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──では2006年以降、コンテンツの世界はどんな方向へ行くのか、どう変わっていくのかについてはどう思われますか?
玉舎:僕は携帯電話でネットの世界に入った若い女の子たちに期待しています。コミュニケーションのやり方が、もう旧世代とはぜんぜん違いますから。彼女たちはおもしろいものを作り出すのではないかと思います。
白はた:今の19才〜25才くらいのポケベル世代の女性たちには、ポケベル入力ができる携帯が売れていますね。で、電車の中で見ていると、彼女たちはあまり手元を注視していない。なぜブラインドでできるのかといえば、ポケベルのメッセージを送っていたときも変換していなかったので、見る必要がないんですよ。
あれを見て、僕は「これは遊べそうだなあ」と感じました。楽しそうなんですよね。遊びはこういうところから生まれてくるし、その遊びから作品ができる。ああいう人たちの中からは、何かが生まれる気がします。
また携帯がフルブラウザを搭載してくるようになると、あれは表現的にはパソコンの世界になっていますよね。もう携帯の中でのサイトの作り方を放棄したも同じだと僕には思える。やっぱり携帯では表現しずらいですよ。で、そう感じる若い世代が今度はパソコンの世界に入ってきて、新しいものを作る。フルブラウザを選ぶユーザが多いということは、それを暗示している気がします。
玉舎:幸いなことに携帯の世界では、コンテンツのビジネスがプラットフォーム的にできていました。だから携帯で初めてネットを体験した人たちは、それを経験している。ですから「私は携帯のコンテンツやゲーム、着メロを作っていました」とか、「携帯で初めてこの仕事に入りました」という若い人は、その中で育っている。そんな彼らがブロードバンドの世界で物作りを始めたとき、何かおもしろいものができそうだな、と感じます。それほど先の話ではないですよ。
白はた:もうひとつ、2005年に感じたことは、パソコンメーカーがパソコンを家電として位置づけるようになったことです。それはパソコンの置き場所に端的に出ました。たとえば昔、一家の電話って玄関にありましたよね? それからテレビは、いわゆるお茶の間で家族みんなの前に鎮座していた。一方、パソコンはいままで、家庭の中での置き場所は昔の電話やテレビみたいに明確じゃなかった。
ところが今では一人暮らしの人が、サイドテーブルの上に置けるようなモデルになっています。テレビの横に置く、というイメージです。つまりメーカーが置く場所を限定したモデルを打ち出すようになった。
ということは生活空間の中でパソコンを家電として位置づけるというか、昔の電話みたいに「ああ、パソコンならあそこにあるよね」というふうに置く場所が明確になる。するとその先にブロードバンドがあるのは当たり前なので、「これは波がくるかな?」という気がしています。
玉舎:今の大学生くらいの若い人たちの中には、テレビをもっておらず、パソコンがテレビ代わりになっている人が増えましたね。最近のリビングに置くタイプのパソコンはみんなチューナーが入っているし、チューナー自体の性能も昔より向上しました。液晶ディスプレイにしても、テレビを観ることを想定しています。この方向性は加速していくでしょうね。
そもそもテレビが何台もあるのはムダだし、将来は大きな画面にすべてのデバイスがつながっていく可能性はある。その中で楽しみ方も変わるし、提供されるコンテンツが変わる余地もあるでしょう。
2005年は「今年の○大ニュース」的なものって、ほとんどネットがらみだったと思うんですよね。2006年はその延長線上で考えれば、去年と同じような環境の中で人々のネットに対するリテラシーも向上していく。ハード的にもライフスタイル的にも、インターネットが特別なものじゃない存在として当たり前に使えるようになれば、それは着実に進んでいく。そんな変化の中で、エポックメイキングなコンテンツが生まれる下地は徐々に整っていくのではないでしょうか。
──コンテンツの作り手の側もユーザの側も世代交代が進み、それにつれてインターネットとの付き合い方も変わる。徐々にではあるけれども、その中から新しいものが生まれる。大きな流れでいえば、2006年もその途上にある、ということですね。本日はありがとうございました。
(松岡美樹)
■著者紹介
松岡美樹(まつおか みき) ライター
1960年生まれ。中央大学卒。新聞、出版社勤務をへてフリーランスのライターとして独立。以後、『日経トレンディ』(日経ホーム出版)、『Begin』(世界文化社)、『POPEYE』(マガジンハウス)新装刊などの雑誌立ち上げにかかわる。興味の対象はネットワーク関連や無線LANなどのほか、社会現象や世の中のトレンドを斜めから見ておもしろがっている。『月刊アスキー』などで連載を執筆するかたわら、世の中ウォッチングな自身のブログ『すちゃらかな日常 松岡美樹』を運営している。
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