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そして、とっても便利なのが、HDD録画機能である。同社のレコーダーと同じ日立GST製HDDをTVに内蔵し、容量は前モデルの160GBから250GBへとアップされている。デジタルチューナーを2基搭載し、TV視聴中にHDDへの裏録画が可能だ。片方のチューナーは視聴用ということで、レコーダーのようなダブル録画には対応していない。TVと録画機能の合体は家電にありがちな2in1の発想なのだが、使ってみると意外に便利だ。なんといってもタイムシフト視聴ができて、TVの放送に縛られずに済むのがうれしい。
また、ワンタッチで即録画できる点も良い。いちいち外付けのレコーダーを立ち上げて録画するよりも手軽で、ちょっとしたメモ録りにも重宝する。ということで、CMのセリフどおり、録画もできない他のプラズマが不便に思えてしまうのであった。
 | | 内蔵HDD録画モードの設定画面。TSは一般的なストリーム録画モード(地上デジタルで約17Mbps、BSデジタルで約21Mbps)だ。このほか、XCodeHDを使った高圧縮TSE1(10.8Mbps)とTSE2(8Mbps)モードも選べる。高圧縮モードではTSの約2倍の録画が可能だ |
本機の録画機能には、さらにもうひと工夫凝らされている。カナダViXS製のエンコーダー「XCodeHD」を新採用することで、長時間のハイビジョン録画を実現しているのだ。XCodeHDを使うと、ハイビジョン画質(MPEG2ストリーム記録)のまま圧縮率を上げてトランスレートすることが可能だ。解像度を落とさずに圧縮できる点が新しい。このため、約半分の記録レートでハイビジョン録画が可能で、250GBHDDを実質500GB相当として使える計算になる。
 | | カナダViXSのLSI「XCodeHD」を搭載。このLSIを使えば、ストリーム録画データをダウンコンバートせずに、ハイビジョン画質のまま再圧縮することが可能だ。再圧縮されたデータは、同社DVDレコーダーDV-DH1000D/500Dへムーブして、再生&DVDダウンコンバート保存も可能だ |
★日立「以前からストリームデータのまま長時間録画ができたら、と考えていました。2004年末に「XCode」の性能に着目して開発を始めましたが、今までにない機能なので、LSIのプログラミングに苦労して今回のモデルで初めての採用となりました」
すでに圧縮されているMPEGデータを、どうして高圧縮できるのか? そのテクノロジーは公開されていないが、映像から推測すると、まず横方向の解像度を3/4にスケールダウンすることでデータを削っているようだ。本機パネルの横解像度は1,024ピクセルなので、ハイビジョンの1,920ピクセルを3/4に落としても見かけ上の変化はほとんどない。さらに、データ放送部分を削ることでデータを削減しているようだ。と同時に、VBR(映像の複雑さに応じた記録レート配分)の幅を広げて、静止画に近いシーンでは思いっきりレートを落としていると思われる。
というように、データ圧縮にマジックはなくて、やはり目立たない部分の情報を削っているようだ。実際に高圧縮映像をチェックしてみよう。再圧縮されているが、SD解像度にダウンコンバートはされていないので、確かにハイビジョンの繊細さは保たれている。といっても高圧縮であるため、動きの激しいシーンでは圧縮ノイズが出やすくなる。このため、派手な音楽ステージやアクション映画などは苦手だが、動きの少ないトークやバラエティ番組などの録画には使えるだろう。欲を言えば、さらに大容量なHDDが欲しくなるが、
★日立「HDD容量をさらに増やせれば理想的なのですが、そうするとリーズナブルな価格を超えてしまいます。他機と同じ価格帯で、なおかつ長時間録画できるコストパフォーマンスを追求した結果がXCodeHDなのです」
この機能も、現状で最も実用的な“現実解”といえそうだ。
HDDに録って消すだけでなく、DVDなどに残したくなるのが人情だが、本機にはDVDドライブなど最終保存用の機能は備わっていない。といっても心配は要らない。これにも解決策が用意されている。
★日立「前モデルもHDD録画機能を備えていましたが、DVDに残したいというご要望を多くいただきました。でも、TVにDVDドライブまで内蔵すると高価で複雑になってしまいます。そこでレコーダーとのリンクを発案しました。今回のリンクはi.LINKですが、各機器との連携には最適なインターフェースを選んでいきたいと考えています」
前回の記事で取り上げたように、i.LINK(TS)出力端子で、同社のDVDレコーダーDV-DH1000D/500Dと接続すれば、本機で録画したデジタル放送をレコーダーにムーブ(移動)可能になった。ムーブはDVDレコーダーと似た操作で簡単に行える。XCodeHDで圧縮したタイトルもムーブでき、レコーダーでの再生や、DVDへのダウンコンバート保存も可能だ。ムーブは等速になるため、時間はかかるが、保存の道が残されている点は安心できる。なお、i.LINK接続できるレコーダーは、前記したモデルのみ保証されているが、D-VHSのテープコマンドを使うので、自己責任で繋げばそれなりの汎用性はありそうだ。
 | | 本機で録ったタイトルを、同社DVDレコーダーDV-DH1000D/500Dへムーブする。同社DVDレコーダーはD-VHSと認識される。操作はDVDレコーダーと同じ要領だ。i.LINKのテープコマンドを使うため等速ムーブになる |
★日立「今回のモデルでは、ハードとソフトを次世代TVに向けて大きく見直しています。将来は、その実力をさらに発揮できるでしょう。42V型のフルHDモデルについては来年の春にパネル生産を、それ以降にTV搭載を考えています。次世代TVといっても難しい機能ではなく、家電としての使い勝手の良さを追求したいと思っています」
今までの日立フラットTVは、他社の攻勢に対して防戦気味だったが、他との差別化が図れる量産タイプの投入で攻めに転じた、といえるだろう。ユーザーから見ても魅力のある製品で、ハイビジョンをもう一味キレイ&便利に楽しみたい人に勧めたい。
(増田和夫)
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■著者紹介
増田和夫(ますだ かずお)
先進分野に強いオーディオ&ビジュアル評論家。映像と音に関わるモノはすべて興味アリ。といっても「モノとにらめっこをするのではなく、モノの背景にあるコンセプトと開発者のメッセージを伝えたい」というのがモットーで、インタビューなどのジャーナリスティックな記事もこなす。デジタルAV、次世代メディアを始め、CGやオーサリングソフトにも強い。デジカメフォトグラファーでもある。録画機は1970年代から熱中し、エアチェック&AVの道に心酔。PC歴も豊富で、最初に入れ込んだパソコンはApple IIというPC歴20年以上のベテラン。
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