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過去を甦らせる心の旅へ |
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僕の大事なコレクション
配信:CinemaNow (c) 2005 Warner Bros. Entertainment Inc. 配信終了:2007年4月30日
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そして揺れる心を封じ込めて生きてきた人々の記憶が長い歳月を経て解き放たれるのが、『僕の大事なコレクション』(リーヴ・シュライバー監督 2005年アメリカ映画)です。主人公はイ・ビョンホンのソヌ同様、黒のスーツに身を包み、恋愛とは無縁に生きてきたアメリカに住むユダヤ人青年ジョナサン・サフラン・フォア。ただし、彼が生きているのはソヌのようなハードボイルドな世界ではありません。
演じるイライジャ・ウッドが、『ロード・オブ・ザ・リング』に続いて運命の旅をするのですが、今度の旅の仲間もまた振るっています。遥々訪れた祖先の地ウクライナで契約した通訳兼ガイドのアレックス(ユージーン・ハッツ)の英語は凄まじくブロークンで、ドライバーをつとめる彼の祖父(ボリス・レスキン)は、先日アカデミー賞助演男優賞に輝いた『リトル・ミス・サンシャイン』のアラン・アーキンが演じた強烈なグランパに匹敵するアクの強さ。ここに“サミー・デイヴィスJrJr”と名づけられた犬が加わり珍道中が始まります。
幼い頃から家族にまつわる細々としたものを集め続けてきたジョナサンは、祖母からコレクションに加えるようにと1枚の写真を手渡されます。彼の祖父サフランはナチスの迫害を逃れてウクライナからアメリカに渡ったユダヤ人。その祖父の命を救ったのが一緒に写っているアウグスチーネという女性だと聞かされ、意を決して彼女を探す旅に出たのです。
アメリカからルーツ探しの旅にやってくるユダヤ人を相手に商売をするアレックス一家にとって、ジョナサンもいつもの客と同じように適当にあしらっておけばいいはずでした。ところが、彼が目指しているのが今は地図にない村トラキムブロドだと知ると、アレックスの祖父の様子が変ります。彼の中で封印していた記憶が目を覚ましたのです。
家族にさえ明かすことを拒むほどの辛い過去とは? 固く口を閉ざし、苦しみも悲しみも一切の心の揺れを自分の中に閉じこめてきたアレックスの祖父と、ジョナサンの祖父サフランを繋ぐトラキムブロドの地でかつて何が起きたのか? そしてアウグスチーネの行方は? 軽妙なタッチで始まったロードムービーはいつしか過去を甦らせる心の旅へと様変わりするのです。
そして、その甦った過去が放つ光ですべてが解き明かされるのですが、ジョナサンがアウグスチーネの写真に心を動かされたことが発端となった旅の本当の始まりは、もっと昔に遡るのかもしれません。幼い日に祖父サフランが遺したバッタのペンダントをジプロックに入れてコレクションを始めたとき。いえ、それより遥か昔、アウグスチーネが指輪をビンに入れて土に埋めたときに。すべては引き寄せられ、出会うべくして出会ったのです。
年を重ね、世間と交わってゆくごとに困難を極めますが、揺れる心を偽ることなくありのままに生きることができたら、それこそが最高に幸せな人生なのかもしれません。
■著者紹介
齊田安起子(さいたあきこ)
1963年生まれ。大学卒業後、スコットランドとその周辺をWalkman DD(カセットテープさ!)を道連れに船、鉄道、バス、徒歩で旅し、サッチャー時代のイギリスや、東西分断時代の西ドイツを覗き、フィンランドでは北極圏ちょっとだけ突破を果たす。働かなくっちゃと帰国後、10年強のOL生活を経て、カルチャーセンターの映画ライター講座をきっかけに、書く仕事を開始。DVD&ビデオVISION(日之出出版)、映画情報サイトCINEMA COMIN'SOONなどにせっせと書いてます。ちなみに現在はiPodユーザです、念のため。
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