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大人の時間を突破せよ! |
いったい『MJ』とはいかなる番組なのか? 生き別れの恋人を想うがごとく、幼い私の心の中で『MJ』は、巨大な存在として膨れ上がっていきました。
そんな頃、友達のS君が、衝撃的な事実を私に告白したのです。彼は『MJ』を見たと言うのです!!
「うん、面白かったよ。『セブン』の飛行機みたいなのが、戦うんだ」
彼には、「大人の番組」が理解できている。いや、『MJ』は子供でも見られる番組なんだ。すかさず、両親に直談判。「みんな見ている」を連発!
(後に、『“みんな”ってのは何人なんだ? 名前を挙げてみろ』という返し技を喰らうこともあり)
そして最終兵器「一生のお願い」を併用!
(この後の人生で何度この兵器を手に戦わなければならなかったことでしょう)
ついにたった1回だけ『MJ』を見ることを許されたのです。
その日のサブタイトルは後に調べたところ「K52を奪回せよ」。それなりにメカも登場する娯楽編です。
はっきり言って、当時の私には前半の人間ドラマはさっぱりわかりませんでした(やはり「大人の番組」であった)。
しかし、MJ号の発進シークエンスの壮大さ、クライマックスの潜水艦戦のカッコ良さ、冨田勲氏のスケール感のある音楽……これらは幼少のシワの少ない脳細胞にもしっかり刻みつけられたのでした。
難解だからこそ『MJ』はカッコいい!!
それから数か月後、またもや事件が! 同じ局で今度は夜7時の「子供の時間」から『MJ』がはじまったのです。
タイトルは、『戦え!マイティジャック』。
両親曰く「円谷プロの人がお前たちのために子供用に作り直してくれたんだよ。よかったな」
今、考えてみると、親の詭弁なのですが……。
「大人の番組」、『MJ』は製作費やら視聴率の問題やらの「大人の事情」で、わずか13話でピリオドを打たれるという結果に終わってしまいました。仕方ないので、30分の通常の「子供の番組」にダウンサイジングした、というわけです。
それでも“子供”にとってはうれしい限り。さっそくブラウン管の前にかぶりつき。
だが、何かが違う。これは『MJ』じゃない……。
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戦え! 巨艦の怪獣征服 |
『戦え!マイティジャック』
変わったのは、タイトルばかりではなく、その内容も著しく変化しております。
MJ号がマイティ号という呼称に統一されたり……。
メンバーが11人から5人に減ってしまったり……。
指揮権が矢吹コンツェルンから国連になっちゃったり……。
という変更(後付の知識)などは、実は些末なことなのです。
幼いテレビッ子にもわかる大激変。それは、番組後半の怪獣・宇宙人の跳梁跋扈でしょう。
オイルを食う大ダコ。水爆を飲み込んだ恐竜ザウルス。人類支配を目指す植物知性体プラント。巨大化するミイラ。モノロン星人のペットが巨大化した大猿パッキー。宇宙忍者ドロン星人。謎の島の巨大ワニ(本物)。敵Qの未亡人団体が繰り出す巨大ロボットビッグQ……。ウルトラに右に習えと、出るワ、出るワの怪獣総進撃。
しかも、この頃は、裏番組には『巨人の星』があり、すでにスポ魂ブームが到来しております。さすがの怪獣にも、戦局を覆すような、かつての神通力はございません。
特に、『MJ』の巨大メカ対巨大メカの堂々たる戦いに憧れていた私にとっては、かなりショックでありました。
当時は、ああ、「子供向け」というのは、そういうことであったのか? と、大人に舐められた気分がしたものです。
ということで、『戦え!』に関しては、正直あまり良い想い出がなかったのですが、「大人の目」で再見してみますと……これが、かなり面白い! 特に、あんなに嫌っていた怪獣戦がたまらない。
大ダコが触手でマイティ号に絡み付く! まさに頭足類の常套手段! なんとマイティ号はそのまま飛行。まさにタコタコ上がれ。さらに電気ショックでタコ焼き!
なぜか巨大化したミイラ。艦載機などに任せず突進するマイティ号。ミイラが怪力でマイティ号をボディスラム! 負けじとマイティ号、噴射でミイラを焼く! さらに体当りでミイラの両腕を粉砕!
まさにメカと怪獣の異種格闘技戦!
考えてみれば、『海底2万哩』ではノーチラス号が大イカと戦い、『海底軍艦』では轟天号が怪龍マンダと戦い、『地球の危機』ではシービュー号が大ダコと戦い……数々のスーパーシップが海の魔物と名勝負を繰り広げております。
ある意味、これも万能戦艦の系譜のひとつでもあったのですね。
酸いも甘いも噛み分けた大人になってから「大人」と「子供」のボーダーラインをさぐるのも、これまた一興でありますな。
■著者紹介
木川明彦(きかわあきひこ)
1963年、千葉県出身。成城大学文芸学部卒業後、アニメ、特撮、SF、ゲーム系に関する雑誌・書籍を多数企画・編集。また、映像作品の設定考証や小説なども手がける。近著に『無敵万能ゼロ艦隊』(銀河出版)がある。最近は活動の舞台をWebの世界にも展開。Web Magazine「TORNADO BASE」で「エモーション魂」を連載中。
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