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ドリルの塔と怪獣至上主義 |
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でも、こんな黄金バットさんに、雄雄しく立ち向かった悪の人がおります。名をナゾー。フクロウのような黒マスクを被り、目が二対。赤、青、緑に黄色というカラーテレビ時代を意識した配色。左手はかぎ爪、下半身は浮遊する円盤に一体化。全身どこを見ても強烈な過去を背負っていそうなのですが、そのへんのプロフィールは、バットさん同様、劇中ではあまり語ってくれません。もちろん大変残忍な性格で失敗した部下など目から怪しい光線を発射して消滅させてしまいます。
その絶対的支配下に置かれている部下たちを紹介しましょう。
代表的なのは黒マスクの戦闘員。そう、まるで『仮面ライダー』のショッカー戦闘員を先取りしたような連中なのです。
また世界中に幹部が点在しており、小は盗賊から大は国家の要人まで多種多様。アフリカの小国を独立させ、ブラックスターなんて名前を付けさせてしまうこともしております(しかし悪い国名だなぁ)。
一の手下は副官のマゾー。別にアブナイ趣味の持ち主というわけではありませんが、口八丁手八丁卑怯未練恥知らずの手合いです。ピンクのガウンで多少オカマっぽいところなど、『ガッチャマン』のベルク・カッツェの先駆的キャラクターです。とにかくゴマスリのうまい男で、部下をすぐに殺すナゾーの下にいながら、なぜか失敗の連続でありながらも、生き残っているのです。
さらに、ナゾーの本拠地がスゴイ! ナゾータワーというのですが、まさにドリルそのもの。地中から突如出現し、空中、水中を自在に征く、まさに漢(おとこ)の浪漫を結集させたような万能要塞なのであります。
超兵器や豊富な人材も駆使しますが、最終的なナゾーの主力は「怪獣」なのです。
「怪獣」。それは、この世界の切札であり、至上の存在なのです。
ナゾー自身も幾度となく「所詮は怪獣の敵ではないわ」という台詞を連発。
アマゾンの奥地からやってきたコウモリ男も、「黄金バット、おまえは俺には勝てぬ、なぜなら俺は『怪獣』なのだ」。
妖術使いのお婆々も、「あたしに逆らうんじゃないよ。なんたってあたしには『怪獣』がついているんだからねぇ」。
とにかくこの『怪獣』という言葉が出て来ると聞く者すべてが驚愕もしくは萎縮してしまうのです。まさに「怪獣至上主義」。怪獣通れば道理引っ込む。
ゆえに、さしものナゾーもこの頼りの怪獣がバットさんに倒されたときの慌てようはすさまじく。すべての計略を放棄して逃亡してしまいます。
なぜか? 『黄金バット』が放映されていたのは、1967年。時代的には、あの『ウルトラマン』の直後になります。だから世は空前の「怪獣ブーム」。今のレトロブームとは、また別の熱狂ぶりでした。とにかく怪獣さえ出ればウケた時代。当時の少年マンガ誌の表紙もほとんど怪獣。全部「テレビマガジン」や「てれびくん」みたいだったとご想像ください。ナゾーの怪獣至上主義も時代の影響というわけだったのです。 |
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■著者紹介
木川明彦(きかわあきひこ)
1963年、千葉県出身。成城大学文芸学部卒業後、アニメ、特撮、SF、ゲーム系に関する雑誌・書籍を多数企画・編集。また、映像作品の設定考証や小説なども手がける。近著に『無敵万能ゼロ艦隊』(銀河出版)がある。最近は活動の舞台をWebの世界にも展開。日本を変えたプロダクト図典NipponStyleをプロデュース中。
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