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海底ロマン時代 |
『海底少年マリン』の前身である『ドルフィン王子』が誕生した1965年は、実は、海洋冒険モノの一大ブームの真っ只中だったのです。
火付け役は、1963年に「少年サンデー」で連載がスタートした『サブマリン707』(小澤さとる作)です。海上自衛隊の老朽潜水艦707号が、秘密結社の新鋭潜水艦に立ち向かいます。装備は古いが、乗組員の手腕だけは天下一品! という血湧き肉踊る海洋冒険活劇であります。これが全国の少年諸君にもてはやされ、大ヒットとなります。
それに呼応するかのように、1963年末には東宝映画『海底軍艦』が公開。さらに翌年の1964年9月7日には『海底大戦争・スティングレイ』、1964年12月14日には『原子力潜水艦シービュー号』という、海外TVドラマがそれぞれスタートします。まさに東西のスーパー潜水艦がオンパレードした時期だったのです。
続く1965年、『サブマリン707』の作品としての面白さもさることながら、今井科学がスタートしたプラモデル「サブマリンシリーズ」が人気に拍車をかけました。ゴム動力のミニサイズから、モーター動力のビッグなものまでバリエーションは多彩。モータータイプは、自動浮沈機構まで備えていたというから驚きです。当然、スティングレイやシービュー号などもキット化され、模型店には潜水艦モデルが山積みにされておりました。 |
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内風呂文化と潜水艦 |
しかし、この海洋ブーム、潜水艦プラモブームを支えていたのは何だったのでしょうか?
いくら潜水艦プラモを組み立てても進水式が出来なくては魅力半減です。
しかし、近くの池や川に進水させてしまうと、回収が困難です。事実二度と帰らぬ艦も多かったようです。
銭湯の大きな湯舟は魅力的ですが、知らないおじさんが、たくさん浸かっている中では、大惨事を引き起こしかねません(当時は他人の子供でも容赦なく叱られたのです)。いや、それ以前に、プラモの持ち込みなど親が許してくれません。
1960年代は、内風呂の普及率が急速に高まった時代でもありました。1963年の住宅統計調査によれば、全国の内風呂普及率は約60パーセントにまで届く勢いだったそうです。そう! 内風呂こそが潜水艦プラモが航行可能な水域だったのです。家庭内に風呂が爆発的に普及したことが、潜水艦ブームを支えたと言っても過言ではないでしょう。
ですが、内風呂は狭い。わずか数秒で浴槽の縁(へり)に衝突してしまいますので注意が必要です。下手をすると衝撃で大破しかねません。かえってフラストレーションが溜まったのを憶えております。
話を『マリン』に戻しましょう。
「太平洋占領作戦」「海底の魔術師」「太平洋ギャング同盟」「海底大サーカス団」「ねらわれた海底牧場」「謎の水棲人」「さまよえる幽霊船」「バチスカーフ危機一発」「海底グランプリレース」……さすが、数年にわたるエピソードの蓄積、サブタイトルを見ているだけでも、ありとあらゆる海洋冒険モノの醍醐味が詰まっております。この機会に海のロマンに浸ってみてはいかがでしょうか? あ、寒いんで、熱い風呂にも浸ってくださいね。
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■著者紹介
木川明彦(きかわあきひこ)
1963年、千葉県出身。成城大学文芸学部卒業後、アニメ、特撮、SF、ゲーム系に関する雑誌・書籍を多数企画・編集。また、映像作品の設定考証や小説なども手がける。近著に『無敵万能ゼロ艦隊』(銀河出版)がある。最近は活動の舞台をWebの世界にも展開。日本を変えたプロダクト図典NipponStyleをプロデュース中。
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