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ビジネスモデル的には、メインの収入源は広告だ。これに決済システムの手数料とアフィリエイトが加わる。また将来的には有料のコースも考えている。サイトの性格上、絵を描く人が多い。だから画像を貼り付けるケースがひんぱんにある。そこで大容量の有料コースを設定しようというわけだ。
栗原社長が描くビジネスモデルはそれだけではない。サイトにできたコミュニティ自体を活用する方法も考えている。
「SNSの会員が5万人、10万人規模で集まるとしますね。たとえば一般の雑誌でもマンガを紹介する特集をやりますが、でも10万部出ている雑誌ってなかなかないと思うんです。とすればSNSに集まった10万人は、これはもうひとつの新しいメディアですよね。で、このメディアをうまく使いたい」
たとえばマンガ雑誌を手がける出版社が、新しい連載を企画したとする。ところが本当に人気が出るかどうか判断がむずかしい。そこで連載を始める前にあらかじめ作品の一部を「マンガ読もっ!」に掲載し、テスト展開するテも考えられる。ユーザをモニターに使うわけだ。
「SNSは雑誌と違い、ユーザの年齢層や性別などの『顔』が見えるメディアです。ですから反響を分析するマーケティングに役立てやすい。うちとしては出版社と競合するのではなく、協力して一緒にやりたいんです」
あるいはこんな作戦もある。ひと昔前の本屋さんのマンガコーナーは、立ち読みならぬ「座り読み」する若い子でいっぱいだった。ところがいまどきの本屋さんは、マンガをビニールでしっかり梱包して読めなくしている。
まあ立ち読み対策というのは理解できるが、それにしてもこれじゃあ内容がちっともわからない。昔みたいにパラパラと読んでみて、「気に入ったらレジへ行く」という買い方ができないのだ。
「特に子供なんかだったら、表紙だけ見てポンと500円を出す、なんてことはありえませんよね。そこでたとえばうちのサイト上でさわりを流し、気に入ったら本体を買うという展開も考えられます」
ネット上で手軽に第1話だけを読め、「おもしろい」となればコミックを買う。こんな流れがマンガファンに定着すれば鬼に金棒である。
ビジネスの話をしているというのに、栗原社長のいかにも楽しそうな表情はマンガファンのそれに近い。さすがは「マンガ馬鹿」である。実はいまの会社を作る前、栗原さんは10年以上も専門学校でCGを教える教員だった。ところが人を育てても、新潟にはそれ系の就職口がない。で、「ないなら自分たちで作ろう」と始めたのがいまの会社なのだ。
「実際、社員はほとんど私の教え子です(笑)。まあクリエイターの育成は、私のライフワークみたいなものなんです。より多くのクリエイターにチャンスやモチベーションを与えたいとずっと思ってきました。今度の新事業もその延長戦みたいなものですね」
将来は海外向けにサイトを多言語化し、外国のユーザも楽しめるようにする。
「日本のマンガは外国で読まれていますからね。海外のファンにとって、日本はもう聖地みたいなもんですよ。ちょっと前にイタリアかどこかの女の子が家出して、日本のコミケに来ようとして途中で補導された、というニュースがあったくらいですから(笑)。
いや家出するくらいならね(笑)、日本のコミケに出ている作品を直接海外に配信したり、ユーザの間でやり取りできればおもしろくなるじゃないですか」
栗原さんが作ったサイトが世界を席巻する日も、そう遠くない将来なのかもしれない。
(松岡美樹)
■著者紹介
松岡美樹(まつおか みき) ライター
1960年生まれ。中央大学卒。新聞、出版社勤務をへてフリーランスのライターとして独立。以後、『日経トレンディ』(日経ホーム出版)、『Begin』(世界文化社)、『POPEYE』(マガジンハウス)新装刊などの雑誌立ち上げにかかわる。興味の対象はネットワーク関連や無線LANなどのほか、社会現象や世の中のトレンドを斜めから見ておもしろがっている。『月刊アスキー』などで連載を執筆するかたわら、世の中ウォッチングな自身のブログ『すちゃらかな日常 松岡美樹』を運営している。
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