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年齢は誕生日の前日に満了する
2006年11月27日
ネットのニュースサイトで、ある野球の投手についての記事を読みながら「そう言えばあの人は4月1日生まれだよな」と思い出した。
4月1日生まれが早生まれに含まれる、ということは一般常識として知っていても、その根拠が何であったかまで正確に記憶している人は少数だろう。そんな時でも検索エンジンに「年齢
満了」と2つの単語を放り込めば、そのことについて記述したページが、あっさりと検索上位に現れる。ネットの普及と検索エンジンのおかげで、こうした些細な調べものをするということが、本当に簡単になった。
ただ、この例で「年齢 満了」と入れるためは、「日本の法律では年齢は誕生日の前日に満了するから」という背景を一段知っている必要がある。では「4月1日
早生まれ」と入れたらどうか。実はこれでも、概ね同じ情報にたどり着くことはできる。ネットにおける検索の便利なところは、背景知識が乏しい場合にも、事象そのものを示す具体的な単語の羅列によって、目的の情報にたどり着きやすいことだ。紙の百科事典で調べものをするには、まずはその事典を使いこなすために、相応の知識レベルや抽象化能力が必要だった。
こんな風にパソコンやネットの普及が私たちの思考や心理を、生活を、さらには社会をどう変えていくのかということについて、私なりにずっと考えて来た。新しい道具をより良く使うためにはどうすれば良いのか、ということを読者に伝える仕事を誇りに思って来た。だが、仕事に夢中になるあまり、自分の生活設計というやつが疎かだった。1年前にも同じようなことを思っていたのに(*1)、食うや食わずの暮らしは悪化するばかりだった。このコラムを書籍化する話も提案してみたものの、残念ながらあまり望みがないようだ。
実は24日で私の年齢がまた1つ満了したのだが、さすがに身の振り方を考えなければならなくなって来た。この歳で就職経験なしというのでは、拾ってくれる先もなさそうだが。
*1 「若さと情熱と、その行く末と」(2005年11月25日掲載)
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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