。メディアを乗り継いでも、データ形式が変わらないからこそ、時代を超えて引き継げるわけです。こうしたファイルコピーの文化はPCが先駆者ですが、デジタルAVのメリットを生かすためにも必須の規格だと思います。その互換性を実現できるのがHD DVDです。
※1 アプリケーションフォーマット
光ディスクなどの記録メディアには、ディスクの物理的な構造を定めた物理規格とともに、ディスクにデータを書き込んでいく際のソフト的な決まりを定めた論理規格がある。アプリケーションフォーマットは論理規格の上位に属していて、映像や音などのコンテンツを、どのようなファイル形式で記録するか?を具体的に定めたコンテンツのための規格である。DVDでいえばDVDビデオモード、VRモードなどがアプリケーションフォーマットにあたる。DVD-RとDVD-RWはディスク構造は違うが、ともにビデオモード録画が可能、というようにアプリケーションフォーマットは、ディスクの物理規格に縛られない場合が多い。
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