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簡単に接続できることの怖さ
2006年11月6日
家庭向けPLC(電力線によるネットワーク接続)について、今、いろいろと議論されている。コンセント1つに接続するだけで電力とネットワーク接続の両方が実現できるという簡便さが魅力である一方、ノイズシールドのない電力線に信号を流すと電波ノイズを撒き散らすことになるという批判があり、各社が実験を進めているようだが、私たちが実際に利用できるようになるのか、それがいつになるのか、今のところ確かなことは分からない。
電波ノイズ(漏洩電磁波)の問題を軽視しているつもりはないのだが、私は相変わらず明後日の方ばかりを見ているもので、PLCでの接続には別の点で「怖さ」を感じている。以下はあくまでも仮定として、もし、電波ノイズを含めたさまざまな問題をクリアして実用化されたとしたら、という前提で話を進める。
現在のイーサネットでの接続においては、ほとんどの機器やOSが、ネットワークケーブルをつなげば、それを検知して自動的に接続してくれるようになっているだろう。それがPLCでは、なんと電源供給のコンセントを繋ぐだけで済む。ネットワークに接続すること自体さえ、意識しなくても良いというわけだ。だが私には、その点こそが「怖い」のだ。
従来「他の機器と接続する」ことは、ユーザが意図的に選択する事柄であったはずだ。ところが、もしPLCで「コンセントに繋いだだけで完全自動接続」になったとすると、機器の動作に不可欠な電力を供給するだけで、ユーザが意識しないうちにネットワーク接続されてしまうことになる。しかし先日も述べたように(*1)、繋がり合うことの便利さは、常にいくらかの危険と抱き合わせなのである。
解決策は実に簡単なもので、PLC対応機器では、スタンドアロンで動作させることをデフォルトにし、ユーザが選択した場合だけネットワーク接続を行うようにすれば良い。ただそれは、PLCの魅力とされる簡便さを、少なからず損なうことになるかも知れないが。
*1 「繋がり合うことの便利と危険と」 http://www.rbbtoday.com/column/ittoku/20061023/ (2006年10月23日掲載)
■著者略歴
小笠原 陽介 (おがさわら ようすけ)
理系のココロを文系のコトバで語るフリーライター兼コラムニスト、時々ジャーナリスト。ITによる人間と社会の変容に問題関心を持ち、独特の視点から発言を続ける。
主な著書:『PC-98パワーアップ道場』1998,ソフトバンク
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