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白はた:一方に制作する人がいて、人々に届ける中身がコンテンツだとすれば、消費者からお金をいただいて物作りしてきた人たちが、まだネットのことをよくわかっていない部分があるんじゃないでしょうか。まだ制作者自身が「ネットで遊びたい」とは思っていない気がします。
▲白はた正彦氏
たとえば2005年は音楽配信がかなり話題になりましたが、僕は本当の意味で成功したとは思っていません。あれは音楽を身近にしただけです。消費者としては音楽を外に持ち出すとき、CDを抱えていくよりラクだったんでしょう。音楽配信は、自分が所有するものを外に持ち出すためのツールとして選ばれただけです。
で、もう一方の主役である歌を歌う人たちは、音楽配信に一生懸命取り組む意識がない。それはなぜか? やっぱり彼らにとっては音楽配信が、「ネットで音楽をやろうよ」という意味での道具になっていないからじゃないでしょうか。
パソコンに音源をつないで作曲や演奏をするデスクトップミュージック(DTM)が出てきたときには、あれは新しいレコーディング手法でした。だから制作者自身が楽しんだと思うんです。今までにない音を作ろう、みたいな感じで、あれが遊び道具になった。でもブロードバンドという、ことネットワークのほうはといえば、旧来から物作りをしてきた人たちにまだ遊び道具として認識されていない気がします。
その意味ではブログなんかは、遊び道具になったから流行ったんだと思いますね。今までならホームページを作るのは大変だったけど、ブログというツールを使えば表現が簡単にできる。ブログは遊び道具になったわけです。
ゲームの例でいえば、韓国のオンラインゲームなんかもそうです。プラットフォームは、別に旧来のゲームマシンにとらわれなくてもいいんじゃないか? そんな発想から遊べたんだと思う。で、発展した。
その昔、オンラインゲームの波がまだ来るか来ないかわからない時代には、「終わりのないゲームをどうやって作ればいいんだろう?」というワクワク感がありました。でも物理的な盤で要求されるものは、「終わりを作ってください」ということなんですね。するとだんだん人間は頭が固くなっていくから、「ああ、僕らはオンラインゲームを作れないだろうな」と感じた。
そういう不自由さと自由さみたいなものをうまく消化した人たちが、オンラインゲームを作っているんだと思います。彼らはインターネットで、まったく新しい表現の手段を得たということです。
玉舎:テキストとそれに付随する画像という意味では、コンテンツはブログによって少し開花した感じはします。ただそれがブログという媒体のまま、ひとつの産業、ビジネスのスタイルを確立しているかといえば、まだそうなっていません。最終的には出版物として紙になったり、映画化されたり、従来からあるメディアミックスのなかに組み込まれている。
その中でオンラインゲームだけはビジネスモデルが確立され、すでに産業になっています。特に韓国などではそれが国策のようなものになっている。従来のパッケージソフトのゲームとネットゲームは、見た目は同じですがまったくちがうものです。本来、コンテンツの世界では、これと同じことが映像にも起こるはずだし、音楽にもありえるはずです。
人が見たときにそれを映画のように感じたり、音楽のように感じる。でもネットがからむことで、本質はまったくちがう新しいものになっている。しかもアーティストが一方通行で送り出すものではなく、そこに人々のコミュニティがあって初めてビジネスとして成り立つ。あるいはそうなって初めてひとつの作品として成立する、みたいなね。まだそこが開発されていない。
たとえばネットゲームって、ユーザが集まらないと作品性がゼロなんですよ。あれは人間が入ってきて、みんながそこにいるから作品になっている。明らかに新しいものです。それがいったいどういう形になるのか、まだはっきりしていませんが……映像や音楽コンテンツの世界でも、それと同じようなことが起こってくるんだと思います。
オンラインゲームの歴史を少し言いますと、今の原型は20年くらい前からありました。テキストベースで、雛形はいくつかできていました。それに2Dや3Dの絵がついてリッチになり、プレイステーションのような表現になってきた。で、「オンラインゲームはすごいぞ」と人々に認知されました。
それと同じことが、おそらくブログのようなものから次は音楽に広がり、映像に広がっていくときがくるでしょう。最初はブログのようなものから、テキストや画像のベースで簡単な雛形が生まれる。それに音や絵がつく。あるいはテキストを使わず、音だけで表現する人たちが出てくる。動画でそれをやる人も登場する。
今の若い人たち、子供たちは音や映像を当たり前のように使うでしょうから、そうなると変わりますよ。それはたぶんネットでしか生まれ得ないものですから、とても楽しみです。
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